ビュンビュンヒヤヒヤ
のっけから差し障りがあるのでちょっとぼかして書きます。記憶もあやふやになってきてるしね。私が学生だった頃、メーカー系の会社のOBを招いてお話を伺うという講義があった。そこでのお話。その人は大学生だった戦争末期に、エンジニアが払底していたこともあって、応援としてとある戦闘機のエンジン換装に伴うエンジンマウントの強度計算を任されたとのこと。今思うと学生に任せるなんて無茶もいいところだが、それだけ苦しい台所事情だったのだろう。閑話休題。試作機は完成し試験飛行となった時、どうも計算が怪しいことに気がついた。だけどとても言い出せない。言い出せないままに試験飛行が始まった。テストパイロットは軽くて調子よく回るエンジンに気を良くして、ビュンビュンアクロバット飛行をする。いつ空中分解するかと気が気ではなかったそうだ。
後日再計算をしたら結果オーライで大丈夫だったとのこと。私は世界の傑作機などでその機体の写真を見るたびに、その話を思い出すのだ。
P-47の主翼
P-47のリペアマニュアルを入手したのだけれど、主桁の図面でオヤ〜というポイント発見。上面は一直線(物差しを当ててみるレベルで)ですが下面は明らかにラウンドしている。P-47といえば後縁のみが緩やかなカーブを描いたセミ楕円翼なのですが、通常のテーパー翼の後縁のみを適当に伸ばして楕円翼っぽくしただけかと思っていたのですが、これを見るにちょっと違うね。もっと3次元的に整形されているようだ。上面が2次曲面的なのはピアノヒンジで開閉できる機銃弾補給用パネルをつけるためだと思う。確かなことは翼座標データを入手しないと何とも言えないが(製造図を売っているサイトはあるのだけれどクレイジーな値段なのです)、下面のエルロン分割線がカーブを描いているのもそのせいだろう。
さてさて巷に流通しているP-47のプラモはどうなっているのかな?
追伸.製造図面を入手できたのだけど、完璧なものではなくて主翼座標はありませんでした(泣)。
大は小を兼ねない
又聞きの話なので真偽のほどは分からないのだけど、戦争中にとある艦上爆撃機の工場で、尾翼に貼る外板がなくなったそうだ。でも生産は止められない。厚めの外板ならある。丈夫になる方向だからいいだろうということでそれを使って生産を続行したとのこと。ですが何たることか急降下時にフラッターを起こしてしまった(らしい)。剛性向上よりも外板の慣性力増大によりフラッター限界が下がってしまったらしい。 この話、真実ならばちょっと際どすぎる設計ではないかと思う。ペイントを重ね塗りしたり、バトルダメージの補修で外板にパッチを当てたり、着氷したりという状況を考えるに、余裕がなさすぎる。学者の作った飛行機らしいというのは、シニカルすぎますかね。
どこへ行った?
