「THE REPLACEMENT KILLERS」
「THE REPLACEMENT KILLERS」

おすすめランク    

出演
チョウ・ユンファ (周潤發)
ミラ・ソルヴィーノ
ケン・ツァン (曾江)
マイケル・ルーカー
ユルゲン・プロホノフ
チル・シュエイガー
ダニー・トレオ

製作総指揮:ジョン・ウー (呉宇森)
監督:アントワ・フークア                               1998年度作品

ついにあの“亞洲影帝”チョウ・ユンファがハリウッド進出!ボクはこの時をどれだけ待ち望んでいたか!!

ユンファの登場シーン。「おー!!ユンファ!」って叫びたくなるほどのかっこよさ!テーブルに“死”と刻まれた銃弾を置いてからの銃撃戦!スローでくるくる回転してからの銃撃!序盤から、こんなかっこいいユンファを見せてくれているから、期待しまくり!.....だったのだが..。

はっきりいって脚本の出来がほんと、悪すぎ!観客が殺し屋ユンファに対する感情移入を全くできないから、ただ、銃撃戦してる、パスポート欲しがってるだけとしか思えなくなっている。

殺し屋ユンファの中国にいる家族のことなど、セリフだけでなく、ちゃんと映像で描写するべきだっただろう。“百聞は一見にしかず”の如く、家族が組織に追われたり、家族とユンファが手紙や電話でやりとりするシーンとか入れないと、観客が「ユンファ!家族のためにはやくパスポート手に入れて中国に帰って!」という感情を沸き立たせることにはならんだろう。

あの警官の子供をなぜ、プロの殺し屋なのに、殺すことをやめたのか、説得力が足りない。
子供を殺すことができなかったユンファには、過去、友人の子供を殺したことがあったとか、銃撃戦の最中、自分の目の前で、通りかかった子供が殺されたとか、そういうトラウマを持っていて撃つことができなかったとかだと、殺し屋ユンファには弱い部分があったんだ..って観客に思わすことができて、子供を殺せなかった部分に説得力がでてきたと思う。あと、そういうことをしなくても、あの殺そうとした子供と偶然、ちょっと前に会話したことがあったとか、ユンファとあの子供にちょっとした接点があったようにしてくれてもよかったと思う。

ちょっと気がついたことなのだが、ユンファが狙撃するシーンでは、明らかに照準が警官の頭を狙っていて、子供を狙う素振りなど見せていなかったのだが、後に子供を狙っていたと告白する時には、子供に照準をあわせている。こんなことでいいのだろうか!

しっかし、ボスの息子が警官に殺されて、その警官の子供を殺すために殺し屋を雇ったけど、その殺し屋が裏切ったから、殺し屋と子供をボスが殺そうとするって、たったそれだけのことを87分もかけてするテーマなんだろうか?他の作品だったら、10分くらいで終わってしまう1つのシーンだと思うのだが。よっぽど同じ殺し屋でも「狼 男たちの挽歌最終章」のほうが数十倍いい!

ボスの雇った2人の殺し屋。全然強くないやんか!1人は刑事の子供を映画館で殺そうとするところをユンファにあっけなく殺されちゃうし、もう一人はバカ丸出し。ラストの銃撃戦でユンファ一人を殺そうとしているだけのくせに、途中で見失って、頭にユンファの銃が突きつけられ「チェック・メイト」とか、かっこつけてつぶやいて殺されてる。こんな奴ら、わざわざ雇う必要ないやんけ。おまけに空港での登場シーンで延々とスローで歩いてこっちに向かってくるシーンがあるのだが、「お前らがスローになってもしゃーないねん!」と思ってしまった。(笑)

洗車場での銃撃戦。台車に寝そべってのユンファおなじみの銃撃も、あそこは2丁拳銃じゃないと...。その後、ユンファが台車に寝そべって画面の上から登場し、銃を乱射した後、また画面からスッと消えるのだが、「あの時、必死に足で台車を動かしてるんだろうなあ..」などと思ってしまってかっこよくなかった。(笑)

