2004年11月


11月6日

デビルマン


監督:那須博之
原作:永井豪
脚本:那須真知子
撮影:佐野哲郎
音楽:安川午朗
出演:伊崎央登/酒井彩名/宇崎竜堂/阿木燿子/伊崎右典
製作年:2004年
鑑賞メディア:映画館(梅田ブルク7)

見て五日経ちましたが、怒りは募る一方です。
よくも、あの「デビルマン」をこんなに無残なものにしやがった。
例えるなら、那須監督夫妻(嫁が脚本!)がいきなり僕のうちに押し入ってきて、僕の本棚から抜き出した「デビルマン」全五巻をへらへら笑いながらビリビリに引き裂いているのを目の前で見せられたような感じ。
ネットの公共性もあって、また常識としてあまり不穏当な発言はしないようにしてましたが、今回は言わせてもらいます。
那須博之、那須真知子、死んでしまえ。
細かい突っ込みはいろいろ考えましたが、すでに数多のサイトで詳しく述べられているのでここでは言いません。
ここあたりを参考にしてください。 ここから無数の批判に飛ぶことができます。
最後にひとつだけ。原作への「愛」が感じられれば、駄作でも許せたかもしれない。愛がなくとも、プロとしての技術・意地を見せてくれたら、駄作でも許せたかもしれない。
この映画には、そんなものはひとかけらもない。
一生、俺は許さない。


11月6日

隠し剣 鬼の爪


監督:山田洋次
原作:藤沢周平
脚本:山田洋次/朝間義隆
撮影:長沼六男
音楽:冨田勲
出演:永瀬正敏/松たか子/吉岡秀隆/田中泯/緒形拳
製作年:2004年
鑑賞メディア:映画館(梅田ブルク7)

超期待で行きました。
なにしろ前作「たそがれ清兵衛」は僕のこの十年のベスト映画。
まったく同じスタッフ、同じ原作者、期待するなというのが無理というもの。
前夜に「たそがれ」をもう一度見て気分を盛り上げておきました(笑)。
しかし…うーむむむ、面白かったのですが、期待が高すぎたか、もう一歩でした。
問題は、やはりあまりにも「たそがれ」の二匹目のドジョウを狙ってしまったことでしょうか。
話も雰囲気もまるで同じなんですよ。
質素につましく生きる愚直な侍(実は相当な使い手)。身分違いの恋。藩の一大事に剣の腕を見込まれ駆り出される。
うーん、まるっきり一緒だよ。こうなると、どうしても前作のあまりにすばらしかった真田広之・宮沢りえにダイレクトに比較されてしまう永瀬・松が気の毒。
そしてやはり、あの二人には及びませんでした。
時代物でも、もう少し違った雰囲気にしてくれたらよかったのになあ。残念。


11月23日

美しい夏キリシマ


監督:黒木和雄
脚本:黒木和雄/松田正隆
撮影:田村正毅
音楽:松村禎三
出演:柄本祐/小田エリカ/石田えり/中島ひろ子/原田芳雄
製作年:2003年
鑑賞メディア:レンタルDVD

ようやく見ました。黒木監督の新作(といってるうちにもう次の「父と暮らせば」が公開されましたが)です。
去年のキネマ旬報のベスト1でしたね。さすがにいい映画でした。
挙国一致体制の中、肺病で動員もされない主役の少年(柄本明の息子)の「薄さ」が素晴らしい。これは演技よりもやはり演出のなせる技でしょう。
戦争が終わってはじめて、その薄さが遅すぎる爆発を見せる、そのむなしさがたまりません。
「顔」とかのときにも思いましたが、牧瀬里穂っていい役者ですね。
ただ、方言が聞き取りにくく、人間関係がなかなか把握できませんでした。
機会があればもう一度見ましょう。


11月23日

シティ・オブ・ゴッド

CIDADE DE DEUS

監督:フェルナンド・メイレレス/カチア・ルンジ
原作:パウロ・リンス
脚本:ブラウリオ・マントヴァーニ
撮影:セザール・シャローン
音楽:アントニオ・ピント/エド・コルテス
出演:アレクサンドル・ロドリゲス/レアンドロ・フィルミノ/セウ・ジョルジ/アリス・ブラガ
製作年:2002年
鑑賞メディア:レンタルDVD

こいつはいいぞ!
リオデジャネイロのスラム「シティ・オブ・ゴッド」を舞台にした、ブラジル版仁義なき戦い。
めまぐるしく切り替わる視点に慣れたら相当楽しい。
平気で子供がギャングやってるところがいっそう救いがないんだけど、悲壮感は少なく、カラカラに乾いている。
そして、主人公(?)のさりげない成長が嬉しく、荒っぽいようでかなり繊細な演出。 実は相当計算して撮ってるな、これ。
西田も言ってたけど、これも変な時間の入れ替えやってますね。世界的な流行なのかな?


