映画部屋

恐ろしいほど金がない




2005年4月


4月3日

ロング・エンゲージメント
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:オドレイ・トトゥ ガスパール・ウリエル ジョディ・フォスター


試写会で見ました。チラシとかではなんかベタベタのラブストーリーっぽくてあまり食指が動かなかったが、原作がセバスチャン・ジャプリゾ(「シンデレラの罠」の人です)でミステリーと聞いて見てみました。うん、たしかにベタラブかつミステリ。
ちょっと見てから時間が経ってしまったので細部を忘れてしまいましたが、なかなかよかったですよ。いつもながら前半少しウトウトしたので人間関係が掴みにくかったのですが。途中脇で少し出てくる女性が、「ジョディ・フォスターに似てるなあ、でもフランス映画やし、ちょっと老けてるし別人やろ」と思っていたら、バリバリ本人でした。なんでこんなところに?って感じの役でした。
それにしてもとにかく撮影が美しい。風景もですが、戦場のセットや美術が素晴らしかった。なかなか、まあまあの映画でしたな。


4月3日

アビエイター
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ ケイト・ブランシェット ケイト・ベッキンセール


さほど期待してませんでしたが、思ったよりはだいぶ面白かった。
これまでディカプリオのよさというものがまるでわかりませんでしたが、今回はかなりよかった。かなりややこしい性格の人を、とにかく一生懸命演技していて好感を持ちました。
スコセッシの映画は久しぶりですが、なんだか昔のようなアクというか癖の強さがなくなりましたね。真正面からいい映画でした。こうなると天邪鬼の血が騒いで文句のひとつもつけたくなるのですが、うーむ、思いつきません。
ハワード・ヒューズについては、エルロイの小説とかで露悪的に描写されているのしか知らなかったので、純な性格描写が新鮮でした。
それにしても、なんというか、アメリカだなあ。


4月3日

香港国際警察 NEW POLICE STORY
監督:ベニー・チャン
出演:ジャッキー・チェン ニコラス・ツェー ダニエル・ウー


いやはや、ジャッキーの新たな代表作誕生です。素晴らしかった!
ジャッキーはすでにハリウッドに見切りをつけた(先日の読売新聞のインタビューで言ってました)ようで、これが香港への本格復帰第一作ということで気合十分だったのでしょう。
磐石のシリーズで守りに入ったかと思いきや、積極的に若手を起用し、父性すら感じさせる役どころ。これまでと同じようで、確かに違う。未来に向けての意思を感じます。
脚本も(香港映画にしては)よく練られていて、演出も引き締まっている。香港的ベタギャグが少なかったのが残念だが、その気持ちはラストで少し報われました。
そしてもちろん、何よりもアクションの凄まじさ。ビルから滑り降りてきたりバスの上で飛んだり跳ねたりももちろん素晴らしいのですが、何気なく見せる、ヒョイっと壁を越えたりする身の軽さが涙が出るほど感動的なのです。もう50過ぎやで!
いやはや、ジャッキーの新たなる門出に乾杯!


4月17日

インファナル・アフェア3 終極無間
監督:アンドリュー・ラウ アラン・マック
出演:アンディ・ラウ トニー・レオン ケリー・チャン レオン・ライ


さあ、完結編。過去にさかのぼった二作めと違い、舞台は再び現代へ。っておいおい、そもそもこの話、一作目で完全に終わっている話で、アンディ・ラウ以外のメインキャラのほとんどは死んでしまってるんですけど?
ということでトニー・レオンも出演させるための苦肉の策として、一作目の直後と、その数ヶ月前という二つの時間軸が並行して描かれます。これがとにかくややこしい。
「あれ?このアンディ・ラウはどっちのラウ?」などと混乱することしきり。しかし半ば強引とも言える演出力で引っ張りまわします。強引でもちゃんとそれなりに面白いのがこのシリーズのすごいところ。ラストはそれなりに納得のいく哀しいものでした。
それにしても、この作品を押さえて香港アカデミー賞を取ったのが、同じくアンディ・ラウ主演のこれというのがもうめちゃくちゃで意味不明です、香港映画界。


