2003年11月


11月10日

魔女の宅急便


監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿
撮影:杉村重郎
音楽:久石譲
出演:高山みなみ/佐久間レイ/山口勝平/戸田恵子
製作年:1989年
鑑賞メディア:HDDビデオ(地上波放送録画)

久しぶりに見ました。テレビでやってたのを録っておいて、そのまま放っておいたのですが、HDDが一杯になって整理するために見ました。
小品ですね。ちょっと力抜いて作ったな、という。
宮崎駿は好きな作品も多いのですが、あえて嫌なところを言うなら、やはり「新しさ」に徹底的に欠けていることでしょう。
キャラ設定がパターン化しすぎ、主人公がいい子すぎ、など。すごく保守的ですよね。
この作品もモロにそうなのですが、まあいいところも言っておきます。
なんといっても飛行シーンのなんともいえない浮遊感の素晴らしさでしょう。
「箒に跨って飛んだ場合の動き」のイマジネーションがすごいです。
ストーリーは…まあ特に言わなくてもいいかな。という感じです。


11月10日

戦場のピアニスト

THE PIANIST

監督:ロマン・ポランスキー
原作:ウワディスアフ・シュピルマン
脚本:ロバルド・ハーウッド
撮影:パヴェル・エデルマン
音楽:ヴォイチェフ・キラール
出演:エイドリアン・ブロディ/トーマス・クレッチマン/フランク・ファンレイ/モーリーン・リップマン
製作年:2002年
鑑賞メディア:レンタルDVD

ま、たまにはこんなものを、という感じで見ました。
ロマン・ポランスキーといえばシャロン・テート事件ですが、いや、関係ないですね。言ってみたかっただけです。
もっと泣ける話かと思ってましたが、違いましたね。主人公のゴキブリ並の生命力に驚く映画でしょうか。
ひょろーんとしてつるーんとした顔が、知り合いに似ていて感情移入しにくかったのも感動を妨げていたようです。


11月10日

レイダース 失われた聖櫃

RAIDERS OF THE LOST ARK

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ローレンス・カスダン
撮影:ダグラス・スローカム
音楽:ジョン・ウィリアムス
出演:ハリソン・フォード/カレン・アレン/デンホルム・エリオット/ジョン・リス・ディヴィス
製作年:1981年
鑑賞メディア:DVD

DVDボックス買いました(笑)。
気になることは多少ありますが、それを吹き飛ばすパワーのある、いいシリーズです。
総合的な完成度はやはりこの一作目がいちばんでしょうかね。
昔のテレビシリーズを意識したパルプな冒険アクションというルーカスの原案は、チープさまで含めてほぼ完全に再現されているといっていいでしょう。面白いです。
メイキングを見ましたが、フォード+アレンに決まる前のスクリーン・テストで、トム・セレック+ショーン・ヤングという映像がありました。これは貴重ですね。


11月10日

インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説

INDIANA JONES AND THE TEMPLE OF DOOM

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ウィラード・ハイク/グロリア・カッツ
撮影:ダグラス・スローカム
音楽:ジョン・ウィリアムス
出演:ハリソン・フォード/ケイト・キャプショー/キー・ホイ・クァン/ロシャン・セス
製作年:1984年
鑑賞メディア:DVD

続けて二作目。マンガ度300%アップです(笑)。
もうアクションのためのアクションという自己目的化したプロットと、差別スレスレの悪趣味ギャグとで異色作となってます。
やたら編集が粗かったり、演出が甘かったりしますが、まあしかし見てる間は面白いです。
メイキングでスピルバーグ曰く、「三部作の中でもっとも思い入れのない作品だ」。言いきってます…。
なお、メイキングで現在のキー・ホイ・クァンが当時を振り返って語ってますが、おそらく三十歳を越えていると思われるキー君、昔とほとんど変わってません


11月10日

インディ・ジョーンズ 最後の聖戦

INDIANA JONES AND THE LAST CRUSADE

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ジェフリー・ボーム
撮影:ダグラス・スローカム
音楽:ジョン・ウィリアムス
出演:ハリソン・フォード/ショーン・コネリー/アリソン・ドゥーディー/デンホルム・エリオット
製作年:1989年
鑑賞メディア:DVD

立て続けに三作目。
今まではこれがいちばん面白くないかなあと思ってましたが、今見るとそうでもないです。
キャストも上品さも「レイダース」の頃に戻って、抑制利かせてしっかり作りこんであります。
ショーン・コネリーの起用は正解だったと思います。彼が場面を引き締めています。
三作共通するのは、ヒロインの魅力のなさですね。スピルバーグはそもそも女性の趣味が悪いと思います。よけいな御世話でしょうが。
また、三作共通して素晴らしいのがジョン・ウィリアムスの音楽。シチュエーション、ロケ地に応じてまさに変幻自在のスコアです。最近精彩を欠いているような気もしますが、このころはもうノリノリです。
あと、インディとインディパパは最後に聖杯の水を飲んで不死身になっちゃったと勘違いしている人が多いようですが、あの聖杯の効果は「あの聖堂(?)の中」だけで通用する、と言ってますので御注意。
従って噂される四作目、不死身のインディではないでしょう。


11月17日

刑務所の中


監督:崔洋一
原作:花輪和一
脚本:崔洋一/鄭義信/中村義洋
撮影:浜田毅
出演:山崎努/香川照之/田口トモロヲ/松重豊/村松利史
製作年:2002年
鑑賞メディア:レンタルDVD

