2004年3月


3月7日

ナイン・ソウルズ


監督:豊田利晃
脚本:豊田利晃
撮影:藤澤順一
音楽:dip
出演:原田芳雄/松田龍平/千原浩史/板尾創路/鬼丸
製作年:2003年
鑑賞メディア:レンタルDVD

うーん、やっぱりイマイチ。
毎度毎度、この豊田利晃という人は、見る気にさせるまで(企画、キャスティングなど)が実にいいのに、肝心かなめの映画そのものが今ひとつなんである。
今回も、刑務所から脱走した九人の囚人たちの青春ロードムービーという企画はいいのだが、演出がやはり甘い。
「青い春」は、甘さ(=若さ)が作品そのものとマッチして佳品になっていたが、今回は甘さが裏目に出た。
なにが足りない、っておそらく(特に)脚本段階での「思考の量」じゃないかと思います。
突き詰めてないんですよね。心の底から出たものじゃない、というか。
えらそうなこと言ってすみません。まさに自分にも当てはまることは自覚しつつ言ってます。
化ける可能性は十分あると思うんですよ。んんー、惜しいなあ。


3月7日

アイデンティティー

IDENTITY

監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:マイケル・クーニー
撮影:フェドン・パパマイケル
音楽:アラン・シルヴェストリ
出演:ジョン・キューザック/レイ・リオッタ/アマンダ・ピート/アルフレッド・モリーナ
製作年:2003年
鑑賞メディア:レンタルDVD

職場の同僚がしきりに進めるので見てみた。
あいやーびっくり。これはやられました。激オモ!
嵐と洪水で行き場をなくし、一軒のモーテルに閉じ込められた10人の行きずりの者たち。
警官、囚人、女優、気弱、子供、スケベ…もちろん、みんなキャラがかぶらないように役を振り分けれられてます(笑)。
閉鎖状況で、一人、また一人と殺されていく。
死体のそばには、常に部屋番号プレートのついたモーテルの鍵が。「10」「9」「8」…一人殺されるたびにプレートの数も減る。
いやー、本格ミステリ好きとしてはもうワクワクするしかないシチュエーションでしょ?
「王道すぎるやんけ!」とも思いますが、ラストがまた素晴らしかった。王道を守りつつ斬新。矛盾しているようだが、そう形容するしかない、見事などんでん返し。
なんだか公開時あまり話題になったような記憶がないのだが、このラストが気に入らない人が多かったのかな? しかしお見事でした。拍手!


3月7日

S.W.A.T.

S.W.A.T.

監督:クラーク・ジョンソン
脚本:?
撮影:?
音楽:?
出演:コリン・ファレル/サミュエル・L・ジャクソン/ミシェル・ロドリゲス/ジェレミー・レナー
製作年:2003年
鑑賞メディア:レンタルDVD

どこ探してもスタッフの詳細がわかりません。最近多いけど、オフィシャルサイトくらいそのへんフォローしろよなー。
で、この映画、劇場公開時に見たいなーと思いつつ結局行かなかったわけですが、正解でしたね。つまりませんでした。
これも、アイデアはいいと思うんですよ。
ロスでつかまった麻薬王が、護送中にテレビカメラに向かって、「俺を逃がしてくれたら1億ドルやるぞ!」と。で、町中のワルたちが大挙して奪還しに来る、というお話。
それはいいんだけど、まるでその辺の描写にリアリティなしなのです。
あんなテレビでの一言を信じて、命捨てるの覚悟で警察に向かってきますか?普通。
主眼としては、町中敵に回したSWAT隊の活躍を描く、というものなのですが、前半がまた長い。部隊結成とか訓練とかで一時間くらい使ってます。
また長い時間かけてるわりにキャラ描写が浅い。
後半も、なんとも工夫のない展開で、しょぼい映画でした。


3月7日

ペイチェック 消された記憶

PAYCHECK

監督:ジョン・ウー
原作:フィリップ・K・ディック
脚本:ディーン・ジョーガリス
撮影:ジェフリー・L・キンボール
音楽:ジョン・パウエル
出演:ベン・アフレック/ユマ・サーマン/アーロン・エッカート/ジョー・モートン
製作年:2003年
鑑賞メディア:試写会(サンケイホール)

試写会で見てきました。ジョン・ウーの新作です。
…ダメですね、これまた。
もうストーリーが支離滅裂。よくこんないいかげんな脚本で撮影したもんです。
プロットに矛盾と無理が気が遠くなるほど大量に詰め込まれてます。
ディックの原作は未読ですが、短編なのでそのへんは上手くやってるのでしょう。
せめてもの期待のジョン・ウー的ケレンもほとんどなく、ラストでようやく出たアレも、完全に不発でした。
救いは、ユマ・サーマンのみでしたね。好みなんです、ハイ。


3月14日

殺人の追憶

MEMORIES OF MURDER

監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ/シム・ソンボ
撮影:キム・ヒョング
音楽:岩代太郎
出演:ソン・ガンホ/キム・サンギョン/キム・レハ
製作年:2003年
鑑賞メディア:試写会(よみうり文化ホール)

