古本探偵団(1940〜)

図1:弾丸列車!

工業グラフ

日刊工業新聞社刊 1941年8月号(30銭)

一般向けグラフ誌?

タイトルや出版社名から所謂業界誌の類いかと思ったのですが、内容を読んでみるにほぼ一般向けグラフ誌のようです。大判(B4)で漫画や詩、連載小説(入手した号では休載でしたが)まで載っているんですから。工業をテーマとした一般向けグラフ誌・・・今ではあり得ませんね(笑)。当時はそれだけ工業(≒兵器生産)が正義だったということでしょう。特集が米英独伊軍用第一線機ということで購入したのですが、ニュースソースに乏しいということで(言い訳記事あり)、特に目新しい発見はありませんでした(とほほ)。生産増強縦横談という記事の中で、三菱の偉い人が、欧米は図面通りにやればものが作れるが日本はそうはいかない(図面が不完全なので現場作業員の裁量、技量に任せる部分が多いということか?)というような発言をしていて、これは巷間言われていることに符合しますね。中央亜細亜横断鉄道 弾丸列車の構想という記事が面白い(図1)。弾丸列車といっても今日伝えられているそれじゃなくてもっとすごいぞ。時速500kmで東京〜伯林を結ぶというその列車の動力が何と電磁気を用いるのだ。これってリニアモーターだよね。上下左右に軌道があるということで磁気浮上とまでは行かないけれど、この当時にリニアモーターで高速鉄道を走らせようと構想していた日本人がいたなんて、ほんとに驚きです(筆者は元鉄道次官の工学博士。SF作家ではない)。広告は当然工作機械関連ばかりなのですが、ヤスリから小型のフライス盤まで一通り国産化できていたようです。ですが航空機製造に使うような大型のプレス機や翼桁を削りだすような大型フライス盤まではどうだったのか?高精度のベアリングやシリンダーのメッキや、はたまたネジの転造はどうだったのか?ま、当時の一般人は気にも留めていなかっただろうが。