古本探偵団(1930〜)

図1:燃料タンク

図2:燃料ポンプ

飛行機工術教程附図(甲式四型戦闘機)

所沢陸軍飛行学校刊1931年12月発行

工術教程とは何か?

古本市で見つけました。これは買うしかないでしょう...けっこういい値段でしたけど(笑)。で内容はというと甲式四型戦闘機の図面集なんです。甲式四型戦闘機ってニューポール29戦闘機の中島飛行機によるライセンス生産型なんですが、さすがにフランス機って感じで綺麗なデザインの飛行機です。
図面がびっしり52ページに挙げられていて、ほぼ機体全体がわかる一級の資料でしょう。珍しいものだと思うのですが所沢陸軍飛行学校の学生の数だけは印刷したはずなのでこの世にあるのはこれ1冊というほどではないと思う。実際国会図書館にはあるようです。
飛行性能から主翼、尾翼、胴体の詳細な図面に各システムの図解などなかなか見応えがあります。燃料タンクの離脱装置(いわゆるドロップタンクではなく主燃料タンク)(図1)とか風車式の燃料ポンプ(アトラス喞筒(そくとう)というそうです)(図2)とか興味深い。現在の飛行機と比べると当然ながら電子系統はおろか電気系統もほとんどありません。油圧もない。人間の力とエンジンだけで飛んでいたんですねえ。
で最後の飛行機工術教程とは何なのか。この本は附図ということで図番と品名以外全くキャプションがないのですが、名前と刊行者から察するにパイロットや整備士候補生に飛行機とは何者かという講義をするためのものでしょうね。昭和6年はというと甲式四型戦闘機がもう終わりの時期ということで包み隠さず教材となったのかも。模型製作用など資料的に役立ちそうなものは世界の片隅Walk aroundのページをごらんください。
追記。
飛行機工術教程も手に入れた。どう見ても整備・フライトマニュアルそのままという感じです。ちょっと素人相手には不親切というかもうちょっと分かり易く噛み砕いて書いた方が教育の効率がいい様に思うのですが、無理偏に拳骨で覚えろということなのでしょうか?