参加しているML(メーリングリスト)で、とても心ひかれるお話しがありました。 そのお話しを読んだ時に、ふと「書いてみたい!」そんな気持ちが芽を出しました。 それから、いろいろと悩み、何度も書き直して「お星さまに抱かれて」と言う作品を書きました。 この作品を書くきっかけとなった紙町さんのお話しを紹介しておきたいと思います。
星の降る丘 ・・・・・・・by 紙町さん MISIAに「星の降る丘」という歌があって、それにぴったりの場所がある。高森高原と言い、名前の響きも清楚でいいね。 まず、盛岡市から国道を北に一戸町の手前で国道を逸れる。アスファルトを割って雑草が伸びる、鄙びた温泉に向かうような道を延々上り詰めると、すうっと森が切れ、蒼い空に縁取られた緑の高原が現れる。 ここには観光天文台があって、望遠鏡で星を見せてくれるのだけれど、それはもったいない話です。 だって、街の灯が一つもなく、視界を遮るものがないから、地平線から上は全て星空なのです。どこでもいい。草原に寝ころんでみると、本当に星が降ってくる。視野いっぱいが星空になる。 その草原に、女の子がひとり、膝を抱えて座っていた。夕暮れである。彼女は、山々の頂きに煌めきを残して消えていく太陽に背を向けて、東の夜空を見つめていた。空が海の底に溶けていくような深い碧色である。 ああ、これは失恋したのだろうと思った。なにか辛いことがあったのは間違いない。 オレンジ色に染まっていた草原はまた緑を取り戻し、夜が訪れた。けれど、それは闇ではなかった。彼女の頭上に星が瞬いた。蛍のように暖かい光に彼女が天を仰ぐと――満天の星空から星が降ってきた。少しこわばった彼女の顔に笑みが戻ってきたようだった。 そうなんだ。きっと、人にはそれぞれ決まった星があって、道に迷ったり、心が凍り付いたりしないよう、ちゃんと見守ってくれている。だから、くじけそうになったら、高森高原で星のスポットライトを浴びて、自分の人生の主役は自分なんだと、明日に向かって胸を張ってみる。昨日に負けないように、ね。 こんなことを書いて、明日から高森高原のそこかしこで女の子が膝を抱えて星を見上げてたりすると、ぼくの居場所がなくなって困るなあ。 紙町さんに感謝をこめて・・・いつも素敵なお話しをありがとう。