2005年2月


2月1日

Mr.インクレディブル
監督:ブラッド・バード


この手のディズニー系CGアニメを見るのは初めてです。
「トイストーリー」も「ファインディング・ニモ」も「モンスターズ・インク」も未見。
いや、これが面白かった。
とにかくまず絵がすごい。リアリティとデフォルメのせめぎあいがあまりにも見事。
CGの功罪を完全に理解したうえで完璧に制御しているって感じです。
いやあ、インクレディブル夫人にはかなり萌えましたね。かわいいです(笑)。
黒木瞳に似てるなあと思ったら吹き替えが本人でした。気づかんかった!
三浦友和にしても、宮迫博之にしても声の演技が上手いですねえ。
昔のテレビの洋画吹き替えって、たまに俳優がやるととんでもなく下手糞だったりしたもんですが。
話もよくできていて、とにかく見ていて飽きない。すごいですね。
予想以上にいいのができた!というのではなく、作るべくして作った傑作、という感じです。


2月1日

レイクサイドマーダーケース
監督:青山真治
出演:役所広司 薬師丸ひろ子 柄本明 豊川悦司


「ユリイカ」の長さに辟易した身にとって、青山真治の新作はちょっと構えてしまうものだったんですが、これはなかなか面白かったです。
どちらかというと青山色は薄く、東野圭吾のカラーが強く出ていたからでしょうか。といって原作は未読なんですが。
まず、ミステリとしてお話が極めてよくできています。湖畔の別荘で、子供のお受験のための三家族合宿生活で起こる殺人。子供の将来のためを思い事件の隠蔽を図る親たち。
それが二転三転してどんどん嫌な不愉快な話になっていく。
好きです、この暗さ。俳優陣もさすがの上手さで、心理描写がえぐい。奇をてらわず堅実な演出です。感心しました。


2月20日

A2
監督:森達也


ようやく見ることができました。オウムドキュメント第二弾。
広報の荒木さんに照準を絞った前作と違い、行き場をなくし、それでも残るオウム信者と、彼らと対峙する住民との関係に照準が当てられています。
テレビのニュース映像では絶対に使われない、オウムと住民がどんどん仲良くなっていく様子などがきっちり腰をすえて撮影されています。
一人一人は優しい人たちが、集団となると、とたんに近視眼的な異物排除に動く。この異常さ、なぜテレビでは見られないのか。
市場原理的にいうと、需要がないからだろう。つまり我々が見たくないものだからだ。そして、それこそが、この住民の異常さに気づかない理由なのだろう。悪循環。
オウムそのものより、もっと深いテーマをこの映画は内包している。


2月20日

十階のモスキート
監督:崔洋一
出演:内田裕也 アン・ルイス 小泉今日子 ビートたけし


DVDを安売りしていたので購入。いやー久しぶりに見ました。
崔洋一監督のデビュー作です。企画・脚本・主演は内田裕也。それだけでもうトンガリ具合は保障されたようなもの。
昇進試験にも落ち続け、妻と子(小泉今日子!)とも別れたしがない交番勤務の警察官。
競艇にハマり(もちろん競艇場では横山やすし登場!さらに予想屋はビートたけし!)、サラ金(安岡力也!)に追われ、行きずりの万引き女(アン・ルイス!)をレイプし、泥沼の挙句ぶちきれて制服のまま郵便局のっとり強盗。いやはや、この暗さ、たまりません。そして無駄に豪華なキャスト! トドメを刺すのは白竜の歌う主題歌!
製作は1983年ですか。内田裕也がなぜかパソコンにはまるのもいいですね。PC−8001だよ!懐かしい。この辺わかる人はもういい年ですね。僕が持っていたのはFM−7です(笑)。
いや、おもしろかったです。


2月20日

パッチギ!
監督:井筒和幸
出演:塩谷瞬 高岡蒼佑 沢尻エリカ オダギリジョー


「ガキ帝国」「岸和田少年愚連隊」はわりと好きでした。
が、最近の井筒監督は、まずあのテレビでの露出っぷりが気に食いません。監督が表に出るってなんかいやらしいですよね。そしてあの思い出すのもおぞましい関西人を馬鹿にし尽くした駄作「ゲロッパ!」
本作も、見るからに流行に迎合した感じで、いかにも印象が悪かった。だって1968年が舞台で、在日韓国人問題も絡んだ青春映画で、って「GO」とか「69」とか「血と骨」とかぜーんぶ混ぜこぜやん!
というわけで見る気はなかったのだが、ひそかに心の師と仰ぐ水道橋博士が絶賛していたので気になってしまい、また他からもいい評判も聞き、重い腰を上げた次第。っていうほどでもないか。
いや、しかしこれがよかったんです。関西系ベタギャグの押し付けがましさは相変わらず好きになれなくて若干引いて見てましたが(しかし時々ツボはある)、後半あからさまに泣かせにかかってきて、これはもう乗らないと損、と思い、気持ちを切り替えて没入モードに。とたんに感動で泣きまくりました。ちくしょー!してやられたって感じですね。 素直に認めましょう。よかったです!


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