3.蒼天坊主・紺碧坊主
蒼天坊主と紺碧坊主はとりあえず、午前中は目玉おやじの妖怪講座を受ける事になった。
姿は蒼坊主を小さくしたような2人だが、中身は人間の小学生と同じである。
妖怪はアニメやゲームのキャラクターと同じで、わくわくしながら目玉おやじの話を聞いている。
「あー、一反木綿じゃが・・・鹿児島出身の妖怪で妖怪四十七士の1人じゃ。特徴は白い布のような体で空を飛べることじゃな・・・・・かなりのスピードを出すことができる。」
「かごしまーっ?・・・・ってどこだっけ蒼天。」
「あれだよ。日本地図の下の方、パズルであったろ・・・こんな形の・・・」
「うむっ、よく知っとるな。この際じゃ、本人を呼んでみるか。」
「えーっ!本物に会えるの?やったーっ♪♪」
やれやれ・・・・あれじゃあ何年かかるかわからないな。
それにしても、父さん楽しそうだな・・・・ぼくが子供のときもあんな風だったかな・・・・まあ、今でも子供扱いだけど・・・・・。
半分とはいえ人間の子供がすぐそばにいる。それは妖怪達にとって、懐かしいようなそれでいて新鮮な感覚だった。
いつか人間と妖怪が一緒に暮らしていける、そんな時が来るだろうか?
そうなれば・・・・いい・・・・かな?・・・・鬼太郎は一瞬だがそんなことを思いながら、近くに寝転がって目玉おやじの先生ぶりを眺めていた。
「今日は、勉強はこのくらいにして午後から横丁の店をお手伝いしてくれるかの?住んでいる妖怪達にも会えるし、店の妖怪も助かる・・・・・まあ、一石二鳥って事じゃな。」
「は〜い!!」
元気に返事をした二人は、とりあえず一週間の間つるべ落としの雑貨屋の店番をすることになった。
特に難しくも無く、お客の妖怪達とコミュニケーションがとれるのでは、という目玉おやじの気遣いだったが・・・・・・・・。
「ねえ蒼天・・・・お客さん、来ないね・・・。」
「いつも、こんなで大丈夫なのかな?つるべ落としのおじさん・・・・・。」
「うーん・・・・おれ達子供には、わかんないな・・・・・。」
子供達には、お客の来ない店番は少々退屈なようだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
! ふと見ると、いつの間にか店の脇に黒い大きな鳥が泊まっている・・・・。
「おい蒼天、あれって八咫烏とか目玉おやじさんが呼んでいた・・・・。」
「うん、でもなんか様子が変じゃないか?ぜんぜん動かないみたいだけど・・・・・・・人形?」
「ちょっと、つついてみるか?」
「おっおう・・・・・じゃ、じゃあ・・・・・。」
蒼天坊主は、恐る恐る八咫烏に近づき片手でその翼を押してみた。
ドサッ!!
八咫烏はそのままの姿勢で地面に転がった・・・・・・。
「わっ!!」
「・・・・・・・・・・。」
「動かないね・・・・・・やっぱり人形なのかな?・・・・・・。」
ドキドキしながら二人は八咫烏を見ていたが、一向に動く様子はなかった。
・・・・・・・二人は地面に倒れた八咫烏を横目で見ながら店番を続けていたが、そのうち店を閉める時間になった。
「あっ!!」
八咫烏は突然ムクリと起き上がり、そのまま何も言わずにゲゲゲの森へと飛んで行った。
「すごいっ、あんなに長い時間じっとしているなんて・・・・・。」
「・・・・・・蒼天!・・・・・。」
「おーっ紺碧!どっちがうまく出来るか競争だ!」
どうやら二人は退屈な店番の時間をつぶす遊びを見つけたようである。