姫君の夢
Dream of the  princess


新一がいなくなってから私の心には穴が開いている。
どこかでココロの欠片を落としてしまった。

消えてからも新一はたまに私に顔を見せる。
私はその度に欠片を見つける。
新一がいるとなんだか全てを満たされる感じがする。幸せってこういうことなんだろう。
あなたがいなくなってから気がついたこと。
けれど、見つけた欠片に手を伸ばした途端に消えてしまう。
お姫様にも手に入れられないものがある。

シンデレラ。
12時までの幸せなひととき。
その幸せも夢だったのかと思うくらい短い時間。
でも、シンデレラの結末は王子様との結婚。ハッピーエンド。

なのに、私の王子様は違う。
いつまで待っても迎えに来てはくれない。

プルルルップルルルッ
王子から電話。
帰ってこられない言い訳は決まっている。
「ゴメンな、蘭。今は大事な事件があるから。」
もう聞き飽きたよ。
心配になって尋ねた。
「私よりも事件のほうが大切なの?」
「姫、いつか必ずあなたを迎えに来ると約束します。」
埋められていく心。
やっぱり私はその言葉を信じてしまった。馬鹿な私、何度裏切られたと思っているの。
でも、ここで待ってる。
また、夢の続きを見せて。

あの日のように。

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作者のあとがき

完全なダークになる前に少し休憩。久しぶりに優しい蘭です。

今までのダークな話とは別に考えて下さい。

これからはダーク路線を暴走します突っ走ります。

それにしても、ホントに短いですね。