2004年2月


2月3日

ニッポン無責任時代


監督:古澤憲吾
脚本:田波靖男/松木ひろし
撮影:斎藤孝雄
音楽:神津義行
出演:植木等/重山規子/ハナ肇/谷啓/峰健二
製作年:1962年
鑑賞メディア:映画館(南街シネプレックス)

さて、僕が小学生の頃からお世話になってきた難波の映画館、南街会館(今は南街シネプレックスだが、あえてこう呼ぼう)が閉館となってしまいました。
跡地に出来る百貨店にまたシネコンとして入るそうですが、とりあえず今までありがとう、という意味をこめて閉館イベントに行ってきました。
一本五百円で古今東西の名作を二日間に渡って上映する、というもので、その中でもわざわざこれを見なくても、という本作をあえて見ました。
いや、単に時間的にこれが都合よかっただけなんですが。
で、これがまた面白かった! 「無責任」というコトバがこれほど似合う男も珍しい、植木等のハイパースチャラカぶりが最高です。
突如安っぽいミュージカル仕立てになったりして(青島幸男の詞がまた最高)わけわかりません。
こんな安っぽい映画を南街劇場の大スクリーンで見る贅沢、たまりません。
ところで、わりとハンサムな大学生で峰健二という役者が出ていて、なんか見たことある顔だなあ、と思ってあとで調べてみたら、なんと峰岸徹の若い頃でした。かっこええやん!


2月3日

太陽を盗んだ男


監督:長谷川和彦
脚本:レナード・シュナイダー/長谷川和彦
撮影:鈴木達夫
音楽:井上尭之
出演:沢田研二/菅原文太/池上季実子/伊藤雄之助
製作年:1979年
鑑賞メディア:映画館(南街シネプレックス)

で、続いて見たのがこれ。
もう10回以上見てるし、DVDも持ってるんだけど、劇場では見たことなかったので行ってきました。
もう、説明不要ですね。伝説の名作です。
原発に忍び込んでプルトニウムを奪った理科教師・ジュリーがアパートで原爆製造、日本政府を翻弄するという超スペクタクル荒唐無稽アクション大作です。
荒唐無稽なわりに、原爆製造の過程を徹底的にリアルに描写するあたりが素晴らしい。
そうなんです。こういうとこを抑えておかないとハチャメチャというのは空転するだけで面白くなくなるのです。
おかげでアンデッドと化した文太刑事も、やたら軽く犯罪に加担する季実子DJもすべてが相乗的に光っていきます。
僕が死んだら墓の中にこのDVDを入れて欲しいくらい好きな映画です(笑)。
監督の長谷川和彦は、これまた伝説のデビュー作、「青春の殺人者」と、本作の二作のみで沈黙しています。
数年に一度、「長谷川和彦が対に新作を撮るらしい」という噂が都市伝説のように流れますが、いまだ実現せず。
果たして「連合赤軍」は完成するのか?


2月3日

暗殺


監督:篠田正浩
原作:司馬遼太郎
脚本:山田信夫
撮影:小杉正雄
音楽:武満徹
出演:丹波哲郎/岩下志麻/木村功/小沢栄太郎
製作年:1964年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

十年ぶりくらいに見ますね。
以前見たときはもっと面白かった気がするのですが。
十年で記憶が美化されてるのか、こっちのアンテナが錆びちゃったのか…。
前者であることを祈ります。
それにしても昔の丹波哲郎のかっこよさはタダゴトじゃないですね。
口八丁の策士、清河八郎にはまさにうってつけ。殺陣も渋いです。
でもなにかが物足りない。なんだろう。ま、いいや。


2月20日

ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還

THE LORD OF THE RINGS THE RETURN OF THE KING

監督:ピーター・ジャクソン
脚本:フラン・ウォルシュ/フィリッパ・ボウエン/ピーター・ジャクソン
撮影:アンドリュー・レスニー
音楽:ハワード・ショア
出演:イライジャ・ウッド/ショーン・アスティン/ヴィゴ・モーテンセン/イアン・マッケラン
製作年:2004年
鑑賞メディア:映画館(梅田ブルク)

ああ、ついにこの旅も終わってしまった…。
何度も言っていますが、僕にはファンタジーは鬼門だったのです。
なんで指輪にそんな力があるんだ、とかの理屈が後回しにされているのがイヤだったんで。
この映画を観終わった今も、依然ファンタジーが好きになったわけではありません。
でも、この映画は別です。
「指輪物語」に惚れた、というより、ピーター・ジャクソンとそのスタッフの根性に惚れた、というのが正確なところかもしれません。
圧倒的な情熱でこの巨大なプロジェクトを立ち上げ、完遂したということを考えるだけで涙が出そうになります。
内容、映像も素晴らしかった。もう後半は感動の臨界点に達してしまって、どこをどう突かれても涙が出る状態でした。
おそらくもう一度見に行くでしょう。
しかしピーター・ジャクソンがこんなものを作り上げるなんて、「ブレインデッド」の頃に誰が想像しえたでしょうか…。
かけがえのないものを得ました。本当にありがとう、と言いたい。


2月20日

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊


監督:押井守
原作:士郎正宗
脚本:伊藤和典
撮影:白井久男
音楽:川井憲次
声の出演:田中敦子/大塚明夫/山寺宏一/家弓家正
製作年:1995年
鑑賞メディア:レンタルDVD

