古本探偵団(1950〜)

図1:景雲

 

図2:紫電

 

世界の航空機

鳳文書林刊1953年7月号(170圓)

今は亡き幻の航空誌

とっくの昔に廃刊となりました。なのでこの雑誌のタイトルを聞いてオッと思うのは相当年季の入ったマニアですね。それはともかくこれ結構いいです。同時期の航空ファンや航空情報と比べても遜色ないどころかはっきり言って勝っています。未発表日本軍用機写真集が特集です。日本軍機研究家として名高い秋本実氏が終戦時に自ら撮影したという写真です。喰うものも事欠く時代に飛行機を撮して歩くというのはマニアの鏡です。そんな行為の結果で貴重な記録が残っているんですね。頭が下がります。雑誌が廃刊となったことで、2重の意味で現在では見ることのないそして貴重な写真群です。無惨に爆破された景雲の細部写真(図1)、ほぼ完品の100式司令部偵察機4型、解体屋に転がる紫電(図2)、流星、白菊の残骸etc. 俺がその場にいたら貯金はたいて買い取るよ!ちなみにレポート記事も載せられていまして、ひたすら飛行機のことだけ書いておられます。景雲のスピナ径は約800ミリだそうです。投書欄が充実しているのも特徴で、旧軍関係者の投稿が多いのも時代ですね。忌憚無い意見が面白い。時代を映しているのが日本の再軍備云々という話題(自衛隊発足前です)。曰く“南極か何処かの一平和国家の口にする様な平和論が、如何に危険極まりない物で有ることか”・・・今日の憲法論議と変わらないなあ。ちなみにこの号ではないのですが、1957年6月号の同誌の読書欄に宮崎駿という名前が!東京在住で1957年に高校2年生ということなので、ほぼジブリのあの人だと断定してもいいでしょう。アニメや漫画の話題はありませんが、表紙の色についての意見が述べられていて、後年「もののけ姫」で背景の緑色にこだわったという逸話を彷彿させます。