5.天邪鬼再来
お歯黒べったりの風呂屋を手伝った後、蒼天坊主と紺碧坊主はすっかり妖怪横丁の人気者になり、風呂屋の次は、小豆洗いの饅頭屋を その次はたこ入道のマッサージ屋をと次々に横丁の店屋を手伝っているうちにあっという間に一ヶ月が過ぎていった。
そして、のり子から明日迎え来ると手紙が届き、今日は泊めてもらっていた砂かけばばあのアパートを朝から掃除して、午後からはゲゲゲの森の池のほとりで2人で棒術の稽古をしている。
カーン!
「母さん、今日来るのかなー?おれもうちょっとここに居たいな〜。」
「父上は真っ直ぐここに着くのは無理だろ。」
カーン!
「まあね。でも、うまくいけば父上も今日くらいに着くんじゃないかな。」
カーン!
その時、ゲゲゲの森から2人の前に1つの影が現れた。
「へへへっ、さがしたぜ・・・・小僧どもーーーーっ!!!!」
・・・・・・・・・・・!!!・・・・・・・・・
「どなた・・・・ですか?ていうか、なんか怖い・・・・・・。」
「妖怪・・・・ですよね。さがしてたって・・・・何か、僕達に御用ですか?」
「ふふん・・・・のり子から聞いてないのか?オレ様の名は天邪鬼だっ!!
・・・・お前らを喰らいに来たのさ。」
「えっええーーーーっ?くっ喰らうって・・・・・・何??」
「うっうわーーーっ!こええぇーーーーっ!!」
「おっおちつけっ紺碧〜〜!!おっお母さーーーーんっ。」
パニックになった2人を見ながら、天邪鬼はその指先に真っ黒な瘴気を集め始めた。
横丁の妖気のせいか、依然とは比べ物にならないくらい強い妖気を放っている。
「安心しろ苦しまないように一発で殺ってやるぜ。」
天邪鬼が真っ黒に染まった指先を一振りすると、集まった瘴気は指の数と同じ
鏃となって2人をめがけて飛んできた!
「助けてぇぇぇ・・・・・!!」
それより少し前・・・・・・ゲゲゲハウスにはシュークリームを手土産に持ったのり子が、
蒼天坊主と紺碧坊主を迎えに来ていた。
肩や頭には数匹の邪気が乗っているが特に気にする様子はない。
「ご無沙汰しています。目玉さん。」
「おおっ久しぶりじゃな、のり子さん。」
「すみません。突然、子供達をあずかってくれだなんて、お願いをして・・・・・
ご迷惑おかけしませんでしたか?」
「いやいや、なかなか2人共礼儀正しいし、お手伝いもよくやってくれておる。」
「何でもゲーム感覚なところがあるけどね。」
「そうなんですよ。双子のせいか、何でも2人でルールを決めて遊んでいるみたいで・・・・。」
「まあそこは、子供らしいところでもある。かわいいもんじゃよ♪」
「今、2人は池の近くで遊んでいますよ。僕が呼んで来ましょうか?」
「いえ・・・きっとギリギリまでここに居たいって、言うと思いますから。」
・・・・・・・・・!!・・・・・・・・・はっ妖気!!
「父さん!!蒼天君たちが遊んでいる方向からすごい妖気が!!」
「何じゃと、すぐに向かうぞ鬼太郎!!」
「はい父さん!!」
「のり子さんは、ここにいてください。」
「えっええ?」
ゲゲゲハウスを飛び出した鬼太郎と目玉おやじは真っ直ぐに蒼天坊主と紺碧坊主の所に走って行った。
のり子もじっとしているわけにいかず、2人の後を追ってゲゲゲハウスを出た。