八咫烏は、蒼坊主と話しながら、のり子を真っ直ぐに見つめていた。
「・・・・・・・幸せか?のり子・・・・・」
「・・・・・・・おっおい・・・八咫烏!!・・・・・」
「はい・・・・これまでの試練のおかげで、今の幸せを人並み以上に感じることが出来ます。」
「そうか・・・・・それはよかった。」
「又、いつかこうやって話せるのを楽しみにしているぞ。」
そういうと、八咫烏は蒼坊主の肩から飛び立って、そのまま空へと消えていった。
八咫烏は蒼坊主が出会う前からのり子のことを知っている。
そして、その存在を知られる事も無く、ずっと見守り続けてきた・・・・。
その長い時間を思うと蒼坊主は複雑な気持ちになった。
のり子もそんな八咫烏の気持ちを察してか、2人の共有した時間を感じさせる・・・・・そんな言葉を交わしていたのだろう。
「さあ・・・家に帰りましょうか、蒼坊主さん、蒼くん、紺くん。」
「そうだな、帰ろうか天、碧。」
「はい、父上、母さん。」
「いろいろありがとうございました。鬼太郎さん、目玉さん。」
「おう、ありがとうな、鬼太郎、おやっさん。」
「鬼太郎おじさん、目玉のおやじさん、ありがとー、またねー。」
「おおっ気をつけて帰るんじゃぞ・・・・・・又、いつでも来ていいんじゃからなーっ!
待っとるぞ・・・・・。」
「じゃあねー!バイバーイ♡」
見えなくなるまで手を振って、4人を見守る目玉おやじの目は、涙で潤んでいた。
「やだなぁ父さん、泣いてるんですか?来年の夏休みには又遊びに来ますよ。」
いっしょに手を振っていた鬼太郎は、寂しそうな目玉おやじを見てなぐさめた。
「のお・・・・鬼太郎・・・・わしもそろそろ孫の顔が見たくなったんじゃが・・・・。」
「えっええっ・・・ぼっ僕ですか・・・・・・?」
「おまえ以外に誰がおる・・・・・・・」
「えっえーーーと・・・・もうちょっと待ってもらっていいですか?」
「・・・・・もうちょっと?」
「・・・・・・・・・・・・200年くらい・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・はぁ~~~っ・・・・・・・・・・・・」
おしまい