2002年3月
3月15日
シルクロードの鬼神(上・下)
WATER TOUCHING STONE
著者:エリオット・パティスン
出版社:早川書房(ハヤカワ文庫)
訳者:三川基好
発行:2002年2月28日
装丁:ハヤカワ・デザイン
昨年の本格では(っつうほど読んでないけど)ベスト1だった「頭蓋骨のマントラ」の続編。
でも話は独立してて、チベットの中国人囚人、単道雲(シャン・タオユン)を主人公としたシリーズです。
いや、これがまた面白いのなんの! とにかくバタバタしてるときに読んでしまったので、細切れにしか進めず、本当にもったいないことをしてしまった。
なんせ間があくと伏線とか忘れてしまうのよ。
今回は、新疆ウイグル自治区を舞台に、子供が次々に殺されるという事件に単が挑む。
この、殺された子供をつなぐミッシング・リンクが明かされる瞬間が最大のヤマ場。
すすすすすすすげえ! 衝撃の謎解き!
ラストの余韻もすばらしく、一作目は伊達ではなかった! 拍手だ!
3月22日
封印されていた文書
昭和・平成裏面史の光芒Part1
著者:麻生幾
出版社:新潮社(文庫)
発行:2002年3月1日
装丁:新潮社装幀室
シンガポールへの旅行中に読んでました。
あさま山荘事件、ホテルニュージャパン火災、オウム事件、田中角栄逮捕など、昭和・平成の10代事件を、当時は封印されていた文書から振り返るノンフィクション。
面白いけど、変にドラマ仕立てにせずにもっとドキュメントぽくしたほうがいいのにな。
ま、それなりに、という感じの本です。
3月28日
バイバイ、エンジェル
著者:笠井潔
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
発行:1995年5月19日
装丁:小倉敏夫
記念すべき、哲学探偵・矢吹駆シリーズの第一作。初出はなんと1979年。
だいぶ以前に読んだことはあるのだが、再読。
なぜか? もちろん、先日、ついにシリーズ最新作「オイディプス症候群」(光文社)が刊行されたからである!
このシリーズの新刊なんて10年ぶりくらいではなかろうか。
というわけで、襟を正してシリーズ全作を再読してから挑もうというコンタンなのである。
舞台はパリ。ラルース家の首なし死体から幕をあける連続殺人事件。
モガール警視の娘、ナディアは、謎めいた留学生、矢吹駆と事件に挑む。
独特のテロリズム論、現象学的本質直観を駆使する探偵、首なし死体。
ぞくぞくするモチーフが絢爛と現れる、日本本格ミステリの金字塔的作品。
とにかくおもろいんじゃああああ!!!
ああ、早く新作に行きたいが道は遠い…。
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