2005年1月


1月10日

シオドア・スタージョン
時間のかかる彫刻

STURGEON IS ALIVE AND WELL...
東京創元社(創元SF文庫)

新年一発目です。
えーと、今年からはやや簡素に、書誌的なデータ(装丁者、ISBNコード、定価など)を省きました。調べればわかるし、本をひっくり返して書き写すの意外と面倒なので。
さて、初めてのスタージョンです。以前サンリオ文庫で出ていたものの復刊らしいですが、今回のは装丁が素晴らしいです。すごく綺麗。半分ジャケ買いです。
中身は短編集ですが、僕はスロースターターな読者で、物語に入っていくのが遅いほうなのです。特にSFでは「あ、こういう話なのね」とわかるのに時間がかかるので、短編ではそれがわかったころには終わっちゃってまた一から、というパターンなのです。
そんな感じでどうも調子の出ないまま最後まで読んじゃいました。
というわけで今ひとつな感じでしたが、奇想炸裂の「フレミス伯父さん」には大爆笑でした。一体この話はどう転ぶんだ?と思わせて、最後は吉本新喜劇並みのオチ。喫茶店で読んでて笑いが止まらなくて困りました。この一編だけでこの本は買う価値ありました。
と言うわけで、今年もよろしくお願いします。


1月10日

今野勉
テレビの嘘を見破る

新潮社(新潮新書)

今ひとつでしたね。普通にテレビを見ている今の人ならもうその程度はわかってますよ、という話が多く、著者の誠実さは感じるものの、新鮮味は余りありませんでした。
ドキュメンタリーといえど、やはり恣意的に画を切り取り、恣意的に繋げている以上「ありのままの事実」とは言えないわけで、要はその是非ではなく、その自覚(見る側も作る側も)が重要だと思います。


1月10日

高島俊夫
漢字と日本人

文藝春秋(文春新書)

素晴らしい。
もともと週刊文春のエッセイ「お言葉ですが…」シリーズが大好きなのですが、そこでもよく漢字の問題は書かれていて、たとえば高島氏は「仮定」ではなく必ず「假定」と書く。そのつど少し説明はされるものの、よくわからないことが多かった。
しかしこの本でついに著者は日本語、漢字そしてその歴史について思う存分語ってくれたのだ。もうこれがめっぽう面白い。
そもそも、漢字は漢語(中国語)を表すための文字で、古来の和語に合わせたものではない、という当たり前だけどみなが忘れていることに注意を促し、その歴史について丁寧に丁寧に論じる。
この話芸(?)が本当に素晴らしい。相当に難しい話題であるのに、こんなにわかりやすくていいの?というくらい頭に染み込んでくる。
やはり僕が知る限りにおいてダントツのの文章家だなあ、という思いを新たにしました。


ロス・マクドナルド
ウィチャリー家の女

THE WYCHERLY WOMAN
早川書房(ハヤカワ文庫HM)

古典ハードボイルドにはとんとなじみのない僕です。
そっち方面の見聞を広げることと、自分の今書いている話を少しハードボイルドっぽくしたかったのでその勉強という目的で読みました。
うん、なかなか面白かったです。タイトルを上手く象徴するどんでん返しがあり、やや本格っぽいところも気に入りました。原ォですね。ふふふ。
結局これを自作に生かせるかというと、やはりそう簡単にはいきません。当たり前だ。一冊読んだだけで出来るかっつーの。
ポイントは「的確でシンプルで粋な比喩」ですね。精進精進。


ザカリア・エルジンチリオール
犯罪科学捜査 接触あるところ痕跡あり

EVERY CONTACT LEAVES A TRACE
三修社

イギリス犯罪科学の専門家による、基礎から最先端までの科学捜査テキスト。実にためになります。DNAすら同じで判別がつかない一卵性双生児を犬は見分ける(嗅ぎ分ける)ことが出来るとか、埋められた死体の上の植生とか、面白いことがたくさんあって満腹になりました。
早速今書いているお話に使えるネタがあったので応用しましょう。
ただ、著者はイギリス人で、当然イギリスの法体制、捜査システムに対する記述なので、それが日本でも当てはまるのかがわかりません。ま、その辺はテキトーに。


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