温泉館体験(ビンチャウ Binh Chau)
   
HCM市・Fiona

 2004年テト(旧正月)。何にもすることがない。
 ふと、日本に一時帰国したとき、温泉郷近くの叔母の家を訪ねておきながら、温泉に行っていなかったのを思い出し、 急に温泉に行きたくなった。
 ベトナムにも一応温泉が沸いている。ホーチミン市から一番近いのは、ホーチミン市からブンタウを抜けて 3時間半ほどいったところにあるビンチャウ温泉。最近「サイゴン・ビンチャウ・エコツーリスト&リゾート」として開発され、きれいになったということで、P氏と一緒に足を伸ばしてみることに。

 到着してみると、何にもない田舎の一本道の向こうにゲートが見え、レンガ色の大きな建物がみえる。
 車を止めてゲート前で入場料を払う。一人15000ドン。なぜか門のところでお絞りを配っていた。これで体をふけってことか???
 中に入ると大きな甕から水が溢れるオブジェがあり、その向こうに大きな建物があり、さらに向こう側にゲートがあり、奥は公園のようになっているようだ。ゲートでチケットをもぎってもらい、中へ歩いていく。
 右側に温泉の入り口があり、そこにある小屋で入浴したい旨を告げると、テトのため混み合っており、2人用は満室、5〜7人用なら30分後に空くと言われたので、その間に園内を偵察することにする。
 ずんずん入っていくと、ちょっとした公園がある。きれいなのだが、なぜか大音響で歌謡曲を流している。これがなければゆっくりできるのに。。。公園に水が溢れているところがあったので、「ひょっとして温泉?」と手をつけてみたら、ただの水だった。がっくし。
 さらに奥のほうに小さなプールがあったので行ってみると誰も泳いでおらず、監視のおじさんが一人ぽつんと座っているだけ。そこに「→50メートルプール」と書かれているので、おお、そんな大きなプールがあるのか、見てみよう、と、細い板張りの道を歩いていく。
 と、両側に竹でつくられた小屋がいくつも見える。どうやらここで温泉につかるようだ。竹の隙間から人が動いているのが見える。水着なしでは入れない。
 二人用と書いてある使用していない小屋があったので、中をのぞいてみる。ホテルについているのとおなじようなバスタブが二つちょこんと並んでいる。ベトナムでは温泉はみんなで入るものではなく、一人ずつ使って、お湯は使い捨てにするらしい。
 さらに歩いていくと、プールが見えてきた。って、とてもこれは50メートルプールにはみえない。テトのために人がごった返しており、みんな楽しそうにじゃばじゃばと水浴びをしている。ベトナム人は泳げる人が少ないので、じゃばじゃばしたり、もぐったりしているだけである。
 そばに寄って水をみて愕然。水がなんだかにごっていて、汚い。P氏は「汚いよ〜。泳いだらぜったい病気になる」といっている。私は「温泉の色なのかな」と思っていたが、汚いような気もして、泳ぐ気にはちょっとなれなかった。
 プールを見物した後、2人で「温泉入るのやめとこうか〜」などと話していたが、入浴チケット売り場のおじさんと丁度出くわしてしまい、「入るだろう?」といわれると、はっきり断れずに口をもごもごさせるP氏。「二人用があいてないし、どうしようかと思って」というと、「だったら泥マッサージのお風呂が空いてるよ。そこなら一人70000ドンだ」という。70000ドンはちと高いようにも思ったが、せっかくきたことだし、話のタネに入ってみることにする。

 泥マッサージ用の小屋はレンガ色の屋根で、窓の部分は木をクロスさせているだけなので、中が良く見える。ただの温泉より人気がない様子だ。中は普通の温泉の小屋より広く作られており、奥にバスタブがハの字に配置されている。一見するととてもきれいだ。
 ただしよ〜くみると、バスタブに垢がついている。泥を流すので垢に泥がついてとても目立ってしまうのだ。お金も払ってしまったことだし、幸い私は目が悪いのでそのあたりは気がつかなかったことにする。
 更衣室兼シャワー室は別途となりについているので、そこで水着を着用。P氏は水着を持っていなかったので、タオルを巻いて下着を脱ぎ、そのまま入浴することにした。
 ところが、片方のバスタブ蛇口が壊れていて、お湯が出てこない。シャワーは使えて、同じく温泉がでてくるので、それでなんとかお湯をためることすることにする。ここはベトナムだ。多少のことは目をつぶろう。でも、最初にチェックして不具合があったら場所を取り替えてもらったほうがよいと思う。
 お湯は透明で、ちょっと臭いがあり、なめると塩味がする。ということは。。。プールには入らないほうが無難でしょう。
 入浴の仕方がベトナム語と英語で表示されている。@15分間、37度の温泉にじっくりつかる。A体を洗い、泥を体に塗り、10〜15分待つ。B泥を普通の水でよく落とす。C水を飲む(お金を払うときにお水をくれる)。しかし、お湯がなかなかたまらない。着替える前にお湯を入れて置いたほうが早いだろう。37度なので、お湯がたまるころにはかなりぬるくなっている。風が吹くとちょっと肌寒く感じるので、じっくり浸かったほうがいい。
 泥は、保温容器にいれて、温かい状態でもってきてくれる。P氏はニャチャンのほうでも泥風呂体験をしているが、そちらでは泥が冷たくて塗るのがつらかったといっていた。色はこちらは黒だが、ニャチャンのほうは灰色らしい。泥の中には薬草(?)のような、わらのようなものが混じっているので、スムーズにはぬれない。夕方になって風が出てきて肌寒いので、手早くぬって、顔だけ一応丁寧にマッサージしてみる。背中は自分では塗りにくいので、一人で来ることはおすすめしない。
じっとまっていると、泥が乾いてきてグレーになる。お互いの顔をみているとかなり笑える。でも体がだんだん冷えてきたので、水で流す。本当は隣のシャワー室で流すのかもしれないが、めんどうなので、そのまま温泉で流す。
 こんなんで温泉の効果が果たしてあるのか?かなり疑問だったが、帰りの車の中では体がぽっぽとしてきたので、多少は効果があるような気がする(ただ単に低温度のお湯に長く使っていたせいかもしれないけど)。肌もマッサージの効果があったのか、つるっとぷりんとしているような気がする。
 実際に入ったお風呂は低温だったが、源泉は82度ぐらいあるらしい。温泉卵も1個2000ドンでつくれるという。

 テト明け、「温泉どうだった?」と聞かれるたびに、うーん、と言葉に困ってしまう。私としては面白い体験が出来たと思うけれど、みんなに「良かったからぜひ行ってみて〜」といえるようなほどではない。「もう一度いってみたい?」と聞かれたら、「一度でいい」と答えると思う。だが、ホーチミンの観光地に行き尽してしまった方には、ローカル気分を味わうにはもってこいだと思う。話のタネにどうぞ。

<利用料金>
バスタブ 8〜10人用 200,000VND
バスタブ 5〜7人用  160,000VND
バスタブ 2〜4人用  100,000VND
風呂   1人  30,000VND
泥風呂  1人 70,000VND
プール  大人 15,000VND
      子供  7,000VND
<営業時間>
月曜日〜木曜日 6:00〜18:00
祝日、テト 8:30〜21:00
(2004年1月現在)