俺的縮尺世界/俺の赤いマッキナ

できるか?(見通し無し)

自分の愛車を模型にして所有したいというのはよくある話かなと思うのですが、ここにもまた一人。車は名車の誉れ高い(自己申告)アルファ156だ。で普通はプラモ屋に行くわけですが、これキットがないんだよね。なぜかなあ?版権の問題か。ならば男らしくスクラッチするしかない。とまあ後先考えずに決心したのだけれど、とりあえずゴールは原型を作ると言うことで。

実写取材

かつて田宮模型ではポルシェのプラモを開発するのに実車を購入し分解して採寸したという。なかなか豪快な話で、好きなエピソードなのです。で私もやりました。いや、分解までは出来ないけど、巻き尺で寸法を測るは、コンターゲージで外形を採るは、挙げ句の果ては巨大ノギスを作って採寸するまでやっちゃいました。でも3次元の物体を図面化するのは思いの外難しい。学生時代に製図の課題で実際のコンロッドを図面化した経験があるのだけれど、これは数倍めんどくさいね。数年かかりました。そこまで図面にこだわるのは、私が腐っても工学部出だから。多分模型という物に対するアプローチに2つの道があるのではないか。美大で彫刻を習ったような人のやり方(美術的感覚を基にしたアプローチ)とあくまで対象を工業製品として捉えて図面から作るというやり方(工学的アプローチ)だ(ま、あくまで個人的意見ですが)。で、私は美的素養がないので極力図面を描いて感覚に頼る部分を少なくして、何とかゴールまでたどり着こうという魂胆な訳で。

出来損ないのミルフィーユ

飛行機を削るのと違って自動車の難しさって凸凹があるってこと。面構成が複雑なのだ。側面にはプレスラインが有るのが当たり前だし。で、3D化するに当たって悩んだ。山はいいんだけど谷が難物。彫刻刀で彫り込んだら・・・曲がったり深さが一定にならないのではないか(腕の問題か)。結局、面ごとに分割して削ってから組み立てることにした。とりあえず糸鋸で切り出して隙間が空かないように積み重ねていく、出来損ないの(おおざっぱすぎる)ミルフィーユみたいな感じ。手間がかかるね。

すったもんだがありました

何とかそれっぽい形までこぎ着けました。削りすぎて黒瞬着で誤魔化した所は見ないふりしてください。実車を見るに鼻先が長いようなイメージがあったけれど、所詮は横置4/6気筒FFのセダンなので長くはない。キャビンが狭いと言われるけれど、逆に充分長さが取られているね。要するに現代のFF実用車のプロポーションです。イタリアンデザインのマジックで流麗なスーパーカーの夢を一瞬だけ一般大衆に見せているんですね。まだまだ作らないといけない場所多数(サイドスカート、ドアミラーそしてタイヤとホイール。山で言えば5合目といったところか。アルファ156に見えますかねえ?