実は今まで未見だったのです。
押井守は、まあ嫌いじゃないけどさして思い入れがある人でもなく、なんとなく見逃してました。
「イノセンス」の試写会に当たったので急遽見てみたわけです。
んー、なんで見てなかったかというと、なんとなく敷居が高そうだったんですよね。
「全然わからんかったらなんかイヤだなあ」とか思って。
で、正直あまり面白くなかったな、と思います。リアルタイムで見てたら絶賛していたかもしれない、というビミョーなつまらなさなんですがね(笑)。
ま、そのへんはめぐり合わせですね。
なんでピンとこないかというと、やっぱり話の裏に隠れてる膨大な裏設定まで追っかける気になれないからですね。
原作を読んでる、あるいはアニメ誌で情報を収集している人を対象にしているんじゃないかと思うと、今の僕にはちょっと萎えますね(それを追っかけようという気にまでさせてくれたのが「ロード・オブ・ザ・リング」だったわけですが)。
割り切ってかっこいい映像を楽しむほうに切り替えようとも、さほどかっこよくないことに気づいて盛り下がりました。
押井作品として中途半端だったと思います。
好きなのは、「天使のたまご」と劇場版「パトレイバー」一作目ですね。観念的なものとエンターテイメントとの両極端の傑作だと思います。


2月20日

イノセンス


監督:押井守
原作:士郎正宗
脚本:押井守
音楽:川井憲次
声の出演:大塚明夫/田中敦子/山寺宏一/竹中直人
製作年:2004年
鑑賞メディア:映画館(三番街シネマ)

試写会で見てきました。
これまた、うーん…眠かった。つうか、ちょっと寝てました。
相変わらず難解、というか、客におもねるということをしないので、楽しむための努力を要求する作品ですね。
努力する気のない人にはつまらないでしょう。
僕はなにがイマイチかなと思うに、結局この「絵」があまり好きじゃない、という単純な結論に至りました。中途半端なんですよね、リアルさが。
CGパートとの融合もあまり上手くいっているとはいえず、これなら全編CGでいいんじゃないかと。
押井監督の舞台挨拶がありましたが、吉岡秀隆にちょっと似てる、と思いました(笑)。


2月27日

ゼブラーマン


監督:三池崇史
脚本:宮藤官九郎
撮影:田中一成
音楽:遠藤浩二
出演:哀川翔/鈴木京香/大杉漣/渡部篤郎
製作年:2004年
鑑賞メディア:映画館(梅田ブルク)

面白くなくはないです。はい。
特に前半。ホントにゼブラーマンになっちゃうまで、くらいは面白いです。
手放しではないですが。
基本的にこれはクドカンの面白さでしょうね。
三池は特に何した、という感じでもありません。
クライマックスは安易なCGの多用が、ウンザリ感を助長してダレました。
しかし「ぜっぶぅらぁ〜ぜっぶぅらぁ〜シロクロつっけぇろぉ〜」の水木一郎の主題歌は三日ほど頭の中で回り続けていました(笑)。


2月27日

吸血鬼ゴケミドロ


監督:佐藤肇
脚本:高久進/小林久三
撮影:平瀬静雄
音楽:菊池俊輔
出演:吉田輝雄/佐藤友美/北村英三/金子信雄
製作年:1968年
鑑賞メディア:HDDビデオ(衛星劇場録画)

風邪で朦朧としながら見ました。
これは面白かった。
正体不明機(空飛ぶ円盤)と接触したジャンボ機が墜落し、生き残った乗員(見事にキャラのかぶらないクセモノばかり)と、彼らを襲う謎の吸血生命体との戦いです。
宇宙吸血鬼は、地球を侵略しにきたらしいのだが、なんでこんな孤立したところに落ちたわずかな生き残り乗組員を選んで襲うのかな?と思っていたら、わりと大きな衝撃とともにラストでその意味は明かされました。おもしれえや、これは。
額が割れてニュルニュルしたものが出てくる特撮も、なかなかよく出来ていて微笑ましい。
若き日の金子信雄が徹頭徹尾嫌な奴なのもいいですね(笑)。


2月27日

復活の日


監督:深作欣二
原作:小松左京
脚本:高田宏治/グレゴリー・ナップ/深作欣二
撮影:木村大作
音楽:羽田健太郎
出演:草刈正雄/オリビア・ハッセー/多岐川裕美/ジョージ・ケネディ
製作年:1980年
鑑賞メディア:HDDビデオ(WOWOW録画)

原作はずいぶん以前に読んで、ほとんど忘れていましたが、時代を経ても古びない小松左京のSF思想にはずいぶん感動した覚えがあります。
密かに流出した殺人ウィルスにより、死滅に瀕した人類。氷点下では活動できないウィルスの性質により、唯一生き残りの人類となった南極基地の863人。
この壮大なスケールを、かなり上手く演出しています。あまり期待していなかったのですが、予想以上の面白さに見入ってしまいました。
金のかかる群集パニック映像を極力使わず、個の悲しみを深く描写することによって上手く人類滅亡の虚無感を出しています。
女性が8人という異常な状況での子孫繁栄のため、自由恋愛が禁じられ、不特定多数とのセックスをせざるを得なくなるという設定が哀しいです。
邦画に出る欧米人の演技は往々にして妙なものですが、あまりそういうこともなく、純粋に面白い映画でした。


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