この場からすぐ立ち去ってしまいたかったのに、座って手拍子に合いの手を入れてしまうほど、魔力のある曲。
それが『星降る街角』
そしてあれよあれよという間に仲良く歌っているよ、オレ・・・








ノリノリのまま星降る街角が終わった時、カルネの奴がオレの方を向いてにやっと含みのある顔を浮かべつつ店員になにやら耳打ちをした。
店員もまたオレの方を向いてニヤニヤしながらカラオケの機械操作をしてマイクを、カルネに差し出した。
そしてスピーカーからは哀愁漂うトランペットの調べとそれに続くフラメンコギターとフラメンコ・カスタネットが雰囲気を盛り上げる。


ぱぱ〜ん ぱららららら ぱらららら〜ん
ぱららららら ぱららららん ぱりらりらん ぱりらりらん ぱぱぱぱ〜ん
ちゃらら ちゃっちゃちゃ ちゃっちゃちゃ ちゃっちゃちゃ ちゃっちゃちゃ
ちゃっちゃちゃ ちゃっちゃちゃ ちゃっちゃちゃ ちゃっちゃ ちゃ〜ちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃん


好きなんだけど 離れてるのさ
遠くで星を みるように
好きなんだけど だまってるのさ
大事な宝 かくすように
君は僕の心の星
君は僕の宝
こわしたくない なくしたくない だから
好きなんだけど 離れてるのさ
好きなんだけど だまってるのさ


何なんだ?この曲は、オレの彼女に対する心情をぴたりと言い表した歌は!
え?何だ?カルネはやっぱりわかっててこの曲歌っているんだろうな?
そんなにオレの彼女に対する気持ちって周りにはわかられてたって事か??
それはそれでものすごい恥ずかしいんですけど?


とどかぬ星を 恋した僕の
心をうたう 星のフラメンコ
輝け星よ 君の夜空で
歌えよ涙 僕の心で
君は僕の心の星
君は僕の宝
こわしたくない なくしたくない だから

歌うよせめて 心の歌を
ひびけ夜空に 星のフラメンコ
星のフラメンコ


ちょっと呆然としている横でジジイがぼそっと呟いた。
「テメエの気持ちなんぞこっちにはばればれなんだよ。」
驚いてジジイを見るオレに容赦なく次の言葉が畳みかかる。
「大事すぎてどうしていいかわからなくなって、もし今の関係無くすくらいならこのままでってとこだろうが?」
今オレってどんな顔してるんだろう?と他人事みたいに思う気持ちが湧き上がってるが返す言葉は出ない。それを肯定と受け取っただろうジジイは続ける続ける。
「まあ、そんな心根じゃああの嬢ちゃんは、けっしてテメエのものにならないさ。
 そんなお前には勿体無いほどの娘さんだからなあのお嬢ちゃんは。
 お嬢ちゃんにとってはお前が根性無しでよかったと思うよ。」
「・・・根性なしじゃねえ。」
ぼそっと呟いた言葉にすらまだ攻撃してくる。傷口に塩を塗るってまさにこのことだろうよ。
「まあテメエの気持ちなんぞ何十年も前に浜口庫之助先生が表現してくれてるよ。」
その時には前曲は終わっていて次の曲のイントロが流れ始めていた。
するとおもむろに立ち上がってジジイがマイクを手にとったのである。


別れることは つらいけど
仕方がないんだ 君のため
別れに星影のワルツを うたおう……



遠くで祈ろう 幸せを
遠くで祈ろう 幸せを
今夜も星が 降るようだ



これは何ですか?
コーラス時はオレ以外の人間皆で大合唱って・・・
勇気のなかったオレを滅多打ちにする会ですか?
ナミさんとオレは別れてなんかないぞ!男女の関係で切れてしまう縁より一生の縁を結ぶんだ!
心の中で思っても負け犬の遠吠えでしかない。
そんな時今まで誰も使っていなかったステージ中央に突如としてスポットライトが灯った。


Inspire by 西郷輝彦『星のフラメンコ』 Inspire by 千昌夫『星影のワルツ』
懐メロ第二弾!
次回は真打登場予定
今日の曲、ご存知の方はどれくらいなんだろう?私?もちろん知ってましたよ。
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