2003年11月


11月4日

真相
真相


著者:横山秀夫
出版社:双葉社
発行:?
装丁:?

発行日と装丁者のチェックを忘れていました。すみません。
ようやく図書館の順番が回ってきました。待望の横山秀夫の新刊です(待望なら買えよ)。
恐ろしいほどのペースで出版しながら、恐ろしいほどの高水準を保ち続ける怪物・横山秀夫。
今年だけで既に「第三の時効」「真相」「クラーマーズ・ハイ」ですか。今月には祥伝社からも新刊が出るはず。まったくもって呆れる仕事量です。
でもって今回もいつものごとく短編集。
相変わらずため息が出るほどの高水準をキープしています。この完成度に慣れてしまってありきたりの高水準では物足りなくなってくるほどです。
「花輪の海」は体育会系空手部のシゴキをネタにしたミステリですが、自分でもちょっとそういう感じの話を先日書いたので興味深く読みました。
…参りました。敵うわけないです。少ない枚数で一気に感情移入させてしまうこの火力の強さは中華料理屋もビックリです(よくわからん)。
ベストは「他人の家」かな。上手過ぎます。欠点(?)はホントに一瞬で読み終わってしまうこと。読み終わるのがもったいなくてたまりません。


11月4日

天使と悪魔(上・下)

ANGELS AND DEMONS

著者:ダン・ブラウン
出版社:角川書店
発行:2003年10月30日
装丁:角川書店装丁室

版元からいただいた見本品です。仮綴本なので画像はなしで。
仮綴本の裏表紙には、ウンベルト・エーコ+マイケル・クライトン+ジョン・グリシャムみたいなメチャクチャな絶賛のされ方をしていて、キリスト教関連の教養小説的エンターテイメント、という印象で読んだのですが、どうもおかしい。
たしかにうんちくは多少あるものの、イルミナティとかフリーメーソンとか反物質爆弾とか、やけに安っぽいオカルトガジェットばかりで???と思いましたが、下巻に入ったあたりで読み方を変えたら俄然面白くなりました。
これはまったくもって宣伝が悪い! これはあくまで超B級アクションサスペンスであり、その意味でかなりの傑作。
エーコなんか引き合いに出すんじゃねえよ!(後で刊行された実物を見たらエーコの名前は消えていました。ははは)
というわけで、後半は怒涛のタイムリミットサスペンスを純粋に楽しめました。
金かけまくったハリウッド映画をそのまんまノベライズしたようです。満腹満腹。


11月4日

うんちくブック
うんちくブック


著者:テレビ朝日「虎の門」うんちく王選定委員会
出版社:双葉社
発行:2003年9月30日
装丁:holydesign

ははは、これは面白い!
テレビ番組の単行本化ですが、こんな番組まったく知りませんでした。
生放送で、その場でお題を与えておたがいウンチクを競い合うという番組です。
「ウンチクは知識+話術」というコンセプトで、とにかく毎回ゲストの知識のも驚かされるが、話す順番、互いの駆け引きなどのやり取りもおかしい。
「ふくらはぎ」なんてお題で一人二十秒即興でウンチク語るなんてムチャなことをやらされ、みなクリアしていく様が圧巻。
くりいむしちゅーの上田がこんな知識人(?)とは知りませんでした。

・「黒ひげ危機一髪」は実は人形を飛び出させた人が勝ち。
・セロリは低カロリーなのに歯ごたえがあるので、噛むエネルギーがカロリーを上回り、食べれば食べるほど痩せる。
・保積ぺぺの「ペペ」はカタカナ。


以上、この本で知りましたが、真偽は不明です(笑)。そこが話術としてのウンチク。


11月17日

暗黒大陸
暗黒大陸の悪霊

Evil Eye

著者:マイケル・スレイド
訳者:夏来健次
出版社:文藝春秋(文春文庫)
発行:2003年10月10日
装丁:石崎健太郎

昨年、「髑髏島の惨劇」で狂気のスレイド初体験をしてしまったわけだが、その続編、というかもはやカナダ騎馬警察クロニクルとでも言うべき大河ドラマの一編。
今回もすごいです。なにがすごいってこの欲張りというかメチャクチャな詰め込みエンターテイメントっぷり。
なにしろ十九世紀アフリカ・ズールー戦争で幕をあけたと思ったら、現代カナダでハンニバル、打って変わって法廷サスペンス、あれよあれよという間にジャングルでの大冒険、果てにタイタニックもビックリ海洋アクション、でも実はフーダニット本格ミステリ(最後の一行で犯人が明かされる!)、その合間合間に黒人差別問題や家族ドラマまで盛り込み、紹介しながらほんとにこれ一つの本なのか?と自分でも疑い始めてしまうような闇鍋ミステリなのです。
これはかなり高度なバカミスとして歴史に残るべき傑作です。
エルロイの新刊もなかったし、今年の海外ミステリでのハカタベストはこれかな?
満腹しました。むしろ吐きそうです。


11月17日

ボストン
ボストン、沈黙の街

Mission Flats

著者:ウィリアム・ランディ
訳者:東野さやか
出版社:早川書房(ハヤカワ文庫HM)
発行:2003年9月30日
装丁:ハヤカワ・デザイン

あちらこちらで今年の海外ミステリでベストの声が聞こえてきたので、読んでみました。
ボストンで大学院にいたのに、家の事情で田舎に帰って部下一人の警察署長になってしまった青年。
その田舎で起こった殺人事件。容疑者はボストンにいる。青年は単身ボストンに乗り込んで、元ボストン市警刑事の協力で事件を追う。
いたってシンプルな話で、どうも盛り上がりがなく進んでいくのですが、「驚愕のラスト」という噂を聞いていたので頑張って読みました。
で、ラストは案の定、あ、そうなん、て感じで、これは作品のせいというよりはやはり「意外な結末」を売りにしてしまうことのジレンマが大きいです。
「意外さを待ち構える」というのがそもそも矛盾しているわけで、「意外」であることを知らないと「意外」は成立しません、本来。
というわけで、どれほど意外なんだ、と待ち構えてしまったのが敗因でした。仕方ないけど。
これから読む方は意外な結末である、ということを忘れてください(笑)。


11月17日

影踏み


著者:横山秀夫
出版社:祥伝社
発行:?
装丁:?

これも版元からのもらい物で画像なしです。
まったくどれだけ出したら気が済むのか横山秀夫。
今回はすこし軽め、「ノビ師」が主人公です。夜中に忍び込む、要するに泥棒です。
ぐれて母親の無理心中に巻き込まれて焼死した弟の意識が主人公の中に残っています。
頭の中で兄弟は会話しているわけですが、スーパーナチュラルな要素とも、主人公の分裂人格とも解釈できるようになっています。
相変わらずなにげない伏線や専門用語の駆使などで読ませますが、キャラが今回ちょっと甘い、というか、やはり弟の人格を住まわせるという設定が裏目に出たかも。マンガっぽくなってしまいました。


11月17日

半身
半身

Affinity

著者:サラ・ウォーターズ
訳者:中村有希
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
発行:2003年5月23日
装丁:柳川貴代

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