11月29日

血と骨


監督:崔洋一
原作:梁石日
脚本:崔洋一/鄭義信
撮影:浜田毅
音楽:岩代太郎
出演:ビートたけし/鈴木京香/新井浩文/オダギリジョー/田畑智子
製作年:2004年
鑑賞メディア:映画館(梅田ブルク7)

ぬおおおお凄かったー!!
予告編のあまりの迫力に、内心「予告だけかも…」と危惧していましたが、そんなもの、最初の数分で吹っ飛びました。これは凄い。傑作!
登場人物全員のあまりの濃さに圧倒されっぱなしで、そろそろ終わりかな、と時計を見たらまだ半分も終わっていないというめちゃくちゃに疲れる映画でした。
しかしそのテンションが最後まで続きます。たけしの凄さもさることながら、脇を固める人々がみんな一癖も二癖もある、顔からして異様な人ばっかで、怖い怖い。
そんな中でもオダギリジョーが素晴らしい役者であることを知りました。
そして異様な役者の陰に隠れがちですが、スタッフの地道な努力が画面の隅々まで行き届いていて、実に完成度が高い。
特に気に入ったのは、岩代太郎の音楽。派手に主張せず、埋没せず、きっちり場を盛り上げる。この人、「殺人の追憶」でもいい仕事をしていました。
これから見る人、体調悪いときに行かないほうがいいです。いいときでも、体力、精神力のかなりの部分を貪り食われてしまいます。そんな怪物映画です。まじですげえや。


11月29日

下妻物語


監督:中島哲也
原作:嶽本野ばら
脚本:中島哲也
撮影:?
音楽:菅野よう子
出演:深田恭子/土屋アンナ/宮迫博之/篠原涼子/小池栄子
製作年:2004年
鑑賞メディア:レンタルDVD

わりと評判高かったのに見逃してました。レンタル出たので速攻で。
うん、これは面白い。
はっきりいってこのタイプの映画は、もう監督にセンスがあるかないかで結果がずばり決まっちゃいますね。それがいいほうにいったな、という感じ。
ほんと、これでセンス悪かったらどんなに痛い映画になっていたか、考えるだけでぞっとします。…という映画です。
ラストの展開が好みではなくて、最後にちょっと冷めましたが、これだけ楽しませてくれたらまあいいでしょう。あと、深田恭子の二の腕の太さがちょっと気になりました。


11月29日

80デイズ

AROUND THE WORLD IN 80 DAYS

監督:フランク・コラチ
原作:ジュール・ヴェルヌ
脚本:デヴィッド・ティッチャー/デヴィッド・ベヌロ/デヴィッド・ゴールドステイン
撮影:フィル・メヒュー
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
出演:ジャッキー・チェン/スティーヴ・クーガン/セシル・ド・フランス/アーノルド・シュワルツェネッガー
製作年:2004年
鑑賞メディア:映画館(梅田ブルク7)

試写会当たってたのに風邪でいけなかったのです。
しかしタダ券をもらったので見ることができました。大好きなジャッキーです。
クレジットではジャッキーが一番でしたが、話の内容はなんかビミョーで、あくまでクーガンのサブ的な役割。ヒロインとの恋もジャッキーではなくクーガンです。
そう簡単にアジア人に単独メインは張らせんつもりか。
でも、ま、話はどうでもよくて、この映画の見所はもう二つだけ。
両方ジャッキーが故郷の中国の村で見せるアクションシーンです。
何年振りでしょう、サモハンと一緒に暴れ回るなんて!
そして、おお懐かしや、手足のごとく自在に長椅子を使う乱闘シーン!
特にサモハンとの絡みは涙が出そうでした。これでユン・ピョウも出てたら号泣していたかも(笑)。
毎度ジャッキー映画には癒されます。眼福、眼福。


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