愛音が僕に残してくれたもの・・・。
それはあまりにも美しい思い出とヴァイオリンだった。
僕にはヴァイオリンは弾けなかった。
だけど、主人をなくしたヴァイオリンは僕よりも寂しげに見えた。
愛音は、自分の名前とヴァイオリンが大のお気に入りだった。
愛音の名前はこよなく音楽を愛した母親がつけたのだと彼女は嬉しそうに語っていた。
愛しい音と書いて「あいね」と読む。
そして生まれた時からこのヴァイオリンとともにすごしていた。
僕なんかよりずっと長い間、愛音を見守り続けていたのだ。
僕は、初めて愛音のヴァイオリンを手にしてみた。
灰色だった頭の中が少しづつ色を取り戻していくような感じだった。

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