韓国映画はほとんど見ていないし、話題の韓国ドラマなんかもまるで興味なしなのだが、この映画が僕を引きつけたのは、まず阪本順治(僕の好きな監督ベスト5には入ります)の推薦コメントでした。丸ごと引用しちゃうと、

映像美と画角、俳優の演出、俳優の演技、キャストの配置、伏線の張り方、小道具の使い方、ストーリーテリング、ユーモアのセンス、アクション、時代性、すべて、計画されて、すべて、成功している。黒澤明の孫が、日本で生まれず、韓国で生まれた。まいった。

てなものでした。おすぎとか浜村純がこんなこといってもさほど心が動かないが、阪本順治がここまで言うなら本物に違いない。
試写会に当たった(僕は読売のエピスクラブというのに入っていて、試写会がよく当たるのです)のを幸い、見てきました。……まいった、これは傑作!
阪本のコメントに付け加えることはないです。主演二人組(梅宮辰夫を3発殴ったようなのと、佐藤浩市を5発殴ったようなのとのコンビ)の顔がかなりダサいのが唯一の難点か…いやしかしこれも計算の一部かも。
脚本が上手いです。いい映画はやはり脚本がメリハリが利いてきっちりしていますね。見ていて気持ちいいです。もう一度見に行くかもしれません。拍手です!


3月14日

青の炎


監督:蜷川幸雄
原作:貴志祐介
脚本:蜷川幸雄/宮脇卓也
撮影:藤石修
音楽:東儀英樹
出演:二宮和也/松浦亜弥/鈴木杏/山本寛斎/秋吉久美子
製作年:2003年
鑑賞メディア:HDDビデオ(WOWOW録画)

なんとなく見ました。
青春小説として実によく出来ていた原作の持ち味を綺麗に残し、いい感じに仕上げてあります。
蜷川幸雄って映画撮るの初めてなのかな?
わざとらしい、あざとい部分もありますが、全体として抑制のきいたいい演出をしていると思います。
松浦亜弥は今ひとつでしたが、二宮和也が実にいい演技をします。これは拾い物でした。上手いよ、この人。
豊田利晃が一生懸命背伸びしているのに青臭さが抜けないのに対して、蜷川はきっちり計算して青臭さを演出。
父親役(山本寛斎ってどうよ?)の出番が少なく、「殺してしまうほどのやつか?」といった瑣末な疑問は残りますが、総じていい映画だったと思います。うん。


3月26日

シャンハイ・ナイト

SHANGHI KNIGHTS

監督:デヴィッド・ドブキン
脚本:アルフレッド・ガウ/マイルズ・ミラー
撮影:エイドリアン・ビドゥル/ハーヴェイ・ハリソン
音楽:ランディ・エデルマン
出演:ジャッキー・チェン/オーウェン・ウィルソン/アーロン・ジョンソン/ファン・ウォン
製作年:2003年
鑑賞メディア:レンタルDVD

大好きなジャッキーです。
もうね、ホントにこのアクション見てるだけで恍惚としますね。
ストーリーは、まるっきり何も考えずにすむエンターテイメントです。
十九世紀末、奪われた中国皇帝の秘宝を奪還するために前作で名コンビとなったジャッキーとオーウェンがロンドンまで行く、という。
この時代のロンドンのお約束として、コナン・ドイルや切り裂きジャックなどがちらちら登場。若き日のチャップリンなんかも。
しかしそんなことは瑣末なことで、やはりこれはジャッキーのアクションを見るための映画なのです。
おそらく肉体アクション部分はジャッキーがアイデアも演出もやらせてもらっているのでしょう。最高です。ホントに最高です。まさに芸術。眼福、眼福。
次回作、「メダリオン」「八十日間世界一周」が楽しみです。
なお、「八十日間世界一周」は、共演がシュワルツェネッガー、サモハン、カレン・モクだそうです。なんだそりゃあ!


3月26日

クリムゾン・リバー

Les Rivieres Pourpres

監督:マチュー・カソヴィッツ
原作:ジャン・クリストフ・グランジェ
脚本:ジャン・クリストフ・グランジェ/マチュー・カソヴィッツ
撮影:ティエリー・アルボガスト
音楽:ブルーノ・クレ
出演:ジャン・レノ/ヴァンサン・カッセル/ナディア・ファレス/ドミニク・サンダ
製作年:2000年
鑑賞メディア:レンタルDVD

パート2の試写会の券をもらったので、予習のために見てみました。
オープニングの、舐めるように傷だらけの死体を写すシーンが不気味でかっこいいですね。
フランスの片田舎で起こる連続猟奇殺人をジャン・レノ刑事が追う、ってお話です。
トータルな世界観作り、演出はスタイリッシュで上手くいってると思いますが、謎解きがちょっと…それはどうよ?って感じで、今ひとつでしたね。

で、先日勇躍パート2の試写会に望んだわけですが、開始二分で爆睡してしまいました。
いや、面白くなかったとかじゃなくて(二分じゃその判断もできん)、単純に寝不足だったんでしょう。はは。
起きたら既に一時間経過していて、当然ながらなにがなにやらさっぱりでした。
ちなみに二作目では、急にリュック・ベッソンが脚本書いてます。


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