僕は、その日からヴァイオリンを弾いてみたいという気持ちが強くなっていった。ヴァイオリンを手にしている間は愛音との美しい思い出が蘇ってくる。
ヴァイオリンを弾くことは想像以上に難しかった。
けれど無心に練習を続けた。
指先からは血が滲み狂ったような音を奏でる僕は、はたから見ればまるで悲しみのあまり気がふれてしまったように見えただろう。
けれど僕は不思議なくらい幸せな気持ちになれた。
僕の頭の中には愛音の奏でる優しく包み込むようなヴァイオリンの音色が聞こえていた。

 毎日毎日練習を続けるうちに、少しづつ美しい音が出るようになってきた。
それはヴァイオリンが僕にあわせて少しでも美しい音を奏でようとしてくれているようだった。
僕は確信していた。
いつも頭の中で流れるあの曲が弾けた時、もう一度、愛音に会えると。

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