2002年4月
4月11日
空想科学読本4
著者:柳田理科雄
出版社:メディアファクトリー
発行:2002年4月10日
装丁:下平正則
おなじみのシリーズ最新刊。
面白いけど、ちょっと最近マンネリ気味。
ネタもウルトラマンとかヤマトとか新鮮味がない。
次回に期待。
4月11日
サマー・アポカリプス
著者:笠井潔
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
発行:1996年3月22日
装丁:小倉敏夫
矢吹駆シリーズ新作刊行記念読み返しキャンペーン第二弾。
舞台は中世キリスト教の異端・カタリ派の聖地モンセギュール。
ナディアとカケルの友人・ジゼール・ロシュフォール家で起こったヨハネ黙示録を見立てた連続殺人事件。
二度殺された死体、密室首吊り殺人、カタリ派の秘宝、シモーヌ・ヴェイユ、矢吹駆の思想的絶対敵対者・ニコライ・イリイチの登場、などなど今回も絢爛たる彩りで魅せる魅せる。
現象学的本質直観を駆使しながら、「推理を披露しない」というある意味呆れた名探偵像が素晴らしい。
この完成度は、きっちりと「知」を蓄積している者のみが到達できるのだろう。
うらやましい限りである。
4月14日
顔面考
著者:春日武彦
出版社:紀伊国屋書店
発行:1998年12月25日
装丁:木庭貴信
「顔という装置を人はどう認識するのか」というのにちょっと興味があって読んだのだが、そういう感じの本とは違いました。
脳機能とかそっちのほうがいいんだろうな。
これはほとんど顔に関するエッセイという感じで、漫画から大量に引用したりして分かりやすいけどやや浅い。
ちなみに今回から尼崎市立図書館です(笑)。
4月17日
薔薇の女
著者:笠井潔
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
発行:1996年6月28日
装丁:小倉敏夫
読み返しキャンペーン第三弾。
今回は「アンドロギュヌス」という血の署名を残し、毎火曜にバラバラ殺人を犯すシリアル・キラーの話。
凝りに凝ったトリックと、文学者ジョルジュ・ルノワール(バタイユがモデル)とカケルとの「聖と俗」思想対決がヤマ場。
本格のトリックは、凝れば凝るほどリアリティからは離れていくものであり、本作も例外ではないが、それを「どう虚飾するか」という部分で笠井の底力が十分発揮されている。
例えばバタイユの「過剰な太陽エネルギーによる悪の発生」論とカケルの「虚を補填するための悪としての悪の発生」論の対決である。
こういった、やや強引な笠井自身の思想の盛り込みが面白い。
さて、いよいよ次はカケルがハイデッガー哲学と対峙する超大作「哲学者の密室」(文庫版で1000ページ以上、1600円!)であるが、図書館本がたまっているため、しばし中断。
「オイディプス」はもうすぐだ!
4月19日
カルトの子
著者:米本和広
出版社:文藝春秋
発行:2000年12月20日
カバー写真:藤原新也
装丁:坂田政則
今モヤモヤと構想中の短編の下調べ用に借りました。
カルトにはまった人ではなく、その子供達にスポットを当てたルポ。
オウム、エホバの証人、統一教会、ヤマギシ会…。
自分ではまるなら好きにせい、という感じだが、巻き込まれるものはたまったもんじゃない。
多くの宗教では、子供達はもの心つかない頃から親とは離れ離れにされ、深刻なトラウマを刻まれる。
特にヤマギシ会。子供たちにおこなったアンケートはまったく読むのがつらい。
宗教にはまる人よ、せめて自分の子は救ってやりなよ。
…って言っても無駄なんやな。本人は救ってるつもりなんやろから。
ああやだやだ。
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