あいたくて あいたくて あえなくて




毎年、この日以前では定番のように流れるこの曲が、今年もまたFMから流れてきた。



7月7日、晴れ




ゾロと再会できるまで、この歌詞の彼女のようにずっと思い続けてきた。考えないようにいた時でさえ、である。ちょうど流れてきた曲の
〜一瞬でいい 思い出して〜
というフレーズはかなりぐっときたものだった。年に一度しか会うことを許されない織姫と彦星に思いを馳せ、七夕の夜ぐらい晴れるといいなと私も祈っていた。

ビビと行ったクラシックコンサートで一念発起したものの、ゾロとの再会は困難を極めた。
携帯が繋がらないという現実は本当に問題だった。
学生時代のゾロの下宿にも行ってみたが、やはり転居していた後だった。まあ、例え下宿代が安くても大学に通う以外の便が全く悪い場所では、仕事に通えるとは思えないから、転居していることはほぼ想定済みだった。
そして私はサークルメンバー以外のゾロの交友関係を知らなかった。
だから、最後の最後にサンジ君の手を借りようと思って、久しぶりにバラティエを訪ねたのは、入梅して間もなくの、梅雨時期とは思えない青空が広がった日だった。

仕事を終えて訪ねたバラティエはあのころと全く変わっていなかった。
連絡もせずにいきなり訪ねていったので、私の顔を見たサンジ君の顔は一瞬とても驚いていたが、すぐに気を取り直して、あの頃と何一つ変わりなく迎い入れてくれた。
ゼフさん達も変わりなく言葉を掛けてくれた。
そしてサンジ君が勧めてくれた、あの頃の定番のカウンター席に座り、サンジ君たちが勧めてくれた物を美味しく食べ、お喋りをし、楽しい時間を過ごした。
そろそろ今日訪ねた目的を遂行しなくてはと、サンジ君にどういって口火を切ろうか?と心の中で色々考えていた時に店のドアが開いた。
閉店時間近くなった今時分に来るのはやっぱり常連さんだろうなとドアの方に向いたら、立っていた人はゾロ、その人だった。


あなたも今頃
私と同じ気持ちで この空を見てると





あの時の驚きは本当に言葉には表せない。
何の疑いもなく、ゾロも同じ気持ちなんだと思ってしまった。
私と同様にいやそれ以上に驚いていたように見えたサンジ君だったが
「よお。えらく、ご無沙汰だなあ。」
とか何とか言って、私の隣に席を用意してくれた。

それからの記憶はポーっとなっていて曖昧だ。
想像していたことの斜め上の出来事が起こったのだから。
そんな夢心地であっても現実世界は止まってくれない。容赦なく時は流れても、何とか良識が働いた私は「明日も仕事だから」と、何とか電車が動いている時間に家路についた。
ゾロの新しい連絡先を聞くことはちゃんと忘れなかったけれど、足が地に着いていたかはわからない。

あれから毎日、メールのやり取りは必ずしている。時には電話も。
単なる生存確認のような短いメールであっても、つながっているという事実に胸は躍る。
しかしあの再会から数週間経っているが、面と向かってはまだ会えていない。
次に会う時は、時間という概念が飛んでしまうことは明らかなので、平日に会うことは難しい。そして週末も週末で、どちらかの仕事でなかなか合える状態にならなかった。
だけどもう限界。
本人は覚えていなくたっていい。勝手に私が誕生日プレゼントを貰うのだ。

「ゾロ 今週の金曜日 仕事何時ぐらいにあがれる?」
そう私は自ら行動を起こすのだ!



会いたくて 会いたくて 会いたくて


Inspire by DREAMS COME TRUE『7月7日、晴れ』
昨年のパラレルの続編です。
最初は悲しい話になりそうだったのですが、今年は前向きが、1歩前進がテーマです。
進めたかな?
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