2003年6月


6月5日

ブラック・レイン

BLACK RAIN

監督:リドリー・スコット
脚本:クレイグ・ボロティン/ウォーレン・ルイス
撮影:ヤン・デ・ボン
音楽:ハンス・ジマー
出演:マイケル・ダグラス/高倉健/松田優作/アンディ・ガルシア
製作年:1989年
鑑賞メディア:HDDビデオ(NHK-BS録画)

久しぶりに見たなー。お気に入りです。以前はLD持ってましたが、ハードが壊れてずっと見てませんでした。
リドリー・スコットといえばうどん、うどんといえばリドリー・スコット、ということを決定付けた一作。
ヘンな日本描写とか、高倉健の不気味な息子とか、道頓堀を歩いていたはずがいきなり十三になっていたりとか細かいことはどうでもよろしい(正確にいうと、そこがイイ、ともいえる)。
無茶なりにストーリーラインがしっかりしていて、アクションエンターテイメントとして実に上質な仕上がり。言わずもがな、優作、かっこいいです。
健さんもヘンなグラサンでレイ・チャールズ歌わされたり、形見と称して確信犯的にマイケル・ダグラスに銃を渡し、マシンガン乱射してヤクザを殺しまくった挙句に神山繁に表彰されたりという無理が通れば道理は引っ込む的パワーがいいです。「お土産」を交換し合うラストもグッド!
ちなみに大阪を強引にブレードランナー化した撮影監督は、後に「スピード」で監督デビューを飾るヤン・デ・ボンです。


6月5日

キッズ・リターン


監督:北野武
脚本:北野武
撮影:柳島克巳
音楽:久石譲
出演:金子賢/安藤政信/石橋凌/モロ師岡
製作年:1996年
鑑賞メディア:DVD

大好きな映画です。たけし作品では「3−4X10月」に次ぐ傑作と思います。
余分な説明を頑ななまでに排したシンプルな演出が胸を打ちます。
金子賢のなんとも生意気なバカ顔が実にいい。これがラストの最高に感動的なセリフへと繋いでくれます。
たいした夢があるわけでも、引きこもるわけでもない、虚無的な若者の、ほんの一時期をざっくりと切り取った、見事な「反青春映画」だと思います。
モロ師岡がまたいいのよ。泣けるぜ、ちくしょう。


6月8日

蒲田行進曲


監督:深作欣二
原作:つかこうへい
脚本:つかこうへい
撮影:北坂清
音楽:甲斐正人
出演:松坂慶子/風間杜夫/平田満/原田大二郎
製作年:1982年
鑑賞メディア:HDDビデオ(WOWOW録画)

実は初めて見ました。
うーん、なんとも喧しい映画ですねえ。
深作作品は、総じて役者のテンションの高さが特徴ですが、これはなんか怒鳴りまくってるだけのヒステリー映画です。
ストーリーはいいと思いますが、その喧しさと、ジャッキー映画を見慣れた身には、「それくらいの階段落ちで騒ぐな!」という思いとが重なって素直に入り込めませんでした。
あ、すみません、実は最後まで見てもわからなかったんですが、「蒲田」ってなんですか?地名?
関係ないですが、映画「GO」で、主人公の母(大竹しのぶ)が偶然「平田満」に会うという本筋にまるで関係ないエピソードがあって気に入ってます(「あらヤス〜」とか声かけてて)。


6月8日

ポリス・ストーリー3

警察故事V 超級警察

監督:スタンリー・トン
脚本:エドワード・タン/フィレー・マー
撮影:ラム・クォク・ワ
音楽:リー・チャンシン
出演:ジャッキー・チェン/ミシェール・キング/マギー・チャン/
製作年:1992年
鑑賞メディア:HDDビデオ(NHK-BS録画)

BSでジャッキー特集やってました。
この当時、ジャッキーは自分の芸域を広げるためか、自分で監督しなくなってました(このシリーズも、2までは自ら撮ってます)。
ジャッキー自身、これからどうするか模索していた時期だと思います。
おそらく、体が充分動くうちはアクションに専念しようということじゃないかと思います。
香港映画はどうしても促成で粗製濫造的なところがある中で、ジャッキー監督作はじっくりとこだわって作ってくれるのが大好きで、このころ監督しなかったことに不満をもってました。
しかし、今そんな思いもなく見てみると、なかなかおもしろいです。
ストーリーの甘さはもうご愛敬ですが(囮捜査でマフィアに潜入したジャッキー、奴らと一緒になってマシンガンで人を殺しまくる!)、人を人とも思わない人権無視アクションがとにかく凄い。
クライマックスはもう壮絶で、おそらく三人くらいは死んでるんじゃないでしょうか(笑)。
「蒲田行進曲」、香港でリメイクしてくれないかな。
ところで、ハリウッドでのジャッキー最新作は「八十日間世界一周」だそうです。なんじゃそりゃあ!


