2003年9月


9月12日

サハラに舞う羽

The Four Feathers

監督:シェカール・カプール
原作:A・E・W・メイスン
脚本:マイケル・シファー/ホセイン・アミニ
撮影:ロバート・リチャードソン
音楽:ジェイムズ・ホーナー
出演:ヒース・レジャー/ウェス・ベントリー/ケイト・ハドソン/ジャイモン・ハンスゥ
製作年:2002年
鑑賞メディア:映画館(試写会)

試写会の券をもらったので行ってみました。
やけに軽薄そうな受付のお兄さんにはがきを渡すと、なんとその男は「ダーク兄弟」の主役にして僕の弟を演じた柳田でした。
彼が勤める広告代理店がらみのイベントだったそうです。
「兄さん!」「弟よ!」と熱い抱擁は交わしませんでした。
で、この映画ですが、正統派アドベンチャー・ロマンです。自分で金払っては絶対行かなかっただろうな、と思いますが、実はかなりのおもしろさでした。
最近映画を見ると、条件反射的に寝てしまうことが多くてどうしたものかと悩んでいるのですが、この映画でも開始五分で首がグラグラと揺れはじめました。
おもしろくないわけでもないのに、なぜなんだろう。
しかし、チラシで話の発端と流れはある程度把握していたので、なんとか復活後はついていけました。
重厚です。感動です。抑制きいてます。どこに出しても恥ずかしくない立派さです。
…というような内容で、ひねくれモノとしては斜に構えていたのですが、最終的には考えを改め、すまんかった、と襟を正して見入ってしまいました。
それくらい正統派です。ストーリーの説明なんもしてないですね。すみません。
えーと、元英国陸軍の人が、アフリカで迷ったり助けられたり奴隷になったり脱出したりするのです(←やはり寝ていてよくわかっていなかったと思われる)。


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9月12日

兵隊やくざ 脱獄


監督:森一生
原作:有馬頼義
脚本:舟橋和郎
撮影:今井ひろし
音楽:塚原哲夫
出演:勝新太郎/田村高廣/小川真由美/田中邦衛
製作年:1966年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

もう四作目ですか。
おんなじ話なんで書くことないです(笑)。
前の感想をコピペしても不都合はないくらい。
勝新太郎という偉大な役者の動いているところを見るだけで幸せ、とでも言っておきましょうか。


9月12日

その男、凶暴につき


監督:北野武
脚本:野沢尚
撮影:佐々木原保志
出演:ビートたけし/川上麻衣子/白竜/岸辺一徳
製作年:1989年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

衛星劇場が、「座頭市」公開記念でたけし特集やってました。
言わずと知れた、北野武監督デビュー作です。
もう、ビンビンに才気が迸ってます。
ただ、これも有名ですが、当初は深作欣二が監督の予定だったのが急遽変更になったそうで、すでにあった脚本にだいぶとらわれてますね。
それにしても堂々たる演出振り。キャスティングも微妙なずらし方が上手くて、白竜や岸辺一徳をこういう風に使ったのって、たけしが初めてじゃないかと思います(その後白竜はこういうのばっかですが)。
たけし映画の常連、寺島進もすでに出ています。
岸部が白流を殴るときの一瞬のボクサーっぽい動作や、刑事が犯人と格闘しながら一本背負いするとかのリアリティに感動した覚えがあります。
それにしても、「キチガイ」というセリフが都合三回出てくるはずですが、ものの見事に音が消されていました。
特に白竜が「おまえら兄妹揃ってキチガイか」と言ってたけしが怒り狂うシーンは音だけ消されちゃうとまったく意味不明のシーンになってしまいます。
同じチャンネルで「座頭市」全十八作連続放送が予定されているので、不安がよぎりました。「めくら」がカットされていたら…。
結果は、また「座頭市」の感想のときに。


9月12日

ソナチネ


監督:北野武
脚本:北野武
撮影:柳島克巳
音楽:久石譲
出演:ビートたけし/大杉漣/勝村政信/寺島進
製作年:1993年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