4月17日

エレファント
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ジョン・ロビンソン アレックス・フロスト エリック・デューレン


ああ、なんというせつない映画。
アメリカの高校での銃乱射事件を題材にしたものですが、全編の90%は高校生たちの学校での他愛もない日常が淡々とつづられるばかり。生徒の一人が手持ちカメラで学校をうろついているかのような映像は、これから起こる惨事の不安感をあおるというより、いかにわれわれの日常が脆いものの上に乗っている危うい状況なのかを伝えてきます。
気まぐれに移り変わるナイーブな少年たちの視点。ダメだー。つらいわ、この映画。


4月30日

逆境ナイン
監督:羽住英一郎
出演:玉山鉄二 堀北真希 藤岡弘、 田中直樹


えっと、原作漫画は島本和彦の超超超名作。とにかくいつでも逆境に追い込まれる野球部キャプテン・不屈闘志(名前です)と監督、校長などの熱すぎる魂を余すところなく活写した熱血ドラマです。
熱すぎて完全にギャグになっているのですが、そこらの上っ面だけのスポ根パロディと一線を画すのは、やはり島本和彦本人が途方もなく熱い魂を保持し続けているからでしょう。僕の落ち込んだときのバイブルです。
しかし、漫画の実写化というものは、思い入れがあればあるほど宿命的にイタイものになりがちで、その意味でこれもご多聞に漏れず。
ところがキャストが思いのほかよくて、特にココリコ田中のサカキバラ・ゴウは素晴らしいキャスティング。そしてところどころにわりと面白い演出もあって、まあ健闘したほうかも。脚色がちょっとありきたりでしたね。
ちなみに学生時代作りかけていて頓挫した熱血野球映画は、激しくこの漫画に影響を受けていて、若かった自分がやりたかったことが結構画面に再現されていて気恥ずかしかったです(笑)。


4月30日

真夜中の弥次さん喜多さん
監督:宮藤官九郎
出演:長瀬智也 中村七之助 小池栄子 阿部サダヲ


いやあー、良くも悪くもクドカン節全開。キャストも思いつく限りのクドカン人脈総動員。
前半がとにかくノリノリで楽しく、ちょっとした動きや台詞回しが面白くて、げらげら笑えます。多聞現場で即興的演出がかなりあったんじゃないかなあ。とにかく「面白く見える、聞こえる」方にちょっとでも寄せていこうとする意欲が旺盛で、好印象。
ただ、後半がかなり怖い展開に。そもそも弥次さんと喜多さんがホモで、喜多さんは薬物中毒という設定。後半の暗くシュールな展開が、実はこの映画丸ごと喜多さんの妄想世界なんじゃないかと思わせる。そう考えると、前半と後半のテンションの違いが、ジャンキーの躁鬱の対比のようで怖い。
そしてこの暗さこそ実はこの話の本質なんだと思います。うう、実はいやな映画かも。


4月30日

コーラス
監督:クリストフ・バラティエ
出演:ジェラール・ジュニョ フランソワ・ベルレアン ジャン=バティスト・モニエ


今日まで使えるタダ券があったので見てきました。
わりと評判が高くて「泣ける」という噂でしたが、たいしたことはありませんでした。 いまどき信じられないくらい工夫もないシンプルな映画で、これがフランスで大ヒットとか聞くと、「ホンマかよ」と意地悪く疑りたくなります。
だって問題児ばかりの寄宿学校にやってきた先生が歌で皆をまとめあげる、というホントにそれだけの話で、金八先生の1エピソードよりもシンプルだよ、これじゃ。
起承転結で言うと、起と承で終わっちゃった感じ。もの足りまへん!


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