ラストの銃撃戦が、何にも迫力ない!ユンファがボスの乗る車を追いながら、まわりの敵に銃をぶっ放し、車に飛び乗って、二丁拳銃で撃ちまくるまではよかったが、その後が、あっけなさすぎ!あんなのでいいんか?ユンファが一発くらい撃たれてケガをするとか、ボスがミラ・ソルヴィーノを人質にしてユンファを脅すとか、アクション映画には当たり前の法則を全く入れずに、すぐにユンファの銃でボスは殺されて終わり。なんだかなあ...。ボスの腹心だった男も、殺しには素人のはずのソルヴィーノに後ろをとられ、殺されてる。もう、あきれて笑ってしまった..。

唯一の車の爆破シーンもCG丸出し!あんな爆発の仕方はないやろー。

この作品は、何しろ敵の数が少なすぎ!ラストの銃撃戦では、ボス、腹心、殺し屋を除いた数が10人いるかいないか。ユンファが次々と銃を出してくるけど、あの人数だったら、2丁拳銃で一人一発でも倒せた数だと思う。少なくとも20人は殺してくれないと、凄さが伝わらないだろう。

それに、肝心な事として、1つのアクションシーンが思ったより短く、爆破シーンなど見せる演出が少ないため、せっかく観客が、「ドキドキドキ!」っと気持ちを高ぶらせようしているのに、すぐにアクションが終わったり、ユンファとソルヴィーノが逃げ出したりするから、その高ぶりが持続せず、「スゲー!」と思わせるに至っていないのだ。一応、この作品はジャンルがアクション映画なんだから、このドキドキ感があまりなかったことが、致命的だったと思う。

ミラ・ソルヴィーノがユンファに協力するってところも、「別に恋愛感情が芽生えたわけでもないのに、どうしてそんなに協力するの?」と納得がいかない。ソルヴィーノは偽造パスポート屋なわけだから、事情がある人々がお客さんなわけで、その一人一人に「あなたの気持ち、よくわかるわ。協力してあげる。」なんて言っていたら、体がいくつあっても足りない気がする。ここは、どうしたってユンファとのキスシーンなどを入れて、観客にそういう感情があることを思わせなきゃダメだったろう。

欧米人が日本を映画に出してくるときに、日本人が見たら、「なんじゃいこりゃ!」と思ってしまうシーンが多々あるように、これぞ中国!ってなイメージを出しすぎ。ボスの息子がボートに乗っているシーンの、ボートに漢字で書かれた数字。すごい不自然やった..。数多く香港映画見てきたけど、あんなことしているの見たことない!あと、寺や大仏を出しすぎ!ユンファの友人が僧侶ってところもめずらしい。

この作品、スローがたくさん使われているのだが、無駄なところが多すぎ!いくらハヤリだからといっても、使いすぎるとダラダラしすぎてしまって、眠たくなってしまう。ジョン・ウーの技法はかっこよく思わせるためのものであって、それがほんとに思わせてくれるからすごいのだが、どうでもいいシーンでもスローになっているから、「またかい!」って思ってしまう。せっかくユンファが出演しているんだから、ベレッタ2丁をぶっ放している時に、スローにして薬莢が飛ぶくらいはしてくれないと..。はっきり言ってスローのシーンを普通に撮したら、60分くらいに短縮してしまうかも...。

なんかこれだけボロクソに書いていると自分でも「厳選!E級電影」コーナーに書いている気がしてしまう(笑)。が、おすすめランクCになったのは、ユンファのチラッとみせる演技がすばらしいからである!ユンファが狙撃するシーンの、殺すのをあきらめた時の表情なんて、「さすがはユンファ!」と友人とそこだけで盛り上がってしまったくらいすばらしい!つまり、ユンファ演技度A、脚本度Eで、総合Cになったわけである!(「うわー、ユンファびいきだー!」という声が聞こえる...(笑))

この作品ではじめてユンファを知った人がいるかもしれない。この作品だけで「ユンファ作品、おもろない!」なんてなことは言わないでいただきたい。いくらユンファがいい演技をしても、最終的に完成した作品というものは監督が描いたものだから。ぜひとも、香港時代の作品を見てもらいたいと心から思うわけである。

