CLOUDY HEART
ラボに流れているFMで、忘れようがないギターの旋律が流れてきた時、思わず口から「懐かしいなあ。」という言葉が漏れた。
淡々と爪弾かれるギターの音色からボーカルが歌い語る物語に意識を捕られていた俺に、
ラボに訪ねて来て、片隅の椅子に座っていた女から意識を引き戻させるかのように、言葉が発せられた。
「あら、この曲に何か思い入れでもあるのかしら?」
「思い入れなあ。あるっちゃあ、あるんだろうなあ。
好きなバンドだったからな。まあ、色々自分と結び付けて、青春の1ページにしちゃってるところは、あるんだろうな。」
そう言って頭を掻きながらも、質問者の視線から逃れようとした俺に続けて質問が投げかけられた。
「青春の1ページというところね。
じゃあ貴方もこの歌のように、同棲したけど、最後は別れてしまって、苦い思い出になっている人がいるってことなの?」
一瞬ギョッとしたが、ここで押されきってしまっては、向こうの思うつぼ!
気を引き締めて、さっきは敢えて外したアイツの視線に向き合った。
「同棲相手の歌だって知ってるってのは、お前もファンなのか?
それに
男の昔の恋バナを進んで聞きたいタイプなのか?お前は?」
「そうねえ、友達なら楽しいけど、自分の男なら、うん。聞きたいのは山々だけど、聞きたくないわ。」
なんとまあ曖昧でアイツらしい解答だろう!
ルフィを介して知り合った俺たちの今の立ち位置を表しているかのような解答だ。
気にはなっているんだけれど、それ以上何故か踏み出せず、牽制球を投げては相手の出方を伺う日々。
今こそ一歩踏み出せと、誰かに言われているかのようなシチュエーションに、ふと気づいた俺は、声に出して質問しようと決断した。
俺はお前にとってどっちなんだ、と。
その言葉が口から発せられる前にラボのドアが開き、ガヤガヤとした声が耳に届く。
「よぉ!フランキー!今日は何作ってるんだ?」
ルフィが仲間と一緒にやって来た。こうなるともう、色恋の話など出来るわけなく。
当分俺たちの関係は曖昧で雲が掛かった状態のようだ。
年を経るとタイミングを逃してしまうとなかなか進めないものだから、こんな恰好の好機を逃してしまったらどうなることやらである。
しかし、ふとアイツに目を向けたら、向こうも何か残念そうな笑みを浮かべている。
あれ?俺が動けば曇った空も快晴になるのか?!
フラロビです。
元ネタは違った理由でヘビロテになった曲です。是非ようつべでライブ版を聴いてみてください。
ちょっと動くには大人な二人の恋のはじめって感じ出てますか?
