明日は定休日だという日におれは怪しげな店に連れて来られた。
こんなところにオレは居たくない!居たくないんだ!!!




Pink island〜おいで新たな世界へ〜




その店はバラティエと同じ町にあるが、かなり裏通りに面したところに店を構えていた。
かなり昭和テイストな雰囲気を醸し出している店で、木製のちょっとニスが剥げかかったドアと、入り口にピンク色の置き照明が置いてあり、そこに筆記体でPink islandと黒く記されていた。
入るのを躊躇するオレの両側をパティとカルネががしっと掴んで、そのまま店内に入らされた。
店内もやはり昭和テイストだが、入り口からは想像もつかないほど大きな店内で奥にはショーステージまでが設置されていて、それを囲むように真っ赤なソファとテーブルがコの字型に配置されていた。
ジジイもパティもカルネもこの店には何度も来ているようで、さっさと席に着く。
そうすると店の奥から出てきた店員を見て、オレは絶句した。
現れたのはむさいおっさんの女装。
「いや〜ぜふさ〜ん、おひさしぶり〜」
発せられた声もまただみ声でオレは目でやられ耳でやられ、そして彼が放つ臭いで鼻もやられそうだ。
うんざりとして新たな煙草に火を点けようとすると、横からすっとライターが差し出された。
その火で火をつけてその親切な人を見てもやはり先ほどのおっさんと同類だった。
そう、この店はオカマーバーだったようだ。
どうりでなんか胡散臭そうな感じが漂っていると思ったよ。


帰りたいのに両脇気持ち悪いおっさんに挟まれ動くに動けない。
そんなオレの様子を肴に、パティたちは笑って酒を飲んでいる。

オレは回りを無視して一人避けの世界に入ろうと思うがそうはいかずに、巧みに話の中に連れ込まれる。

「そう、そう、こいつってねえつい最近失恋したんだよ。」
「んまあ、失恋?かわいそうに。アタシが慰めてあげるわよ!」
「いらんわ!」
「いやあ、コルネこいつ恋にもなってないだろう?」
「ああ、そうだな、な〜〜〜んもしてないし!」
「あら?坊やオクテちゃんなの?」
「失恋もしていないし、オクテでもない!」
「いや、あの綺麗なお嬢ちゃん、ナミちゃんっていったっけ?気がないわけでないのに何もできなかったのは事実だろうが。」
今まで口を挟まず黙々と飲んでいたジジイの一言は重くこの場に圧し掛かった。

「あら、じゃあ今日はサンジちゃんのハートブレイクを慰めるために思いっきり弾けましょうね〜」
「そうそう。じゃあアタシからまず歌うわね。ミュージックスタート!」
オレは慰めてほしくもないといいかけた時スピーカーから流れてきた曲に行動が止まった。

ちゃっちゃ ちゃっちゃ ちゃらちゃらちゃらちゃら ちゃっちゃ ちゃっちゃ ちゃらちゃちゃ〜

「「「「「「うぉんちゅー!」」」」」



ちゃっちゃ ちゃっちゃ ちゃらちゃらちゃらちゃら ちゃっちゃら ちゃっちゃっちゃ〜

星の降る夜は あなたとふたりで おおおおお踊ろうよ
流れるボサノバ ふれあう指先 ああ 恋の夜
いたずら夜風が ほほにキスしても ふたりは
何も言わないで ひとみみつめあう
あ〜の街角



いや言いたいことは山ほどあるのに、この曲はノリノリで合いの手を入れてしまうのはこの曲の持つ魔力だろうか?




Inspire by 敏いとうとハッピー&ブルー『星降る街角』
パラレルでもサンジはこういう扱い。
軽く続きます。
しかしやっぱり曲の情報が古いな私。
戻 戻