航空ファン読本 特集・グラマン戦闘機全集
酣燈社刊 1962年(150円)
お郷が知れる
タイトルに注目。「航空ファン」じゃないよ。「航空情報」の姉妹誌(別冊?)という扱いで一時期刊行されていた雑誌です。しかし競合雑誌に「航空ファン」(文林堂刊)というのがあるのにこのタイトルはないだろう。最初何か関係があるのかと思ってしまったよ。どう見ても、何度見ても酣燈社刊なんだよな。表紙に航空情報編集と書いてあるし。はっきり言うとひどい。明らかな競合潰しか?商売道徳というのはないのか?ただ編集が横森周信氏なので内容は悪くないです。ワンテーマでマニアックな記事を集めるという編集方針も悪くない。多分「世界の傑作機」シリーズより早い。早すぎたとも言えるかも。ただ「世傑」は至って真面目に対象にアプローチしているのに、このシリーズはちょっとサブカル的というか、楽しんでやっているという感じ。それは「グラマン動物記」(生物学的に猫シリーズの名前を調べるという)なんて記事に現れている。あとは堀越二郎氏がF8Fと烈風を比べて、エンジンが額面通りのパワーが出なかったと書いていたのはよっぽど悔しかったんだろうな。とにかくこの当時にグラマン機(当然F11Fまで)について、まとまって日本語で読めるのは貴重だったはず。それだけにもったいない。航空雑誌業界の大人の事情を垣間見たような思いです。