たけしの四作目です。
監督としての貫禄が出てきた分、新鮮味が薄れてきた頃です。
この作品がいちばん好きという人が多いと思うのですが、僕はそれほどでもありませんでした。
いきなり銃撃ったりするパターンも読めてきたし、沖縄で、死ぬまでのモラトリアムを無邪気に楽しむ様子は「3―4X10月」の焼き直しにしか見えないし、などなど。
しかし久しぶりに見返すと、なかなかおもしろかったのです。
というわけで、たけし映画をいろいろ見返そうとしている日々です。


9月15日

座頭市物語


監督:三隅研次
原作:子母沢寛
脚本:犬塚稔
撮影:牧浦地志
音楽:伊福部昭
出演:勝新太郎/天地茂/万里昌代/島田竜三
製作年:1962年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

というわけで、勝新版「座頭市」一挙放送が始まりました。
これが第一作です。まだ白黒です。
盲目の旅の按摩にして博徒、実は居合斬りの達人、というビンビンにベタなキャラの立たせ方によって大人気シリーズとなりました。
敵方の強い男と心通い合わせつつも、最後に宿命の対決、という感じのパターンです。
一作目の敵は天地茂。渋いですねー。
それにしても勝新の殺陣は新鮮。仕込み杖から逆手に抜いてくるくる回りながら斬りまくる。
ただ、作品的にさほど完成度が高いとはいえないです。
この頃のシリーズ映画は、「兵隊やくざ」もそうですが、今でいうテレビの連ドラに当たるモノだと思うので、スピーディーに次から次へと作っちゃえって感じですね。
そういう意味でクロサワ的丁寧さはないのです。
ところで、今回の放送で、もっとも懸念していたのが、「めくら」という言葉をカットしているかどうか。
結果、カットしていませんでした。よかったー。なんせ作品の根幹に関わる部分ですからね、これを切られちゃもう放送する意味なんてないです。
ちなみに数えてみたらこの九十分で二十四回「めくら」とゆうてました(笑)。


9月15日

HANA―BI


監督:北野武
脚本:北野武
撮影:山本英夫
音楽:久石譲
出演:ビートたけし/大杉漣/岸本加代子/寺島進
製作年:1998年
鑑賞メディア:HDDビデオ(WOWOW録画)

WOWOWでもたけし特集やってました。
これも久しぶりに見ました。
ここからあからさまにアートのほうへいきましたねー。
相変わらずシャープな画づくりは見ていてほんとに気持ちいいんだけど、カッコのつけかたがいやらしいですね。
キャストもワンパターンだし、この映画はあまり好きになれません。
そもそも久石譲がたけし映画にはどうも合わないと思うんですが。
「座頭市」は久石じゃないようなので期待。


9月15日

大丈夫日記

A Diary of a Big Man

監督:チョー・イエン
脚本:ン・マーファイ/フィリップ・チャン
撮影:?
音楽:?
出演:チョウ・ユンファ/ジョイ・ウォン/サリー・イップ
製作年:1988年
鑑賞メディア:DVD

こらまた中途半端に古い香港映画。ユンファが若いです。
ユンファ好きの友人に借りたDVDですが、中国で300円で買ったというこのDVD自体がなんとも怪しげ。
リージョンフリーで日本語を含むいろんな字幕が入っているので見るのに支障はないのですが、字幕のタイミングがいい加減だったり(しゃべる前に出すなっつーの)、誤植があったりするのがいい味です。「今回は多めにみてやる」って「大目」やっての。
話がまたあまりにもひどい。
ユンファがジョイ・ウォンとサリー・イップの二人に惚れてしまって、ええいと勢いで二重結婚。ばれないようにあっちいったりこっちいったりするドタバタコメディなのですが、とにかく二股かけてる、ということにまるで罪悪感のかけらもないのが怖い。
相変わらずワンシチュエーションで延々引っ張るしつこい香港ギャグももう早送りボタン押す寸前でした。
で、ラストは結局二人にばれてしまって一泡ふかされて別れちゃうのですが、その後がすごい。
もういいでしょう。バラしちゃいます。やはり別れられないとわかった三人、なんとイスラム教に改宗、ヘンなアラビア風のコスチューム着て、一夫多妻で万万歳!

