080406 別れ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


まだ帰国して一週間しか経っていないのに、
もう、一ヶ月近くすぎてしまったような気がする。

振り返ると後悔ばかりが浮かんできて、ほんとうに参る。
過去が過る度、涙が流れる。
桜がきれいで、心が折れそうになる。

こんなこと、今更言っても仕方がないけれど、
一緒に桜を見たかった。
日本で一緒に過ごしたかった。
もっと話をしたかった。
たくさんキスをしたかったし、たくさん一緒に眠りたかった。

「別れよう」とメールで言われて、
理由を聞きたかったわたしは電話を掛けた。

3時間くらい話をした。

別れ話だけではなく、近況や、他愛もないことも、いろいろ。

愚かな私は、
「突然なので受け入れることができない。
せめて四月をグレーゾーンということで、メールや電話してもいい?」
というようなことを言った。

あと、
「このまま全く連絡をとらなくなることは嫌だ。
こんなに話せる人にひさしぶりに会ったのに、失えない。」
というようなことも言った。

彼はどちらも受け入れた。
でも、今思えば受け入れざるを得なかったのだろうと思う。

一番、絶望的に思ったのは、
「この先時間が経っても、(わたしに対する)見方が変わったり、付き合うことはない。」
という言葉だった。

彼がそう言うなら、そうなのだろうと思った。

彼は、いつだって、自分に正直で、
簡単に心変わりしてしまうような人ではない。

だから、このときは、これっきり連絡が途絶えてしまうことが、ただこわかった。
また、大切な人と二度と会えなくなるかもしれないことが、
ほんとうにこわかった。
ともだちとしてでも繋がればいいと思った。

でも、やっぱりともだちにはなれないよ。
こんな終わり方をして、わたしは、自分の気持ちを誤摩化せない。
気持ちをうまく収束できる気がしない。

恋人であったときの彼と、そうじゃなくなったときの彼の、変化を知るのがこわい。
知りたくもない。

電話でたくさん「バカバカバーカ」と言ってしまったので、
(あのときはそういう風に明るくするしかできなかった。)
次の日、それに対する謝罪と、今まで楽しくて幸せだったということをメールに書いた。

それから、彼の、メールと番号を消した。

メールは覚えてしまっているので意味ないけど、
衝動的にメールしてしまうことはないだろうと思う。

こんなに苦しい別れは2回目で、
昔のわたしはどうやって、その気持ちを昇華させたのだろうと、
昔の日記を読み返した。

嘗て、大好きだった人と会わなくなってから、
彼と出会うまで、3年5ヶ月の月日が流れていた。

その間、好きではない人ふたりと付き合った。

もう、そういうことはしないと思う。
今回の別れは、あのときのものとは違って、
もっと自分を大切にしようと思えるものだ。
正直で、まっすぐで、ありたい。

また、こんなふうに好きだと思える人と出会える自信はない。
でも、3年くらい経てば、新しい恋愛をできるかもしれない。
今の救いはそれだけしかない。

今回一番思ったことは、甘い時期に溺れていてはいけないということ。
人間なので仕方ないとは思うけれど、
わたしは、はじめてほんとうに好きだと思える人と付き合えて、浮かれすぎていた。
いろんなことを考えなしで言い過ぎた。
分かり合えると思い過ぎた。
自分のことを知ってほしいと思い過ぎた。

恋人同士でも、他人であるということ、絶対的なことはないということ、
そこをちゃんと踏まえた上で、恋愛をしなくてはいけないと思った。

他人である、絶対的ではない、
というのは絶望的なことのように思うけれど、
それを知っているからこそ、
相手を大切にできたり、時間を大切にできたりするような気がする。

あの日から、熊木杏里「新しい私になって」ばかり聞いている。


* * *


ありがとうと、何度言っても足りない。

彼はわたしを
深くて暗い海の底から、
ほんの少し、
光の見えるところまで引き上げてくれた。

好きだといってくれてありがとう。
付き合ってくれてありがとう。

しあわせな時間を、ありがとう。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−