「だっだれか、助けてーーーっ!!!」
「むんっ!!・・・・2人共、頭を下げていろ!!」
天邪鬼の放った鏃と2人の間に割って入ったのは、八咫烏だった。
鏃が2人に届く寸前に、八咫烏の体は金色に輝き天邪鬼の瘴気を一瞬にして浄化した。
「ぬうう・・・・八咫烏!!いつもいつもオレ様の邪魔しやがって!!
・・・・・だいたい人間の味方なんかして、お前になんの得があるってんだ!?」
「ふんっ!キサマには関係のないことだ・・・・!」
「まあいい、いつものオレと思うなよ。ここでは本来以上の力が使えるからな!!」
「・・・・・・妖力が強くなっているのは、キサマだけではないぞ!!」
「浄化するしか能の無いお前はオレには勝てん!
・・・・・・無駄なことはやめてその小僧共をさっさとこっちに渡せ!!」
「・・・・・・・・2人共、人形のフリをして森に隠れていろ。」
「わーーーっ!ムリムリ、殺されちゃうよー!」
「やはり無理か・・・・。」
「おいっ天邪鬼!いい加減にしろっ!!」
「あっ、鬼太郎おじさん!!」
そこへ妖気を感じた鬼太郎と目玉おやじが駆けつけた。
「!!!・・・・・・・ぬっお前は・・・ゲゲゲの鬼太郎!!
・・・・・・うぐぐぐぐ・・・・おまえもか!!鬼太郎!!・・・・・・
おまえらーーーーー!!!オレ様のじゃますんじゃあねぇぇぇーーーー!!!」
「おおっなんじゃ?えらいおこっとるぞ・・・気をつけろ、鬼太郎。」
「はい、父さん!!」
「何をごちゃごちゃ言ってやがる・・・・こうなったら、お前から片付けてやるぜ!!」
天邪鬼は両腕に瘴気を集め、ムチのように操って鬼太郎に襲い掛かって来た。
「鬼太郎、奴の武器は自由に形を変えることができるあの瘴気じゃ。触れると瘴気が体に流れ込んでダメージを受けるぞ、接近戦は避けるのじゃ。」
「わかりました、父さん。」
「霊毛チャンチャンコ!」
「髪の毛針!!」 「指鉄砲!!」
鬼太郎は霊毛チャンチャンコを盾に瘴気のムチを防ぎながら、
髪の毛針と指鉄砲で応戦した。
しかし、天邪鬼は次々と鬼太郎の攻撃をかわして行く。
「すごいスピードだ・・・攻撃があたらない!!」
・・・・・・このままではらちがあかない、あの動きをどうにか止めなければ・・・・・。
「蒼くん!、紺くん!大丈夫!?」
「あっ母さん!!」
はっ のり子!!・・・・まずい、ここに来ていたのか!!
鬼太郎を追ってきたのり子を見て、一瞬 天邪鬼の動きが止まった。
「今だ!!髪の毛針!!」
!!!ぐわあああああ・・・・
油断した天邪鬼は、髪の毛針を半身に浴びて一気に戦意を喪失した。
「くうう・・・今日のところは引き上げるが・・・・・いずれその小僧共は
オレ様が喰ってやる・・・・首を洗って待っていろ!!」
天邪鬼はのり子を見て、何か恐れを感じているようだった。
「あっ・・・・待ってください!!天邪鬼さん!!・・・・・・・。」
天邪鬼がその場を離れようとしたその時、何かを感じたのかのり子が後から呼び止めた。
はっ!!
「うあっああああああ・・・・・オ、オレの名前を・・・・・呼ぶなああああ!!」
ジャララララララ・・・・・・・
ジャララララララ・・・・・・・・・・ララララ・・・・・・・
天邪鬼の悲鳴に共鳴するように、のり子の体から数本の鎖が現れて、すごい勢いで逃げようとする天邪鬼に取り付いた。
「ううう・・・・放せええええ・・・・・クソぉ、のり子おおおぉ!!」
「あっあっ・・・・・ごめんなさい・・・そんなつもりは・・・・・。」
驚いたのり子が謝ると鎖は氷が解けるように消えて無くなった。
自由になった天邪鬼は、あっという間に視界から見えなくなった。
「・・・・・・・・・・・・。」
「父さん、今のは・・・・」
「のり子さんの言霊が具現化したのじゃ・・・・・ここの妖気のせいかのぉ・・・・・天邪鬼は、前世ののり子さんを喰っておる、そのせいでどうやら魂が呼び合っているようじゃしな・・・・・・下手をすると体ごと融合するやもしれん・・・・。」
「ええっ!!そうなったら・・・いったい。」
「融合すればいずれどちらかの魂にどちらかが吸収され、消滅するじゃろうな・・・・・。」
「奴は、それに気が付いているのだ・・・・そして今ののり子と融合すればおそらく自分が消滅する可能性が高いこともな。」
「!!八咫烏・・・・・。」
気が付くと八咫烏がのり子の肩にとまっていた。