チョウ・ユンファ(周潤發)特集 VOL.6

江湖龍虎門 (マカオ極道ブルース)

おすすめランク    

出演
チョウ・ユンファ (周潤發)
アラン・タン
パット・ハー (夏文汐)
フィリップ・チャン (陳欣健)
パトリック・ツェー (謝賢)
ツイ・シュウケン (徐少強)
監督:チェン・タンチョウ(張同祖)
1987年度作品

【ストーリー】
子供の頃、ティンとアランは、孤児だったが仲が良く、兄弟のような間柄だった。彼らは将来、大物になろうと誓い合っていた。ティンはある日、修道院に食べ物を盗みに入るが、それを少女のカシーに見られてしまう。カシーはそれを見逃してあげて、それから孤児のみんなに食べ物をめぐんであげるようになった。ティンは秘かにカシーに恋心を抱くようになるが、やがて、カシーは香港に行くことになり、二人はそれっきりになってしまう。

大人になって、黒社会の中で高い地位についたティン(チョウ・ユンファ)とアラン(アラン・タン)。彼らを存在を目障りに思う者も当然いた。マカオ最大の組織を持つセイゴウ(パトリック・ツェー)である。セイゴウはわざと危険な銃の取り引きの仕事をアランに頼み、その取り引きが成功すると、アランを裏切ってしまう。怒りに燃えるアランに、セイゴウは「オレを敵に回したな!」と脅し、それからアランとティンは狙われるようになる。

ティンは、ある日、偶然にも子供の頃、好きだったカシー(パット・ハー)に再会し、彼らはつきあい始める。ティンは彼女と結婚するため、足を洗うことを決意し、アランに告げ、セブンイレブンで働き、カタギになろうとしていた。ティンとカシーの幸せな日々がしばらくすぎた頃、アランの手下がやってきて、アランの身が危険で、アラン一人でセイゴウに決着をつけに行ったこと、ティンとカシーは危険だからはやく逃げるようにと言っていたことを告げに来る。

ティンはカシーに「オレたち兄弟は互いに助け合ってこれまでやってきた。」と言い、カシーに謝り、アランの元に行く。アランとティンはセイゴウ一味を倒すため、激しい銃撃戦に挑むのだった...!!

【感想などなど..】
ユンファの兄貴役のアラン・タンは、プロデューサーとしても有名で、ウォン・カーウァイ監督の「いますぐ抱きしめたい」「欲望の翼」もプロデュースしている。ちなみにこの作品はウォン・カーウァイが脚本を担当している。

アランがタイでの取り引きで、度胸試しで自分の近くを銃で撃たれるシーン。緊張で、こめかみから大粒の汗がマンガのごとくダラリッと流れたのは、笑えた。

カシー役のパット・ハー。なんか不思議な魅力のある女優さんだなあ、と見る度に思う。

ユンファとパット・ハーが老人たちに見せ物をするシーン。婆さん役の一人の人、よく見かけるよなあ(注:画像左の婆さん)。婆さんが出てくるシーンには必ずと言っていいほど、登場する。代表例で思い出す作品は、「ゴッド・ギャンブラー」。アンディと一緒に住んでいて幼児化したユンファが甘えていた婆さん。あの人、名前なんていうのかなあ..。

ユンファがアランを助けるためにパット・ハーと別れるシーン。ユンファと別れた後、テーブルでお祈りするパットの眼から一粒の涙がコーヒーに落ちるところはなかなかよかった。

アランが助けに来たユンファと共に、左右から敵に銃撃をくわえるシーンは、スローも使って、なかなかかっこよかった。だけど二人とも、敵だったらすでに死んでるくらい撃たれてるような気が...。こういう世界でも戦隊ヒーローもののように、“ザコの戦闘員は弱い”という法則が当てはまるのだろうか..(笑)

銃撃戦は、すごいことはすごいけど、ただ撃ちあうんじゃなくて、たくさんの銃器を次から次へと使うとか、ショット・ガンで壁をドカーンと破壊するとか、もうちょっとジョン・ウー的な見せる演出をしてくれれば、「かっこえー!」と思うことができただろう。ストーリーがよかっただけに、アクションシーンの迫力が物足りなかったのが、非常に残念。

敵のボス役パトリック・ツェーは、香港映画界では大ベテラン。スカイパーフェクTV、スタープラスで放映中のドラマ「キング・ギャンブラー」で主演している。(ちなみにボクはスタープラス内でやったらやっている宣伝しか見たことはない..(笑))
霊気迫人 (デビル・バスターズ)