6月14日

ヤング・マスター

The Young Master 師弟出馬

監督:ジャッキー・チェン
脚本:ジャッキー・チェン
撮影:?
音楽:?
出演:ジャッキー・チェン/ウェイ・ペイ/ユン・ピョウ/リリー・リー
製作年:1980年
鑑賞メディア:HDDビデオ(NHK-BS録画)

ジャッキー特集の続き。
これまたひっさしぶりに見ましたね。実はジャッキー初監督作品です。
これがもうつまらないのなんのって(笑)。
クライマックスの原っぱで延々と続く対決シーンには脳みそが痺れて眩暈がしてしまいます。
ところで、ユン・ピョウは常に椅子を持ち歩いていてそれを武器に使うのですが、どうも劇中のセリフからしてそういう「椅子を用いた武術」というのが存在するようなのです。
なんなんだそりゃ。とっさにそばにあった椅子を使うわけではなく、そもそも椅子を使う、というのがわけわかりません。
こういうホンコン的本末転倒は、酔拳なんかにもありますね。「酔ったふりをして油断させる」というのが基本コンセプトのはずですが、流派としての酔拳が知られている以上、酔拳使い始めた段階で「酔ったふり」であることが相手にわかるっつーの。
すんません、脱線しました。
ラストがまたすごいです。ドリフも真っ青の落ち。今では苦笑するしかないですな。


6月14日

ツイン・ドラゴン

双龍曾

監督:ツイ・ハーク/リンゴ・ラム
脚本:?
撮影:黄永恒/黄岳泰
音楽:廬冠廷
出演:ジャッキー・チェン/マギーチャン/テディー・ロビン/ニナ・リー
製作年:1992年
鑑賞メディア:HDDビデオ(NHK-BS録画)

前述の「ポリス・ストーリー3」で述べたように、盛んに他の監督と組んでたころの作品です。
しかしやはりジャッキー監督作に比して落ちますね。間延びしてます。
片っ方の動きにもう一方がシンクロしてしまうといった実に古い双子ギャグなんかも見ててつらい。
アクションの細かい演出がおもしろいですが、おそらくそこはジャッキーが演出しているのでしょう。
あんまり書くことないや。あ、エリック・ツァンとジョン・ウーがちらりとゲスト出演してますね。見所はそれくらいか。


6月22日

兵隊やくざ


監督:増村保造
原作:有馬頼義
脚本:菊島隆三
撮影:小林節雄
音楽:山本直純
出演:勝新太郎/田村高廣/滝瑛子/淡路恵子
製作年:1965年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

初めて見ました。
もう少しコメディタッチのものを勝手に想像していましたが、意外とシリアス。
舞台は第二次大戦中、荒くれ問題初年兵の勝新の教育を任された先輩兵士(田村)が苦労しつつも、勝新の一本気なところに惚れて仲良くなっていく、という話ですが、あまりにも田村が勝新を甘やかす展開に少々あきれます。
「いや、そこはおまえが悪いやろう!」とおもわず画面の勝新に突っ込んでしまうようなことも、高廣、必死にかばいます。なんか違うぞ。
アクションはかなり凄いです。いや、金かけてるとかそういう意味ではなく、ケンカやリンチのシーン、結構容赦なく殴ったり蹴ったりしていてビックリします。つうか勝新本気でやってるようにしか見えん。
かなりこのあとシリーズが製作されているようですが、シリーズとしてのカラーが出るのはもう少しあとなのでしょう。来月続編が放送されるようなので期待。


6月22日

雨あがる


監督:小泉尭史
原作:山本周五郎
脚本:黒澤明
撮影:上田正治
音楽:佐藤勝
出演:寺尾聰/宮崎美子/三船史郎/吉岡秀隆/仲代達矢
製作年:2000年
鑑賞メディア:レンタルDVD