日本の大戦機の図面というのは終戦時に全て消却処分されたというのが一般認識なのですが、実は現場のドラフトマンの中にはあまりに忍びなくて、青焼き図面を持ち帰った者がいたらしい。艦艇についてはそんな図面が比較的早くに公表されて模型製作等に活用されたらしいが、飛行機はどうなのか・・・
オスプレイに乗ろう
ちょっと時事的なネタでお一つ。例のオスプレイです。マスコミでは安全性に問題があるってのがデフォルトみたいで頭が痛い。自らの頭の悪さをさらしているようで・・・。危ないっちゃ危ない、安全っちゃ安全。って説明になっていないか(笑)。そもそも民間機(Far25)と軍用機(ミルスペック)では安全性に対する基準が違う(勿論軍用機の方が緩い)。それ故、任務達成を第一に際どい設計が許されるのが軍用機なのだ。ティルトロータなんてのもそうだし、マッハで飛行できるのもそうだ。いくら安全でも任務を達成できなければ意味がないのが軍用機なのだから。ヘリよりも速く遠くまで飛べるオスプレイがヘリより任務達成能力が高いのは当然で、それこそがオスプレイの存在意義だ。それに加えて訓練では戦闘を想定して飛行するわけで、安全第一でおとなしく飛ぶ民間機と同じ事故率になる訳ないわなあ。そこを混同する人はどこまで安全を求めるのだろうか?問い質したいところだ。航空雑誌のニュースの欄を見ると必ずと言っていいほど世界のどこかで軍用機の事故がおきている。F-18なら何の話題にならないのにオスプレイなら鬼の首獲ったように報道されるのはおかしいよね。でその事故率ですが、ウィキによれば他の軍用機と比べて特に問題になる程高くないって出てる。これだけでもう答えは出ているよねえ。民間機とは安全性は比べ物にならないけれど、軍用機の中では特にヤバいものではないってことです。あと気になったのは、オスプレイの試作機が事故を起こした画像(機体の揺動が発散して墜落というやつ)を、さあ見てくださいこんなにヤバい機体ですよーみたいな斬り方をしていたことだ。実に分かりやすいけれど、分かりやす過ぎて逆におかしくないか?試作機を作るのは問題がないか確かめるためでしょ。当然何がしかの問題は起こるよ。人間は神様じゃないんだから。で、問題が起きた時に、問題が起きましたねーでもそのまま量産しましょーなんてなる訳ないではないか。勿論必死で原因を究明して対策するんですよ。この当たり前のことが分からないのがおかしいってことだ。大げさに言えば人類の英知の否定だ。それともきゃすたあとかじゃあなりすととかいう人種はよっぽどエンジニアを嘗めているのか、それとも物事を見たままにしか理解できないピュアなひとなのだろうか。おまけにもう一つ、“安全性に問題があると言われている”なんて言い回しもずるいぞ。恐らくウィキなんかを調べて事故率に問題ないことは知っているのだろう。そこで伝聞形にして責任を回避しているわけだ。そこまでして世論をミスリードしたいかね、全く。
ドローンには乗りたくない
事実誤認があれば撤回します。
今盛り上がっている空飛ぶ自動車とかいうドローンを大きくしたような代物。これやばくないか?
キャビンのまわりにモーター駆動のローターを複数つけてぶん回したらとりあえず浮くだろうと思うけれど、1つでも故障したらあっという間にひっくり返っちゃうよ(現在の双ローターのヘリはそうならないようにシャフトで機械的に繋がっている)。それをなんとかするにしてもその小さなローターで通常のヘリなら出来るオートローテーション(ローターを空転させてグライダーのように着陸する)ができるのだろうか?固定ピッチならそもそも出来ない!更には自動操縦装置が故障したらどうするのか?
つまるところ壊れたときどうするのかっていうのが人が乗る機械の安全性に対する考え方で、その辺無邪気過ぎる気がする。TCはどうするの?スペースジェットでも苦労したのに。加えて現状のバッテリー能力では航続距離は極めて期待出来ない。
そういった問題がどう解決できるのか詳らかになっていないのに、皆さんこれで覇権を取るんだって前のめりになっている。大丈夫か?
というか 実績のあるヘリでよくね?と言うのが私の感想です。
無念!スペースジェット
スペースジェットについてはみなさんいろいろ言ってて、多分その通りなんだろうけど、私も少し言いたいことがある。
経産省が唱える環境適応型高性能小型航空機って何なの? まあ予算獲得には美しいお題目が必要なんだろうけど如何にも空虚だよね。エアラインにしてみれば怒られない程度の環境適合性でよくて、それよりも確実にゼニになる機体が欲しいわけです(身も蓋も無い意見ですが)。その為にはまずTCでしょ。その美しくもなく泥臭いTC取得にこそお役所が注力すべきではなかったか?最初からのボタンの掛け違えが最後に来て計画の息の根を止めた・・・と私には思える。