byりゅう

    誓いを立てて

    彼に、何度抱かれたことかしら・・・。

    ”好き”だとも、”愛してる”だとも言ってくれない、彼。

    そして、博士がいない時を狙っては家へ呼び寄せ、抱く。

    博士はこのことに全く気づいていないみたい・・・。

    工藤君のポーカーフェイスで皆騙されてるわ。

    でも・・・。

    彼とは付き合ってるわけじゃないし、どんな関係でもない。

    ただ、抱き、抱かれるだけの関係。・・・・・・不安よ。

    彼は、少しでも私のことが好きなのかしら?

    私は、それでいいの・・・。彼の傍にいられれば・・・。



    「ねぇ、工藤君。どうしたの?」

    情事の後、彼のベッドの上で寝ていると、彼が真剣な瞳で顔を顰めていた。

    「やっぱ、”責任”っての、取らねぇといけねぇんじゃねぇかって思ってな」

    彼は、そう言いながら此方に顔を向けた。

    「責任・・・?」

    「そっ。責任・・・。やっぱ、結婚とかも考えねぇとな」

    そう言って、再び瞳を逸らした。

    そして、私は彼の言葉に胸をときめかせる。

    ”結婚”について考えてくれているなんて、思いもしなかった。

    「工藤君も、責任を重んじるのね?」

    私は、嬉しさを隠していつもの口調で話した。

    「あぁ、もう、両親には話したんだ。親父達は、大喜びだったけどな」

    「もう、話をつけたの?」

    余りに早い行動に、驚きと比例して嬉しさが増す。

    「あぁ、後は、最後で最大の難関をクリアするだけってわけ」

    「難関・・・?」

    思い当たる節がなくて、私は聞き返した。

    「あぁ、おっちゃんだよ。ほら、蘭はやらねぇ、とか言いそうだろ?」

    「毛利さん・・・?」

    私の頭の中は、どんどん混乱していく。

    「それに、おばさんに話に行くの、精神的に疲れそうだしよぉ・・・」

    「ちょっと待って、工藤君。まさか、貴方が結婚する相手って・・・?」

    私の言葉に、彼は訝しげな表情を浮かべた。

    「あん?んなの、蘭に決まってんじゃねぇかよ。それで、

    蘭が身篭っちまったから、責任取らねぇといけねぇなって話ししてんだろうが」

    私は、彼の言葉に唖然としていた。

    「あんだぁ?俺と蘭の子供が出来たこと、言ってなかったっけか?」

    言葉を発することが出来なかった私は、ただコクリと頷いた。

    「どうりで驚いてるわけだな。・・・ま、大学出たらどっちみち結婚はする気だったんだけどな。

    俺は、一生蘭しか愛せねぇだろうし」

    ”それじゃあ、私は何?”そう聞こうとして、口を噤む。

    彼に嫌われるのだけは、嫌だったから・・・。

    「それじゃ、この関係も終わり、なの・・・?」

    「そうだな、妻子ある夫が、こんなお遊びな関係、

    いつまでも続けるわけにはいかねぇからな」



    この瞬間、私達の関係は、終わりを告げた・・・。



    その2ヵ月後、彼らは無事に結婚式を挙げ、皆は彼のポーカーフェイスを見破ることなく、祝福していた・・・。

    それから、更に1ヵ月後。

    私は、彼の子供を身篭ってることが分かって、私は、博士や彼の前から、姿を消し、この子と生きていくことを誓ったわ。



    17年後・・・

    宮野 新一と、工藤 コナンとの、運命の出会いを、誰が予想したことかしら。

    2人は、名探偵として、彼と同じ道を歩み始め、そして、彼らは友となった。

    ・・・また、会える日が訪れるかも知れないわね、工藤君?

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    管理人の感想

    志保って強いなあ・・・と思ってしまいました。

    一人で生きる道を選んだ志保。

    なんか素敵ですね。

    その後の話も作って欲しいです。

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