雨が降った。
別段ここシッケアール島では珍しくない。
だが稽古をつけてくれる筈だったミホークがいきなり「今日は自主練に変更する」といってどこかに消えてしまった。
仕方がないのでいつものように筋トレを行って過ごす事にした。
一通りの鍛錬が終わり少し休憩と思ってトレーニングルームの床に寝転んだ。
そこにある音は、俺の息づかいと窓の外から微かに聞こえる雨音だった。

「また〜〜。こんなところで寝てるの?」
「煩せえなあ、ほっとけ!」
「あら?雨が降り出したから一声かけに来てあげたのに、何?その言い草!」
「このくらいの雨ちょうど暖まった体を冷やすのにちょうどいいんだよ。」
「うん、まあそうよね。こんな優しい雨、海上では珍しいもの。
 ってかアンタ土砂降りだって何だって濡れっ放しじゃない!いつも!」
「そう。だから、問題はない!」
「…実際問題はないんだろうけどね。そんなので風邪を引くやわであるまいし。」
「だな。じゃあなんでオマエわざわざ来た?」
「…。そうね、この優しい雨にあたりたかったのよ。きっと。」
「何いってんだ?」
「もういいわよ、この雨も後20分位で止むから、その間そのない頭で考えてなさい!」

あの船の中でいろんな雨に遭遇した筈なのに、今思い出したのがあの他愛もない雨だったのは何故なのだろう?
無論元々雨自体は嫌いじゃない。嵐になって船がどうこうというデカイ物でない限りは天気なんかどうでもよかったからだ。
でもそういった強烈な豪雨なんかは覚えていないの当たり前だが、何故あの雨なのだろう?
優しい雨という表現にぴったりな雨粒の感触なのか?
それを言った時とその後去り際のナミの表情がなぜか目に焼きついているからか?
優しい雨と称した時にふっと見せた優しげな目は本当に優しいと思ったんだ。
そして去り際の仕方がないなあという目、何が仕方がないのかあの時はわからなかったけど、後々何故あの顔になったのか漠然とわかりだしてからあの目も忘れられなくなった
だからこそ今またあの光景を思い出したのか?
そうしてると無性に肌で雨粒を感じたくなって掃き出し窓からベランダに出てしまった。
今日の雨はあの時の雨とは違って優しくない。雨粒が粗いのかもしれない。
それでもこの雨粒をもう少し感じていたくてそのままベランダの床に寝転んでまどろみはじめた。

「相変わらずアホ過ぎるな貴様は!
 雨が降っている外で寝るな!雨が降っていなくてもだが!」
「…煩せえな。」
「ああ、アホな貴様の希望通りにしてやるわ!」

同じようなやり取りでもやはり違う。
とりあえずこの雨が降っている間はアイツのことを考えていよう。
来るべき日に備えての鍛錬の日々には少しの安息が必要だ。
がむしゃらに前へ進むだけではだめだということをオレらは身をもって実感している最中なのだから。



本当は11日に上げたかったんだ。映像は浮かんでるけいつものことだけど上手くできない・・・

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