くものおそうじやさん


「あら、ひとあめ ふりそうね」
 ママは、まどの そとを みていいました。
「どうして わかるの?」
 みそらちゃんは、ママに ききました。
「ほら おそらを みて まっくろぐもが もくもく してるでしょう」
 みそらちゃんは、おそらを みてみました。
「ほんとうだ! まっくろぐも!」


 ママは、おせんたくものを とりいれたり いそがしそう。
 みそらちゃんは、ずっと まっくろぐもを みていました。
 すると まっくろぐものなかに おとこのこが いるのをみつけました。
「あれ? あのこ なにしているのかな?」
 みそらちゃんが、ふしぎそうに ながめていると 
 おとこのこは、みそらちゃんに きがつきました。
 それから おとこのこは、うれしそうに おおきくてをふると
「ぼくの おしごと てつだってくれない?」
 みそらちゃんに むかって そういいました。


 けれど それは あまりにも とおすぎて みそらちゃんには
「ゴロ ゴロ ゴロ」
 としか きこえませんでした。
 みそらちゃんは、かみなりだ! とおもって おとこのこに
「あぶないよぉー!」
 てをふり ながら さけびました。
 おとこのこには それまた とっても とおかったから
「いいよー!」
 といっているように きこえました。
 おとこのこは、うれしそうに じぶんのうでを ぶるんっと まわしました。
 すると そのては、びょーんと のびました。
 どんどん のびて のびて のびて みそらちゃんの うでを むんずと つかみました。
 そうしたら あら たいへん!
 ごむみたいに びょーんと みそらちゃんを まっくろぐものなかに つれてきて しまいました。


 みそらちゃんは、すっくと くものうえに たちあがると おとこのこに あいさつしました。
「こんにちは! わたしは みそら。 こんなとこにいたら あぶないよ」
 おとこのこは、くすくす わらうと エヘンと せきばらいをしました。
「だいじょうぶさ! ぼくは くもの おそうじやさんだもの」
 そういって おおきなモップを とくいげに みそらちゃんの めのまえに つきだしました。


「くもの おそうじやさん?」
 みそらちゃんが、くびをかしげていると
「あれ? ぼくの しごと てつだって くれるんじゃあないの? いいよー! って きこえたんだけどなぁ?」
 みそらちゃんは、それをきいて おおわらい。
「あぶないよぉー!っていったんだよ」
「なんだ、そうだったのか。 ごめんよ。ぼくは、くものおそうじや モックっていうんだ。よかったら てつだってくれない? きょうは、おおしごとに なりそうなんだ」
 モックはいいました。


「なにするの?」
 みそらちゃんは、わくわく どきどき。
「はい これで くもにおみずを かけて」
 モックは、そういうと じょうろを みそらちゃんに てわたしました。
 そして まっくろぐもに じょうろで おみずを かけはじめました。


 みそらちゃんも いわれるとおりに まっくろぐもに たっぷり おみずを かけました。
 ふしぎなことに じょうろからは、いくらでも おみずがでてきます。
 みそらちゃんが、したを みると みそらちゃんの おうちの まわりは どしゃぶりの あめでした。


 モックは、とってもたのしそうです。
「いつもいつも どこで こんなに よごしてくるんだい?」
 まっくろぐもに、はなしています。
 まっくろぐもは、すこし てれながら モックに あやまっています。
 みそらちゃんも、いっしょうけんめい まっくろぐもに おみずをかけました。
「みそらちゃんの おかげで きょうは もうしごとが おわるよ! ありがとう」
 モックは、みそらちゃんに おれいを いいました。


 そして ドライヤーをとりだすと
「さぁ! きれいになったから さいごのしあげ! いっしょに ふきとばされないように きをつけて」
 そういうと ドライヤーの スイッチを いれました。
 ブォーーン
 くもを ぜんぶ ふきとばして しまいそうな
 ものすごい かぜがふきました。


「できあがり!」
 モックが、そういうと まっくろぐもは まっしろぐもに だいへんしん
 みそらちゃんの おうちの まわりも ぱっと あかるくなりました。
「ごくろうさま! みそらちゃん。おれいに そらの おさんぽに つれていってあげる」
 モックが、そういうと くもは、もくもくもくっと とりに だいへんしん。
 とりに なった まっしろぐもは、みそらちゃんと モックを のせて ゆっくり はばたきました。


 みそらちゃんの おうちが、どんどん ちいさくなっていきます。
 ふわふわと おそらの おさんぽ。
 そらには、いろんなくもたちと くものおそうじやさんが いました。
 かめさんくも、ぞうさんくも、かいじゅうくも、くまさんくも、
 それから おいしそうな シュ−クリームくもや ケーキくも。
 だんだんと そらは あかーく かわってきます。
 くもたちは まっかなゆうひに みつめられて まっかか。


「もう そろそろ かえらなくちゃ」
 みそらちゃんが、そういうと だんだんと みそらちゃんの おうちが おおきくなってきました。
 くものとりは しずかに じめんに おりました。
 みそらちゃんは、くもから ぴょんと とびおりると
「たのしかった! またおそうじ てつだうね!」
 そういって バイバイと てをふりました。
 モックは、うれしそうに にっこりわらうと
「またね!」
 と おおきくてを ふりながら そらへと かえっていきました。





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