全米ではこの作品の公開時、初登場で「タイタニック」に次ぐ堂々2位にランキングされた。その後は7位と下がっていったが、それだけ全米でユンファが知られ、期待が高かったのは、すごいことだと思う。おそらく、「ブロークン・アロー」や「FACE/OFF」からのジョン・ウーファンが、ユンファを知ったせいだと思う。

それにひき換え、日本での結果はどうだったろう!ボクはこの時ほど、日本には熱しやすく冷めやすい人々、おまけにミーハー的な人々がいかに多いかということを思い知らされた気がした。ボクが劇場に見に行った日の前日まで、大阪の三番街シネマでは一番広い劇場で公開していたが、客の入りが悪すぎて、ボクが行った日から一番狭い劇場に移ったのだった。ボクがもし、「FACE/OFF」でジョン・ウーを知り、彼のファンになったら、彼のこれまでの作品を見るために、すぐにビデオ屋に行くはずだ。そこでユンファを知り、彼のファンになっていたら、絶対、この作品を見に来たはずだ。「FACE/OFF」を見た後、「ジョン・ウー、すばらしい!」「ジョン・ウー、最高!」とのたまわっている人々がたくさんいたのだが、その中で「男たちの挽歌」や「ハード・ボイルド」を見た人はどれだけいただろうか?聞くまでもなく、この作品が初登場でもランキングされなかったわけだから、それほどいなかったのでしょう..。ボクとしては内容が内容だけにヒットは望めないにしても、一週目は期待した人がたくさん来て、トップ10に入ってほしかった!

もしかして、ジョン・ウーが香港映画出身だということも知らず、ジョン・ウーの紹介文で「男たちの挽歌」を知った後、レンタル店でハリウッドアクションのジャンルを探してしまって、いまだに見つかってないという、どうしようもない人もいたりして...。(笑)

パンフレットに書いてあったアメリカの雑誌の批評には、納得のいかないところが多かった。「チョウ・ユンファは伝説になろうとしている。」って..。“伝説”って言葉は感じがいいけど、この作品だけでこんなこと言ってたら、これは大ウソやでー。これを書いた雑誌の人は、きっと、香港でのユンファの作品をほとんど見たうえで、「この俳優はほんとにすばらしい!こいつは将来、伝説になるだろう!!」と思って書いてくれているのだろう。ボクの中では、“伝説になろうとしている”ではなく、完全に“伝説になっている”のだが..。

「中身の濃い娯楽アクション作である本作で目を釘付けにさせたチョウ・ユンファ」。ユンファの演技には釘付けになったけど、よくもまあ、“中身の濃い”なんてこと書けるなあ。作品、ちゃんと見てないんじゃないの?

極めつけは「チョウに脱帽」。これ書いた人は全てのユンファ作品を見まくっているんでしょうなあ..。よくもぬけぬけと..。長年のファンをバカにしてるのか!?絶対そんなこと思ってもいないってこと丸わかりじゃないか!どう考えても、映画会社に頼まれて、書く言葉なくて書いたって感じじゃないか!どこに脱帽したのか、説明してもらいたいよ、まったく...。

長年のユンファファンからすると、ユンファの最後の出演作「大陸英雄伝」からかなり経っていて、心待ちにしていたせいもあって、ひじょーに期待はずれだった。だが、ハリウッド第一作目ということで、映画関係者とのつながりなど、難問が山積だったはずだから、これからの作品に期待しましょう!!なにせ、ジョン・ウーだって「ハード・ターゲット」から、今の地位にやっとつけたんだから。ユンファがハリウッドデビュー作で大ヒットしていることのほうが、おかしな話だろう。

映画館でポスターやテレホンカード、来年のユンファカレンダーなどなどユンファグッズを手に入れようと楽しみにしていたら、パンフレットのみ!どういうことやねん...。ハリウッドの大スター主演で金かけた、しょーもない作品でも、けっこうグッズがあるのに、この扱いは、いったい..。

この作品の予告編はムチャムチャかっこよかった!!予告編だけで言ったらおすすめランクAだった。はっきり言って、あんな予告編作って、配給会社も罪作りやなー。あれ見て「スゲー!」と思って見に来た人は、きっとガッカリして帰っていったと思う。「予告編は疑ってかかるべし!」だな−。

これからのユンファの活躍をみなさんで応援しましょう!!
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