おすすめランク C   

出演
チョウ・ユンファ (周潤發)
レイモンド・ウォン (黄百鳴)
サリー・イップ
メルヴィン・ウォン
ロー・リッ (羅烈)
製作:黄百鳴 (レイモンド・ウォン)
監督: ロニー・ユー
1984年度作品
    
「白髪魔女伝」を監督したロニー・ユーや、美術監督として有名なトニー・オウら香港ニューウェイブと呼ばれた人たちが結集した作品。

【ストーリー】
中国の迷信について論文を書くため、カナダから香港にやってきたサリー・イップは、アパートを借りるため、不動産屋に行く。不動産屋をしているレイモンドは、ある物件を紹介し、案内するが、その家では机が勝手に動いたり、不可思議なことが起きていた。レイモンドは、サリーを心配し、かつ一目惚れしていたので、何かと理由をつけて、彼女の家に泊まっていた。

ある日、レイモンドは霊に襲われ、ベランダから外に放り出され、下の自動車にぶつかりケガをしてしまう。自動車の所有者が警察に通報、刑事のユンファがやってくる。ユンファとサリーは、以前、空港で少し会話したこともあり、これをきっかけにつきあい始める。3人はサリーの家にやはり霊が住み着いていると思い、以前この家に暮らしていた女性について、調べることにする。調べた結果、その女性はリサという歌手で、家族もちのロバート(メルヴィン・ウォン)と恋に落ち、ロバートの妻の目の前で、ロバートを射殺し、リサも自殺していたことを知る。

ユンファは彼の先輩で霊にくわしいチャン(ロー・リッ)に相談した。彼によると、霊は相性のいい脳波を持つ人が近づくと、体にとりつき、悲劇をもう一度再現するらしい。その時、リサに興味を持ったサリーは、リサの霊を呼び寄せようし、リサの霊はサリーに取りついてしまう。やがて、リサの霊力によって、ユンファはロバートに、レイモンドはロバートの妻になった状態になり、彼らが死んだ日の事件が再現されるのだが、そこには、彼らが知っていた事実とは違う真実が再現されたのだった..!

【感想などなど..】
この作品は、ユンファとサリーが初共演した作品。

サリーがレイモンドを連れて迷信を調べに行くシーン。あの世の親戚を呼びだし、話をさせてくれるという婆さんに会いに行って、婆さんがレイモンドの親父になってベラベラとしゃべるのだが、こういうことができる人って、ほんとに霊が乗り移ってるのかなあ..。だいぶ前、素人のモノマネ番組で、“自称”霊媒師のおばさんが、死んだ芸能人の霊が自分に乗り移って話をするとか言って、いろんな人の全然似てない真似をしていた。司会の清水国明が「ボクのおばあさんを呼んでください」って頼んで、おばあさんが乗り移って、しばらく会話をした後、清水国明がボソっと「オレのばあさん、まだ生きてる」って言ったときは、腹を抱えて爆笑してしまった。これを見て以来、なんかああいうのってボクはインチキって思えてしかたがない..。(笑)

ラストは、ちょーっと納得がいかなかった。ユンファの先輩のロー・リッが、霊が事件を再現することを予想して、あらかじめユンファの銃を空砲にしておいたので、撃たれたユンファたちは助かってめでたしめでたしだったのだが、そこまで予想できるもんなのかなあ..。

再現された真実というのも、予想通りの展開で、もう少し、ひねった結末にしてほしかった。
何必有我 (WHY ME?)

おすすめランク    

出演
ケント・チェン (鄭則士)
チョウ・ユンファ (周潤發)
オリヴィア・チェン (鄭文雅)
チュウ・コン (朱江)
エリック・ツァン (曾志偉)
シン・フイ・オン (成奎安)

監督:ケント・チェン (鄭則士)
1985年度作品

最後の最後まで不幸すぎて、ラストは、「そんな運命はひどすぎるやろー!」と、この映画自体に問題があるなーと思ってしまった。

書きづらいなー。だけど、こういう作品も香港映画にはあるんだ!ということを伝えたいのであえて書く。

【ストーリー】
ある村に、知的障害のあるフェイマオ(ケント・チェン)と母親が暮らしていた。フェイマオは村人たちから、差別され、シンフイ・オン率いるチンピラにイジメ倒されていた。ある日、社会福祉の仕事をしているホーホー(オリヴィア・チェン)が雨宿りした小屋に住んでいたのが、フェイマオたちだった。はじめのうちはフェイマオを拒絶していたホーホーも、しばらくして心を通わせるようになっていった。母親は、フェイマオの父親はすでに死んでいて、生活も苦しく、でもフェイマオのために、がんばって働いていることをホーホーに話す。そして、まだフェイマオは父親が死んだことを知らず、いつか帰ってくる日を待ち続けていることなども話した。