なんやそれ!!




9月15日

続・座頭市物語


監督:森一生
原作:子母沢寛
脚本:犬塚稔
撮影:本多省三
音楽:斎藤一郎
出演:勝新太郎/城健三朗/万里昌代/水谷良重
製作年:1962年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

第二弾です。
今回の敵は、市の血肉を分けた実の兄です。
演ずるは城健三朗。そう、後の若山富三郎、つまり勝新の実の兄です。
そのまんまなキャスティングですな。
んー書くことないです。
「兵隊やくざ」もそうだけど、音楽のスタッフて毎回変わるんですね、この頃。最初が「ゴジラ」の伊福部さんだったんで「おお」とか思いましたが、あっさり今回は違います。
共通のテーマソングがあるわけでもなく、あんまそういうことにこだわってないのでしょうかね。


9月15日

新・仁義なき戦い 謀殺


監督:橋本一
脚本:成島出/我妻正義
撮影:山本英夫
音楽:東京スカパラダイスオーケストラ
出演:高橋克典/渡辺謙/夏木マリ/小林稔侍
製作年:2003年
鑑賞メディア:レンタルDVD

映画好きの同僚が今年の邦画ベスト1とかいっていたので見てみました。
うん、確かにいいです。
前回の阪本順治版はどうにも違和感ありましたが、今回はきっちりと群集劇を見せてくれて、「よし、今回は『仁義なき戦い』を名乗ってよし!」と偉そうに言いたくなりました。 監督はこれがデビュー作で、現在東映唯一の社員監督だそうです(違ったらごめん。そんなことを聞いた気がする)。
この手堅くも堂々たる職人監督ぶりはどうだ! 鈴木則文や山下耕作といった東映職人の血を見事に受け継いでますね。
高橋克典という役者はどうにも好きになれなくて、そこでイマイチ入れなかったのですが、渡辺謙の素晴らしさでお釣りが来ます。まさに「仁義」の狂犬・大久保勝利(千葉真一)を彷彿とさせる野獣系です。ま、あれほどじゃないですが(笑)。
総じてよかったのですが、難点を少々。
まず、小林稔侍。これがもう、あからさまに「仁義」の金子信雄路線を狙っていて、見ていて恥ずかしい。
それから音楽。あのテーマソングを、スカパラがアレンジしているのですが、どうもノリが軽くて合ってません。
まあしかし、おもしろかったです。


9月15日

新・座頭市物語


監督:田中徳三
原作:子母沢寛
脚本:犬塚稔/梅林貴久生
撮影:牧浦地志
音楽:伊福部昭
出演:勝新太郎/河津清三郎/坪内ミキ子/真城千都世
製作年:1963年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

第三弾です。今回からカラー。
今回の敵は、市の居合斬りの師匠です。河津清三郎。
しかし座頭市、なにげにモテモテですな。
師匠の妹からプロポーズされてます。
今回脚本に名を連ねている、梅林貴久生さんですが、実は知り合いなのです。
数年前、某所に文章を習いに行っていたのですが、そこの講師の一人だったのです。
僕の小説をいちばん丁寧に見てくださった方で、今でもときどきハガキをやり取りしたり作品を見てもらったりしています。
まさかこんなところで脚本を書いていたとは。その節はお世話になりました。
私信で失礼。


9月24日

座頭市


監督:北野武
原作:子母沢寛
脚本:北野武
撮影:?
音楽:鈴木慶一
出演:ビートたけし/浅野忠信/大楠道代/ガダルカナル・タカ/岸辺一徳
製作年:2003年
鑑賞メディア:映画館(松竹ピカデリー)

