そのころ、鬼太郎は目玉おやじと一緒に1階の番台の前でお歯黒べったりと話をしていた。
「どうじゃな?お歯黒べったり、2人の様子は?」
「ああ、がんばってお手伝いしてくれてるよ。かわいいもんだねぇ♪お年寄りの妖怪達は大喜びさ、今最上階の大浴場にいるよ。」
「えっ、最上階の大浴場に!・・・・・父さん、確かあそこには・・・・・。」
「おおそうじゃ、確かあそこには・・・・後神が・・・。」
「!・・・・・ありゃあ、すっかり忘れていたよ。嫉妬深い妖怪だからねぇ・・・・・・何かいたずらされてなきゃいいけど・・・・しょうがない、2人には後で他の仕事を頼むことにするよ。」
「それがいいのぉ。」
「それじゃあ父さん、僕達もさっそく大浴場に行きましょうか。」
「おお、そうするとしよう。」
大浴場に着くと、蒼天坊主と紺碧坊主が忙しそうに妖怪達の背中を流して廻っていた。
「おおっやっとるな、蒼天、紺碧。」
「あっ目玉のおやじさん、鬼太郎おじさん、いらっしゃーい♪」
「うむ、さっそく背中を流してもらえるかのー。」
「えっ・・・・背中・・・・ちっ小さいけどいけるかな・・・・。」
2人に背中を流してもらった、鬼太郎と目玉おやじは湯船に浸かって一息ついた。
「はああっ

・・・・・・やっぱり大きなお風呂は気持ちがいいですねぇ、父さん。」
「そうじゃな、茶碗風呂もいいが、たまには湯船で泳ぎたいしの・・・」
「父さん、お風呂では泳がなくてもいいんじゃないですか?・・・・・」
「ん?・・・・・おぬしは・・・・・。」
見ると、目玉おやじが泳いでいく先に八咫烏が額に手ぬぐいを置いて浸かっている。
「なんじゃ・・・・・いつからは入っとるんじゃ八咫烏・・・・・なんだか苦しそうじゃが。
おぬしそんなに風呂が好きじゃったかのぉ?・・・・・まがりなりにも烏じゃろう。」
「なっなに・・・・たっ・・ただのきまぐれだ・・・・・・・。」
そのとき、浴場の外からお歯黒べったりが2人を呼ぶ声が聞こえた。
「蒼ちゃん、紺ちゃん、悪いけど下に降りて来て薪割りをしてもらえるかねぇ。」
「はーい。」
元気良く返事をすると、2人はそろって大浴場を出て行った。
ザバッ・・・・・・・・ドサリッ!
2人が出て行くのを見た八咫烏は、湯船からあがるとふらふらとその場に倒れてしまった。
「だいじょうぶか!!・・・・・・おいっ!」
「大変じゃ!すっかりのぼせとる!!・・・・・・・・水じゃ!水、水!!」
ザバアアアアア・・・・・・・・。
・・・・・・・・やはり、我慢して入っていたようだ。