作者・蓮華

追跡



秋も終わりに近い。

小学生の体になってから、一年がもうすぐ過ぎようとしていた。

「工藤君。今日・・・・・・・」

コナンに一人の少女が声をかけて来た。

彼女の名は、灰原 哀。

コナンと同じくアポトキシンで幼児化した一人だ。

「ああ、判ってるよ。・・・・ところでアレはどうなってんだ?」

「アレ?」

哀の頭に疑問符が浮かぶ。

「だーかーらーあの解毒剤だよ!!」

「ああ・・・・・貴方ってホントせっかちね。まだよ。」

そんな会話を盗み聞く三人の怪しい人影。

って小年探偵団の皆さんじゃないですか。

何やってんですか?

「尾行です。」

なんで・・・・・・・

それは、ほんの二、三十分前の事。

「あの二人、最近仲がよすぎるんですよ!!」

怒り気味に光彦が言った。

「そうよね!絶対何かあるって!」

「もしかしてうな重食いに行く相談か?!」

「「いや、それはないって」」

二人同時に突っ込まれて落ち込む元太。

「でも、ホントに怪しいよね。昨日だってなんか二人で一緒に帰ってたし。」

「確かにそうですよね。一回後をつけて見ましょうか?」

「おぅ!そうしようぜ!」

そんな成り行きだった。

通学路を下校するコナンと灰原

その後をつける三人。

もちろん二人が気づかないはずもなく

「工藤君」

哀は出来るだけ後ろに気づかれない様にコナンに話しかけた。

「判ってるって。っつーかあいつら、なんでつけてくるんだ?」

「私と貴方の事、誤解でもしてるんじゃない?」

「ふーん」

と、コナンが何か考え出した。

「なぁ・・・灰原・・・」

「何?」

「あいつ等の思ってる通りに、やって見るか?」

コナンの提案に灰原は

「え?」

「だからさ、なんつーか・・・・・付き合ってる振り?やらねぇ?」

にやりと意地悪げな笑みを浮かべながら、コナンが言った。

その提案に灰原は

「なんでそんな事しなきゃいけないのよ。いや。」

あっさり、否定

「いいじゃん。暇つぶしにさ。」

「ホント、そう言う所は子供とかわらないんだから」

「まぁまぁ、どうせ今はガキだろ?」

「しょーがないわね。で?どうするの?」

「うーん・・・・・・、そうだ!」

と、そこでコナンは後ろの方の三人にも聞こえるくらいの声で

「デートでもすっか?」

それを聞いた三人は・・・

「「「え゛ーーーーーー!!」」」

と、小声で叫んだ。

一応尾行の心得はあるらしい。

「や、やっぱり付き合ってるのかな?」

「そ、その可能性の方が高いですね。」

この時、光彦の頭の中では何かが崩れ落ちて行った。

「デートってやっぱりうな重でも・・・」

「「それはない」」

「そ、そうか・・・」

元太はかなり落ち込んでいた。

「あいつら尾行してる気あんのか?あんな大きな声出して・・・」

やっぱりあの三人の”え゛ーーーーーー!!”という声は聞こえていた。

「それより、デートってどこいくのよ?」

「ところでさぁ、お前ってデートとかしたことあんの?」

「デートっていう設定で暗殺を頼まれた時はあったわよ」

「そ、そうか、で?暗殺、したのか?」

「私は監視役だから、人殺しはしないわ」

「んじゃさ、デートはしたことないわけ?」

灰原が一瞬ビクッとした。

「マジでないの?」

「悪い?」

「いや、悪くはないけど、84のばばあがデートしたことねぇーのか?」

「だからねぇ、私は84じゃなくて・・・、ってそんなこといってたんじゃなくて、何処行くの?」

「ん〜、そうだなぁ、あっそうだ、今日この近くで祭りやるから行って見るか?」

「後ろの三人にも言わなくちゃね」

「あぁそうだ忘れてた」

そういうとコナンは後ろの三人に聞こえよがしに

「近くの祭りにでもいこうかぁ〜!」

「お祭りだってー、やっぱりコナン君と灰原さんは・・・・」

「そ、そうだったんですか・・・灰原さんがコナン君と・・・」

「なんだよ、二人でボーっとしちゃって、祭りにいかねぇーのか?」

「「行く!」」

かなり意気込んでる様だ。

「そ、そうか」

元太は少し二人に怯えていた。

「来るらしいわね」

やっぱり聞こえてた・・・。

「あぁ、見事にハマる奴等だな」

そう言いながら、二人(+三人)は、祭りのある神社へと着いた。

「人が多いわね」

「もっと楽しそうに言えないのかよ」

「ところでなんか食うか?」

「別に・・・」

「じゃ、じゃぁ綿菓子でも食おうぜ」

「そうね」

「おい、あいつら綿菓子食ってるぜ、うまそー」

「コ、コナン君が・・・」

「はぁ・・・・・・」

「なんだよ、二人ともさっきからボーっとしちまってよ」

「いえ、もういいんです。」

「なにがいいんだよ」

「もういいのよ。」

「なんなんだよ、二人で!」

「後ろで喧嘩始めちまったみたいだぜ?」

「そろそろ演技するのやめる?」

「ん〜、最後になんか決定的なのやりたいんだよなぁ」

「決定的なの?例えば?」

「そうだなぁ、例えばキスとかぁ・・・」

「は?!」

「ふりだけだよ」

「あぁ、そう」

少しがっかりしている様に見えるのはコナンの気のせいだろうか?

「じゃ、ちょっと場所を変えるか?」

「そうね」

コナン達は、神社の裏手へとまわった。

そして!

キスをするふりをした。ちょうどあの三人からの角度を考えて・・・。

「キャーーーーー、コ、コナン君と灰原さんが!」

「そんなぁ〜〜〜〜!」

もはや二人はパニクった状態。

「で、お前等何やってんだ?」

「あ、歩美ちゃん、隠れて」

「おい、隠れても無駄だよ。最初からばれてるからな」

「本当に、ばればれの尾行だったわね」

「おい、俺達マジでバレてんじゃねーの?」

「そうみたいですね」

ガサガサガサ

「ね、ねぇコナン君。コナン君と灰原さんって付き合ってるの?」

「かもな」

「かもね」

「「「え゛ーーーーーー!!」」」

「んじゃ、もう遅いから帰るわ」

そういって二人は三人に最大の疑問を残して家路へと着いた。

END

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++管理人の感想++

蓮華さんからのHP開設記念の作品です。

めっちゃありがとう!!!

無理を言ってコナンを書いていただきました。

コナンでもやっぱりうまいですね。

特に、子供らしい少年探偵団の3人と大人なコナンと哀の対比が好きです。

また、お願いしますね。