一度劇場で見ましたが、また見たくなったのでレンタルで再見。
何度見ても面白いです。今年見た映画ではベストかも。
刑務所の中の厳格な規律が、傍から見るとどれだけ滑稽かというものを非情に上手く演出して見せてくれます。
作業中は消しゴム拾うだけでも片手をまっすぐ上げて「願いま〜す!消しゴム拾いで〜す!」と絶叫し、トイレに行くのも両手を腰に当てて直角に曲がりながら小走り。
山崎努がまた上手い。ナレーションの味はもう独壇場です。
そのうちDVD買いましょう、これは。


11月17日

約束


監督:斎藤耕一
脚本:石森史郎
撮影:坂本典隆
音楽:宮川泰
出演:岸恵子/萩原健一/三国連太郎/姫ゆり子/殿山泰司
製作年:1972年
鑑賞メディア:市販ビデオ

ショーケン好きの友人に借りました。
いやーこれがもうよかった!
七十年代暗い邦画好きとしてはツボツボにツボでした。
夫を殺した囚人の岸恵子が、模範囚として二日だけの墓参り出所を許された。
その道中に出会ったチンピラ、ショーケンとの一日だけの心の擦り合わせ。
ショーケンはギャングとして警察に追われ、岸恵子は刑務所に戻らなくてはならない。
ああ、なんたる直球ハードボイルドロマンス! たまらんです!
やや疑問なのが、岸恵子が三十五歳という設定にしてはいくらなんでも老けすぎじゃないか? と…。
当時いくつだったのか知りませんが、ちょっと違和感あり。ま、いいといえばどうでもいいことですが。
んーーこれはDVD出てないのかな。欲しいです。


11月17日



監督:森達也
撮影:森達也/安岡卓治
音楽:朴保
出演:荒木浩
製作年:1998年
鑑賞メディア:レンタルDVD

ようやく見ることができました。
「放送禁止歌」などの社会派ディレクター、森達也のオウム真理教ドキュメント。
そもそもテレビドキュメンタリーとしての企画だったが、オウムを絶対悪として描くことを要求する局側と対立し、自主映画として独立製作したものです。
メイン幹部が全員つかまった後、広報部を任されることになってしまった荒木浩を中心に追っていきますが、この荒木さん、ある意味他のどの登場人物よりも理性的な常識人で、なるほど、この作品がテレビ局の狭い価値観に縛られてしまうとなんの意味もない、ということがはっきり分かります。
かといってオウム寄りに作ってあるわけではなく、あくまで第三者として淡々とカメラを構え、逆にそのスタンスの薄さにドキュメンタリー作家としてのプライドと決意が見えます。
手法的にも、劇的な演出はほとんどなく、音楽も、二回ほど入っただけでした。
感心したのが、ナレーションとテロップをまったく使わないこと。
最近のバラエティなどでうっとうしいのが、出演者がしゃべったことがそのまま字幕になってること。ちょっと前までこんなことなかったと思うのですが、なんなんでしょうかね。
いまの人は、聞いた音声を、言語として認識する機能がおかしくなってきてるんじゃないかと思います。耳からの信号に、補助的にちゃんと漢字交じりの文章に変換されたものを見ないと理解できなくなってきているのでしょうか。あ、これ面白いテーマだな。
また、恐ろしかったのが、警官の元オウムへのメチャクチャな言いがかり逮捕。
名前を答えない元信者が体をよけようとすると、(明らかに)警官が足をかけ、一緒になって倒れ、「足を怪我した。公務執行妨害」として逮捕。
カメラはこの事件もしっかり捉えており、後に証拠として採用され、彼は釈放された。
オウムを肯定する気はもちろんないし、いまだにオウムにいる連中ははっきり言って嫌いだけど、それ以上に嫌いな人たちはわれわれのすぐ隣にいる、ということを改めて認識しました。
元オウムの子どもを小学校から追放しようとしたりする市民運動家連中なんかがそうですね。吐き気がします。


11月17日

青春の殺人者


監督:長谷川和彦
原作:中上健次
脚本:田村孟
撮影:鈴木達夫
音楽:ゴダイゴ
出演:水谷豊/原田美枝子/内田良平/市原悦子
製作年:1976年
鑑賞メディア:HDDビデオ(WOWOW録画)

もう見るのは何度目でしょうかね。
これまた暗い七十年代ムービーです。その中でも最も好きな作品。
僕の中での歴代邦画ベスト1作品「太陽を盗んだ男」の長谷川監督のデビュー作です(といっても長谷川監督はいまだこの二作しか撮っていない)。
衝動的に両親を殺してしまったモラトリアム青年の苦悩を切なくリアルに描きます。
母親役の市原悦子を殺すシーンが凄まじいです。
このシーン、あきらかにセックス(近親相姦)のメタファーになっていて、下着姿の市原悦子が、泣きながら、「優しく、痛くないようにしてね…」と包丁を構える息子である水谷豊に哀願し、刺されると、「死ぬぅ、死ぬよー!」と叫ぶ。ああ怖い!
水谷豊は、あまりセリフは上手くないのですが、演技はいいです。
ゴダイゴの音楽がまた時代を感じさせて切ないです。名作。


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