黒澤明の遺稿脚本を、黒澤所縁のスタッフ・キャストが総結集して完成させた。
いやほんと、常連だけではなく血族まで総動員。三船史郎は敏郎の息子だし(大根っぷりまでそっくり!)、クロサワの息子がプロデュースし、娘が衣装をデザインし、孫が出演している。
ただ、小泉監督はやはり晩年の黒澤組だったので、往年のダイナミックな作風とは違ったおっとりとやさしい小品となっている。
悪くないけど、やはりあの血が沸き立つようなダイナミズムが懐かしい。


6月22日

ゴースト・ハンターズ

BIG TROUBLE IN LITTLE CHINA

監督:ジョン・カーペンター
脚本:ゲイリー・ゴールドマン/ディヴィッド・Z・ワインスタイン
撮影:ディーン・カンディ
音楽:ジョン・カーペンター
出演:カート・ラッセル/キム・キャトラル/デニス・ダン/ジェームズ・ホン
製作年:1986年
鑑賞メディア:DVD

なんだか久しぶりに無性に見たくなったところ、ちょうど特典ディスク付DVDが安く再発されていたので買いました。
ひどい邦題をつけられてしまってますが(「ゴースト・バスターズ」が流行っていたころですかね)、埋もれた快作です。
と思ってワクワクしながら見ましたが、あれ〜なんか昔ほどノリノリで見れなかったな。
チャイナタウンに救う魔物に対決を挑むトラック運転手(カート・ラッセル)とその友人(デニス・ダン)のお話ですが、カート・ラッセルがまるで主役らしくなくて、相棒のデニス・ダンが中盤で唐突にカンフーの達人であることが判明し、ほとんど主役は入れ替わってしまいます。その辺のいい加減っぷりが笑えます。
怪しげな中国テイストもなかなかいいアレンジでB級アイテム化されていておもしろいです。
「マトリックス」より十五年早く香港映画のエッセンスを取り入れたハリウッド映画といえるでしょう。しかも「マトリックス」では成しえなかった、香港的バカギャグまで貪欲に取り入れてます(笑)。
完成度は高くないのですが、どうしてもほっとけない作品なのです。


6月28日

BROTHER


監督:北野武
脚本:北野武
撮影:柳島克巳
音楽:久石譲
衣装デザイン:山本耀司
出演:ビートたけし/オマー・エプス/真木蔵人/加藤雅也/渡哲也
製作年:2000年
鑑賞メディア:レンタルDVD

たびたび見返す作品です。
世間的にはたけし映画の中では評判がよくないほうだと思いますが、かなり好きです。
たけしのバイオレンス映画は、何度も言っているかもしれませんが二作目の「3−4X10月」ですでに完成の域に達していて、「ソナチネ」や本作はその焼き直しに過ぎないと思います。
ただ、今回はそのあたりを開き直ってバイオレンスに徹してくれているのが見ていて気持ちいいと思います。
世界市場を意識したということで、あからさまな外人受けを狙ったシーン(ヤクザの儀式、切腹など)もご愛敬ですね。
これが「Dolls」になるともうイヤミになってます。
早く「座頭市」見てえなあー!


6月28日

SPY_N


監督:スタンリー・トン
脚本:スタンリー・トン/スティーブン・ホイットニー
撮影:ジェフリー・C・ミガット
音楽:ネイザン・ウォン
出演:藤原紀香/アーロン・クォック/ワン・リーホン/クーリオ
製作年:2000年
鑑賞メディア:HDDビデオ(WOWOW録画)

香港・アメリカ合作、舞台は中国、主演は藤原紀香、セリフは英語、というなんだかよくわからないアクション映画です。
これが意外とよく出来た映画。いや、脚本とかはもうどうでもいいんだけど、とにかくアクションが凄まじい。
監督のスタンリー・トンはジャッキー映画を一時期よく手がけていた人で、さすがに妥協を許さぬ「スタントマンの命なんかわしゃ知らんもんねー」といわんばかりのメチャクチャな撮影をやらせています。
藤原紀香も意外と頑張っていて、ラストの高層ビルから吊り下げられたガラス板の上でのアクションなんかは大変だっただろうに。
とにかく他全部早送りしてアクション部分だけ見てもいいので(むしろそのほうがオススメか)、アクションファンは是非見てください。メチャクチャ過ぎて笑えます。


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