2001年7月


7月21日

空想科学映画読本
空想科学映画読本


著者:柳田理科雄
出版社:扶桑社(単行本)
発行:2001年7月20日
装丁:下平正則

空想科学読本シリーズの最新刊。今回は映画ネタ。
相変わらず安定して面白いけど、
そろそろこのパターンにも飽きてきたかも。
昔、コンバトラーVというロボットアニメの主題歌で、
「身長57メートル、体重550トン〜」というのがあったが、
学生のころこれがどのくらいのものなのか計算したことがあった。
細かいことを忘れたのでもう一回計算してみよう。
ちょっと調べてみたら、170cm、70kgの人で
体積は約700000立方cmらしい。
コンバトラーVがヒトとほぼ同型だと仮定して
これを身長57mに拡大すると、身長は33.53倍、
つまり体積はその3乗倍なので、およそ37697倍で
26387900000立方cm。ここで、体重が分かっているので
密度を出してみると、0.0208g/立方cm!
これは水よりはるかに軽いです。
つまりプカプカ水に浮きまくります。
ん??ちょっと待て。水素の密度は0.09g/立方cm?
ほな水に浮くどころか重りつけとかんと飛んでいってしまうやん!
なんか計算間違ってる?


7月22日

1974ジョーカー
1974ジョーカー

NINETEEN SEVENTY-FOUR

著者:デイヴィッド・ピース
訳者:酒井武志
出版社:早川書房(文庫)
発行:2001年7月15日
装丁:ハヤカワ・デザイン

イギリスのダーク・ノワール超新星という触れ込みで、
エルロイの影響大と聞き、迷わず読んでしまったのだが、
うーむむむ、まだまだ粗い。
いろいろな事件の背景がどうにも説明不足で、
それが単に説明不足なのか、イギリス人なら
分かるような共通認識があるのか、
それすらも分からないのでなかなかカッカソウヨウでもどかしい。
その辺が、分からなくても異様な迫力で引きずりまわしてくれる
エルロイとの実力の差(同じくエルロイ野郎の馳星周も、
実力差は歴然だが、こちらは日本という文化的共通項が
あるのでまだ面白く読める)。
しかしはっきり言って初期エルロイよりは上手いので、
もう少し様子見というところか
(上手いとオモロイはあんま関係ないけどね)。


7月24日

わたしたちはなぜ科学にだまされるのか
わたしたちはなぜ科学にだまされるのか

VOODOO SCIENCE
The Road from Foolishness to Fraud


著者:ロバート・L・パーク
訳者:栗木さつき
出版社:主婦の友社(単行本)
発行:2001年4月20日
装丁:本山吉晴

例によって図書館で借りました(笑)。
さて、僕の好きな疑似科学攻撃本です。
永久機関、常温核融合、UFO、電磁波問題など、
巷に溢れるインチキ科学(著者曰く「ブードゥー・サイエンス」)を
切って捨てつつ科学の本来あるべき姿を提示してくれます。
それにしても読んでて思ったのは、うーむ、
思い切って大胆に言っちゃうと、「アメリカ人てひょっとしてバカ?」てことです。
インチキショーで永久機関を語るメカを売りつけるほうもほうだが、
だまされる人たちのなんと多いことか。
果ては裁判官やNASAまでインチキに引っ掛かりまくっている。
「権力に屈しない市井の科学者が苦心の末画期的な装置を開発した」
って図式に弱いのね。さすが自由の国アメリカだ(苦笑)。
しかし「二度と電気料金を払わずに済みます!」なんてコピーに
引っかかんなっつーの(この装置の開発者の家にはしっかり電線が引かれているらしい)。
あ、あと電磁波に関しては、もう綿密な研究・調査の結果が出てます。
電磁波が体に悪影響を及ぼす(ガンなど)ことはまったくありません。


7月26日

スカイ・クロラ
スカイ・クロラ

The Sky Crawlers

著者:森博嗣
出版社:中央公論新社(単行本)
発行:2001年6月15日
装丁:鈴木成一デザイン室

これも借りモノ。まずは装丁の美しさに見惚れてください。出来れば直接手にとって。
そもそも森博嗣は偏愛的に文庫本の好きなヒトで、
「単行本は重いからイヤ」とHPにしょっちゅう書いている。
じゃあ何で単行本出すんだよといえば、それはもうビジネスだからとしか言えんだろう。
まあそんなことはどうでもいいが、
画一的なデザインにならざるを得ない文庫に対して、
装丁に凝る、というのが、森氏にとっての単行本の付加価値のようだ。
個人的に、本のジャケ買いはしない僕だが、これは衝動的に買いそうになった。
といいつつ借りて済ませている(笑)。
これまですべての森本(もりぼんと読む。もりもとではない)を
購入しているという森フリークの僕が買わなかった理由はただ一つ。
金がなかった。
いや、ないこたないが、この時期いっぺんに
(5日間ほどの間)森の単行本が3冊も発売されたのである。
あっさりあきらめた。

で、内容だが。これはかなり面白い。
舞台は現代日本のようだが、どうやら前大戦のあと枝分かれした
パラレルワールドのようだ。
この世界ではジェットエンジンは実用化されず、
「戦闘法人」という企業間でプロペラ機による長閑な(?)戦争をしている。
しかし、前線でのパイロットたちの日常が独特の薄さで語られていくのみで、
世界観がなかなか見えず、それがまた描写の薄さにフィードバックして、
典雅な味を醸し出している。
そしてラストで明かされるいきなりへヴィな事実。
この落差がせつない。
もうー相変わらず計算高いね、このヒトは。
今年出た森本では一番のお勧めです。


7月28日

墜ちていく僕たち
墜ちていく僕たち

Falling Ropewalkers

著者:森博嗣
出版社:集英社(単行本)
発行:2001年6月30日
装丁:金子國義

上でベタぼめした直後ながら、今年出た森本で最低な一冊(笑)。
この人の短編はシュールすぎて、僕とは合いません。
短かったからダメージは少なかったが、時間の無駄でした。
なに考えてこんなの書いたんだろう。


7月31日

分析・恐怖の洗脳テクニック
分析・恐怖の洗脳テクニック

著者:酒井和夫
出版社:リヨン社(単行本)
発行:1995年8月21日
装丁:光本淳
イラスト:安達東彦

表紙は往年のジュニアチャンピオンシリーズ『わたしは見た!死後の世界!』
とかそんな感じのトラウマ系イラスト。
故あって今この手の本を読まなければならないのだが、内容は相当浅い。
おそらく発行日から見て、オウム騒動のころにあわてて書いたんだろうな、と思われます。
有益な情報がほとんど得られず。しかしこれも薄い本なので無駄は最小限ですんだ。
そんな問題かどうかはともかく。


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