古本探偵団(1950〜)

 
 

航空情報臨時増刊 日本軍用機の全貌

酣燈社刊1953年(260円)

定本登場

戦後8年たってやっとこういう本を出せるようになったのですね。元気のよかった頃の酣燈社なので、内容も気合いが入っています。今読んでも古くなっていません。関係者に取材して作っているというのが値打ちを高めている。関係者が存命どころか現役の頃なので記憶も鮮明だし、とにかく今ではできないことだ。絶賛を持って受け入れられたんだろうな。写真、イラスト、一覧表含みの280頁のボリューム。個々の機体について経緯から実践記録まで簡潔かつ要点を押さえて記述しています。これ以降のこういった本のネタ元(定説)となったといってもいいでしょう。例えば97戦の運動性の良さが徒になって1式戦の開発が中止になりかけたというエピソードなど挙げられます。それゆえにこの本でつまびらかになっていない情報は、その後の同種の書籍でもしれっとそのままというのはよくある話で、最近明らかになった零戦42型なんかそうだね(まあこれは堀越氏の記憶になかったということだろうけど)。個人的には主翼面積を増やした飛燕2型とか多少作られたという鍾馗3型の詳細が知りたい(両機とも写真も図面も発表されていない!)。本当に作られたのか?今後こういった本を出す場合、違うニュースソース(一時資料)を発掘しないといかんだろうねぇ。さて今の酣燈社にそれができるか?