ホーホーは何とか助けたいと思い、生活援助を受けるよう、説得するが、母親は他の人から施しは受けたくないと拒絶してしまう。ホーホーは時間をかけて説得し、母親はやがて援助を受け入れることに納得する。しばらくして、母親が突然倒れ、病院に運ばれる。医師から手遅れだと告げられ、フェイマオとホーホーが見守る中、母親は死んでしまう。

その後、悲しみの毎日を送るフェイマオのところに、またチンピラがやってきて、殴る蹴るの暴力をしたあげく、「お前の母さんは体を売っていたんだー!」などとほざく。あったまにきたフェイマオは、シン・フイオンに包丁を突きつけ、ある工場に立てこもってしまう。警察が包囲する中、事件を聞きつけたホーホーとホーホーの恋人、ユンファは、フェイマオを説得するため、工場に入る。中に入ると、フェイマオがシン・フイオンの手と足をロープで結んで、吊し上げていた。ホーホーは、説得するため、「お父さんが帰ってきて、外でフェイマオを待っている。」と言う。そしてフェイマオの手からロープを取ろうとした瞬間、シン・フイオンは床にたたき付けられ、死んでしまう。フェイマオが父親に会えると喜び外に出ると、母親が嫌いだった警官が包囲していたため、包丁をふりまわしながら走り出し、襲ってきたと思った警察の銃に撃たれ、フェイマオは死んでしまう。

【感想などなど..】
ちょっと、待てよー。ひどすぎる話やなー。こういう作品って、何か最後にはフェイマオにいいことが起こって、知的障害でありながらも、それなりに幸せな日々を過ごしていったっていう終わり方ならいいけど、死んじゃうってのはどうかなー。こんなん、これだけ不幸になってしまったら、死んで親のいる天国に行った方が幸せだよー、と言っているようなもんじゃないか。問題ありあり。

しかし、この終わり方。ボクが見たモノと、ある本に書いてあった内容が違っていた。本には、フェイマオが結局、終生を刑務所の中で送ることになった、と書いてあった。死ぬのはかわいそうだから、ってあとから変更したのかもしれないけど、こっちの内容も不幸すぎ!

この作品にはもうひとつストーリーがあるのだが、自分がよかったら結局はそれでいいんかい!と思ってしまう内容。ホーホーは、父方のおばあさんと暮らしていて、両親は離婚していた。父親が働きもしないぐうたら人間で、いつもおばあさんに金をもらいに来ていた。それを良く思わないホーホーは、父親を毛嫌いしていた。ある日、母親が再婚してオーストラリアに行くことになり、それを祝福するホーホーだったが、これで家族の何かがなくなることを、ふと感じる。フェイマオと母親の仲のよい家族というものを見ていくうちに、ホーホーは父親との間の仲を修復しようと思うようになる。最後には母親は再婚したものの、親子の3人の絆は取り戻せてよかったよかったというストーリー。

そして最後の最後、フェイマオが死んでしばらくして、ホーホーがユンファに「もう、こんな仕事はこりごり」と言っていると、また別の障害者が現れ、それを見たホーホーは「どうしたの?」と話しかけ、ユンファが「やれやれ。」といった表情をしたところで、エンディング。

なんか、こんな終わり方だと、自己満足のために誰かを助けてやって、その対象は誰だっていいって感じで、ホーホーがフェイマオたちにしてきたことが、偽善でしかないように思えてしまう。

チンピラのイジメ方もすごかった。板きれでぶったたいていたら、一人が釘があるのに気づき、フェイマオの手のひらめがけてぶっ刺してる。うーん、不快極まりない!

この作品は、おそらく香港の人々の障害者に対する扱いがひどかったから、「こういう差別やイジメはやめましょうね−。」ということを訴えるために作られた作品なのだろう、たぶん..。

スタープラスで放送していたこの作品。ユンファスペシャルとして放送していたから楽しみにして見たのだが、ユンファの役も別にユンファでなくてもいいような役だし、ストーリー展開も、フェイマオを不幸のどん底まで突き落とす、救いようのない状態で、見終わった後、ブルー入りまくりだった。

この作品が公開された年には、同じく知的障害者を扱ったサモ・ハン監督の「ファースト・ミッション」も公開された。この二つを比較すると、いうまでもなく「ファースト・ミッション」の方が、いい。

でもこの作品は、ケント・チェンが香港電影金像奨主演男優賞を受賞し、香港評論家大賞も受賞した作品なのである。日本と香港では文化も倫理観も違うので、まだまだボクにも香港映画に対して理解できない部分があることを思い知らされた気がした。
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