ようやく見ました。結論=イマイチ。
エンターテイメントに徹しすぎで、たけしの「芸人」としての悪い側面が出てしまいましたね。
ぶっ飛ぶ腕や血しぶきなど、見た目は凄惨ですが、従来のたけし作品における精神的な殺伐さがまるで消えうせてしまっています。別の人が監督したみたい。
娯楽作品観たがってるようだから、あんたらに合わせてあげたよ、という思い上がりが見えました。
殺陣以外の見所がほぼありませんでした。タップダンスも意味なしやし。残念。
あ、でも浅野忠信はチャンバラ上手いねえ。


9月24日

陽炎


監督:五社英雄
原作:栗田教行
脚本:高田宏治
撮影:森田富士郎
音楽:佐藤勝
出演:樋口可南子/仲代達矢/本木雅弘/白竜
製作年:1991年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

いやー懐かしいなあ! このころの邦画って元気あったよねえ。
奥山和由がビンビンに突っ走ってたころです。
自分が邦画に目覚めていちばん映画を見まくってたころだから余計に思い入れありますね。
昭和初期を舞台にした女博徒のドラマですが、いかにも五社英雄的な様式美が漂っていて楽しいです。スローで回転しながら部屋に押し入って来る仲代がサイコー!

「往生しなっせ!」




9月24日

閉ざされた森

BASIC

監督:ジョン・マクティアナン
脚本:ジャームズ・ヴァンダービルト
撮影:スティーブ・メイソン
音楽:クラウス・バデルト
出演:ジョン・トラボルタ/コニー・ニールセン/サミュエル・L・ジャクソン
製作年:2003年
鑑賞メディア:映画館(梅田ブルク)

タダ券で見ました。
嵐の密林で訓練中のレンジャー部隊が行方不明に。
救出されたのは二人。死体が一体。残りは行方不明。
果たしてそこでなにがあったのか。
各人の証言で二転三転というか、六転七転する「羅生門」型ミステリー。
もうどんでん返し過ぎてなにがなにやらわからんようになってしまいます。
映画のミステリって、遡って伏線チェックできないので気持ちわるいです。
疑問点が相当あるのですが、だれか教えてくれないかな…。
まあしかし、そこそこ面白かった、と言っておきます。


9月24日

CURE


監督:黒沢清
脚本:黒沢清
撮影:喜久村徳章
音楽:ゲイリー芦屋
出演:役所広司/萩原聖人/うじきつよし/中川安奈
製作年:1997年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

「陽炎」のころとは対照的に、このころはほとんど映画を見なくなっていた時期でした。
だから、黒沢清の映画を見るのは初めてです、実は。
うん、これは面白かった。
登場人物がみな少しずつ壊れていく演出が秀逸で、引きこまれてしまいます。
極端にアップを排した素っ気ないカメラがなおさら空虚な恐怖感を増幅させます。
役所広司が預けもしていないクリーニングを取りに行くところなんかはぞっとしますね。
はっきりとした演出力を持っている監督ですね。素晴らしいです。


9月24日

ゲロッパ!


監督:井筒和幸
脚本:羽原大介/井筒和幸
撮影:山本英夫
音楽:JB?
出演:西田敏行/常盤貴子/岸辺一徳/山本太郎
製作年:2003年
鑑賞メディア:映画館(梅田ブルク)

いやはや、決まりました。今年のワーストです
主題歌を歌うよく知らない二人組のビデオクリップ(これも井筒氏が監督)が本編前に流れるのですが、まずこの出来の悪さというかくだらなさに、本編への熱が一気に冷めました。
本編も、まったく笑えないギャグの数々に辟易として、腹が立って腹が立ってホントに何度も席を立とうと思ってしまいました。
取ってつけたような人情話も、あざとさ見え見えで不快。
よく海外向けに日本を変な風に描いた国辱的映画がありますよね。ニンジャとかの。
あんな感じで、東京人に向けた関西辱映画ですね、これは。
あーあ、後味悪い。


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